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犬土偶日記

海の近くに住みたい

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話題:種子島&屋久島 2007年夏

2007年09月07日

犬土偶旅行記 67日目 宝満神社・赤米館・前之浜海浜公園・門倉岬・長浜海岸

公開日時: 不明

今日も割と早い時間に目が覚めた。今日は晴れれば南種子を観光するつもりだつた。見事なまでに晴れてゐて天気予報も完全に晴れ。雨が降る要素などダニの糞ほども無ささうな感じだ。しかし昨晩から吹き始めた暴風がいつまで経つても止まない。台風9号の影響は無いはずだ。テレビではアホみたいに台風9号のニュースばかりやつてゐるが九州地方は強風域にすら全く入らない。関東の辺りにある台風の影響など無いだらうと思ふ。それにしてもTVが台風ニュースばかりで鬱陶しい。一寸ぐらゐデカい台風が来たからと言つてあんなに大騒ぎするのはをかしいだらう。4号の方が強かつた。関東人は自分達のところに災害が来ると一寸したことでもすぐに騒ぐ。台風9号ごときが中越地震以上の扱ひだ。少し雪が降つたぐらゐで1日中全国ネットでショボい雪の映像を流したりするからな。関東ローカルの電車が止まつたとかそんなくだらないことを全国ネットで終日放送する。今回もさう。全然関係ない地域にもアホみたいに流す。関東ローカルの局で流せよ。川が増水したとか言つてもあの程度なら可児の木曽川でもたまにある。こんな辺境の離島にまで1日中中継する意味があるのか。朝のニュースで少し流すだけで良いだらうに。

外に出て海を見たら暴風のせゐで波が激しく、全面サラシ状態だつた。ルアーを投げてみたい衝動に駆られた。一寸投げてみようと思ひ、道具を持つて海へ。干潮に近い時間帯だつたのか、潮は引き気味。少し港の方へ向かつて岩場を歩き、水深のある磯に行つてみた。波が恐ろしく高くて危ないが、なかなか良い感じに見える。岩の先端まで行くのは危険過ぎるので流されない場所からルアーを投げてみる。全然ダメ。風が海の方から強烈に吹いて来るのでルアーが全然飛ばない。ベイトキャスティングリールだつたらどんな投げ方をしても確実にバックラッシュするだらう。重いルアーに換えて投げてみた。何度か投げてみたが釣れない。といふか、釣りどころぢやない。激しく波を被つてズブ濡れ。何でこんなに風があるのか意味が分からない。危ないので諦めて帰ることにした。

家に帰るなり祖母が怯えたやうに話し始めた。水道料金が1人暮らしの時は1000円ぐらゐだつたのに、8月は5000円超えたらしい。風呂に入る時は水の使用量を今までの半分にしてくれと言はれた。洗濯はどうしてもやらねばならんから風呂だけでも節約しようと。年金が次に振り込まれるのが10月だからとか言つて怯えてゐた。電気代も叔父と俺のPCで相当使つてるしな。8月は人もたくさん来たから急激に増えたんだらう。そんな5000円ぐらゐでビビらんでも良いだらうに。それぐらゐ出すから。

祖母が食欲が無いといふのでプロテインを勧めてみた。炭水化物や糖分やビタミンやカルシウムも入つてゐるし、良いのではないかと思つたのだ。「ウモウナカ」と言はれるかもしれんなと思ひつつ少し飲ませてみた。どうやら不味くはないやうだ。これは何かと聞かれて困つた。プロテインと言つても分からんだらう。どう説明すれば良いんだらう。大豆の粉にビタミンとか色々混ぜてココアの味をつけてあるやつだと説明しておいた。まあ概ねそれで良いのではないかと思ふ。叔父が畑から帰つて来た時に、俺に飲ませて貰つたと言つてプロテインのことを話してゐたんだが、きな粉だと言つてゐた。大豆の粉と言へばきな粉か。さう考へると何か違ふな。まあいいか。

昼飯を食つてから念入りに日焼け止めを塗り、デジカメを持つて南種子へ。まだガソリンは半分ぐらゐ入つてゐたが、山と畑しか無い南種子を長距離走るのが不安だつたので野間で入れて行くことにした。一番安いところで入れたが3.19リットルで500円超えた。あり得ん。野間から少し行くと道が2つに分かれてゐる。右側はそのまま国道58号で南種子市街地の上中へ。左側は県道75号線で熊野海岸の方から島を時計回りに宇宙センター方面へ。右側へ行くとソテツの坂井神社や種子島病院がある。そちらは何日か前に行つたので今回は左から行くことにした。こちらはバイクで通るのは初めて。7月の10日辺りに叔父の車を運転して親と2人で宇宙センターへ行つた時や、8月の5日辺りに叔父の運転で叔母や従姉弟と宇宙センターや千座の岩屋や男淵女淵の滝を見に行つた時に通つた道だ。延々と続くサトウキビ畑を抜け、熊野海水浴場へ。誰もゐない。さすがに夏休みも終つて観光客もゐないだらうし、海水浴の時期でもない。

しばらく行くとメヒルギやハマジンチョウの自生地がある。ここら辺でカヤックをよく見かける。マングローブから海へ出てここら辺の奇岩を見るツアーみたいなのがあるんだらう。適当に写真を撮りながら砂浜に出てみたりする。


上里から見るロケット射場しばらく山の中を進み、途中で急激に山を登つて行く横道に入る。確かここのはずだ。去年の祖父の13回忌の日にロケットの打ち上げを見た場所。あの時は長谷展望公園を探して南種子を回りまくつて偶然別の良い場所に辿り着いた。どこの道を通つたのかハッキリとは覚えてゐないが、多分この辺りだらