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犬土偶日記

海の近くに住みたい

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話題:種子島&屋久島 2007年夏

2007年09月24日

犬土偶旅行記 84日目 通夜

公開日時: 不明

早朝に目が覚めた。祖母が入院する少し前に夜遅く酔つて焼酎を持つて来た近所の人が今朝早く祖母に会ひに来て大泣きしてゐた。あの時はATLのことを知つてる俺と叔父ですらこんなことになるとは思つてゐなかつた。食欲が無くて栄養失調気味で、夏風邪か何かで熱が出るだけだから大丈夫だとか言ひ聞かせてなだめて帰つて貰つたが、全然大丈夫ぢやなかつた。最初に南種子の病院に行つた時に肺に少し影があるとか水が溜まつてるかもしれないとか言はれてゐた。鹿児島大学病院に行つた時に詳しく検査して貰ふやうに言はれ、大学病院で検査したが異常無しだつた。その頃から肺炎になりかかつてゐたんだらう。肺炎といふか、ATLが肺に侵食してきてゐたんだらう。鹿児島まで行くのは大変だから祖母の調子が良くなつた隙を狙つて行つた。それが却つて悪かつたのかもしれない。調子が悪い時に無理して行つてゐれば肺の病気も発見できてゐたかもしれない。まああの高熱状態で外に出るのは不可能だつたけど。夏風邪か脱水症だらうといふことで、水分を多く摂るやうにし、本人も無理して少しでも多く飯を食はうとしてゐた。それでも食欲は全く回復せず、このままでは衰弱死するから栄養剤の点滴を打ちに病院へ行かうと言つてゐた。そしてまた高熱が出た。何度も高熱が出たり引いたりを繰り返してゐた。一度入院して回復させた方が良いかもしれんと本人も言つてゐた。そして10日に病院へ行つて肺炎だと診断され、生きて家に帰つて来ることは無かつた。甘く見てゐたのかもしれない。老人は一度弱るとなかなか元気にならない。ただでさへ重病なのに。

夕方にいつもの坊さんが来て納棺し、通夜の予定。種子島の習慣では葬式は礼服だが通夜は別に礼服でなくても良いらしい。中種子町の決まりか何かで香典は2000円と決まつてゐるらしい。ちなみに結婚式は3000円らしい。激安な祝儀では盛大な結婚式はできないだらう。礼服は葬儀屋に頼んでレンタルできるらしい。靴やシャツや靴下は買ひに行かねばならん。午前中に西之表に買ひ物へ。弟に電話して靴のサイズを聞いたりする。丁度飛行機に乗つたところで俺からの着信に気付き、電話を掛けて来たが電源切れと怒られて睨まれたらしい。弟の靴やシャツも買ひ、家に戻る。彼岸で坊さんも忙しい。そのせゐで時間が少しズレることになつた。親戚や近所の人や知り合ひが大勢集まつて来る。家の前の道は車でいつぱいになつて車の出し入れもできなくなる。丁度坊さんが来て棺に祖母を入れて色々やり終るぐらゐに弟が種子島に着く。迎へに行けさうにないのでタクシーで来るやうに電話しておいた。飛行機の都合で5時間も鹿児島空港で暇になるらしい。俺と同じパターンだな。夏休み中なら鹿児島から種子島の便がもう1本余分にあつてあまり待ち時間も無く来れるんだが、今は上手い具合に嫌がらせとしか思へないダイヤなので名古屋から来る場合は日が昇る前に家を出て搭乗手続きの時間もギリギリぐらゐで必死のパターンか、鹿児島で5時間待たされるパターンぐらゐしかない。

祭壇や遺影も用意され、続々と人も集まつて来る。そして坊さんが来た。ほんの数日前に彼岸で拝みに来たばかりだつた。今では仏壇の部屋には祭壇が置かれ、部屋の天井の周りに白い布が張られてゐる。祖父の写真も仏壇もその幕や祭壇の後ろの幕に隠れてゐる。坊さんが祖父の写真が飾つてあつた辺りを数秒見つめてゐた。何か見えるんだらうか。

弟から電話があり、飛行機の整備不良で鹿児島で足止めされるらしい。17時発の飛行機で来るはずだつたが、その飛行機が飛ばない。それが最終便のはずなので、運が悪いと鹿児島で宿泊だ。17時20分にまた連絡があると言つてゐた。

祖母の遺体を棺に入れる。水に湯を足してぬるま湯を作れと言はれた。新しいタオルも用意しろと言はれた。新しいタオルが無くて慌てる叔母達。坊さんがお経を唱へる間、親・叔母・叔父・孫など、身近な人間が新しいぬるま湯で濡らした新しいタオルで祖母の手を拭いたりする。バイクの叔母がぬるま湯の洗面器に足を引つ掛けてぬるま湯をこぼしてしまつたりした。叔父の奥さんは祖母の足を拭くやうに言はれてゐた。何かお経みたいなのが少し書かれてゐる白い服みたいなのを手足に着せて棺に納めて祭壇の前に移動し、それまで祖母を寝かせてゐた部屋に坊さんが少し米を撒く。それを叔父の奥さんに箒で裏の山まで掃くやうに言はれた。これでもうこの部屋を使つても良いらしい。宗教のことは何も知らないが色々あるんだらう。

通夜までまだ時間があり、坊さんは一旦帰つて行つた。いつの間にか親が弟に電話してゐたらしい。飛行機は遅れたが来れることになつたらしい。そろそろ弟が着くはずだといふので外に出て坂の下を見ると、丁度上つて来るところだつた。無事に来れたやうだ。弟は通夜には間に合つた。

それにしても凄い人数だ。人がゐない種子島でこんなに集まるものなのか。少しの人に知らせるだけであつと言ふ間に広まるんだな。坊さんが来て通夜の儀式を開始。100人以上は人が来たと思ふ。俺が死んでも絶対にこんなに集まらんだらうよ。坊さんもこんなに人が来るのは珍しいと言つてゐた。祖母の人徳か。誰とでも気さくに話してすぐに仲良くなる人だつたやうだ。指宿に行つた時もみんなが知らないうちに青森から来てた人達と話したとか言つてゐた。お経を唱へた後に、来た人達に坊さんから色々話があつたんだが、最初にいきなり白血病がどうのかうのと言つてゐた。何で知つてるんだらう。誰か言つたのかな。一種の風土病だらうと思ふみたいなことを言つてゐた。病院の壁に貼つたあつたチラシによると、鹿児島県民の10人に1人はHTLV-1のキャリアなのださうだ。そのウイルスに感染してゐるとATLやHAMといふ病気になることがあるらしい。HAMといふのは初めて聞いたが、歩けなくなつたりするやうだ。どちらも治らないらしい。感染してゐても滅多に発病しないんだが、それだけ多くのキャリアがゐれば珍しい病気ではないのかもしれない。HTLV-1は母乳から感染する。俺の母親も感染してゐるので俺も感染してゐるかもしれない。今は出産の時に自動的に検査されて感染が確認できたら母乳を与へないやうに言はれるやうだが、病気が発見されたのが30年ぐらゐ前で、俺の頃はまだ知られてゐなかつたからHTLV-1に感染した母乳を飲みまくつた。感染率は20〜30%らしい。潜伏期間は60年以上らしいので発病するのは老人になつてからだ。ちなみに、坊さんの話の中で、いつもは祖母がゐたけど彼岸の時に岐阜の大学生の孫が云々と。もう俺は大学生で定着してしまつてゐる。大学に入り直すか。祖母は俺が大学卒業したと思つてゐたやうな感じだしな。まあ金が無いから今さら大学に入つて卒業するのは無理か。

弔問客が帰つても親戚や親しい人達は残る。みんなで酒を飲みながら遅くまで語る。一番下の叔母の旦那さんは今回初めて会つたと思つてゐたが、俺が小さい頃に会つてゐたらしい。春日井に住んでた時と、可児に来てからも会つたらしい。可児に筍を取りに来たと言つてゐた。全然記憶に無い。むしろ4歳か5歳の時に春日井に来たことの方を覚えてゐる。叔母が男の人を連れて来たのは覚えてゐた。だがその人とは結婚せずに別の人と結婚したと思ひ込んでゐたのだ。その時の人がどんな人だつたか映像としての記憶は残つてゐないが、ヤンキーつぽい人だつたと記憶してゐる。車のハンドルだけ盗まれたとか話してゐたのを覚えてゐる。今の姿を見ると真面目なサラリーマンみたいな感じだから別人のやうに思へるんだが、幼児の頃の印象なんてあてにならん。喋り方は同じ感じだつたやうに思ふ。とにかくその人が会つたと言つてゐるのでその時の人なんだらう。

俺はビールを飲めない。ライブの打ち上げの時でもまづはビールで乾杯といふ感じだが、俺は違ふ。車の運転があるといふ人は大体ウーロン茶だらうが、酒を飲む人はビールを飲めなくても最初の一杯はまづビール。周りに合はせるのが普通だらう。人に勧められたら飲めなくても少しだけ貰つて舐めるぐらゐのことはするだらう。だが俺は拒否する。飲めないものは飲まない。ビール飲めないので焼酎をくれ!といふ感じだ。焼酎を薄めずに飲む。猫の叔母の息子はバンドをやつてゐてベースを弾く。音楽の話をしたりしながらハエを屠りつつ焼酎を舐め回す。叔父の子供達は物凄くデカい声で叫びながら遊び回る。親戚達も酒を飲んで楽しさうに語り合ふ。通夜とは思へん空気だ。従弟のバンドは今ボーカルがゐなくて活動休止中らしい。愛知県で活動してるので割と近い。いづれ対バンしたいなとか話したりした。ジャンルはJ-POPとかさういふ系統のをやるらしい。さういふジャンルはベースが激ムズだらう。どんなのか一度見てみたいものだ。

叔父の子供達は紙とペンだけで遊ぶ。縦線と横線を2本づつ引いて○×の3目並べでトーナメント。色んな人が勝手にエントリーされてゐる。ベースの従弟は子供達と楽しく話すが、俺はあまり子供が好きではないので自分からは話し掛けない。さういふ雰囲気を敏感に感じるのか、俺と勝負しに来る時は遠慮がちといふか、何となく怯えてゐる。怯えるとまでは行かないが、話し掛けづらい感じだ。それなら俺を入れずにやれば良いのに。マスを増やしたりして何回も何回も延々と○×をやり続ける。凄い体力だな。普通飽きるぞ。

何時まで起きてゐたのか分からない。疲れたのか酔ひ過ぎたのか、いつの間にか寝てゐた。他の人は何時頃まで起きてゐたんだらうか。

話題:種子島&屋久島 2007年夏

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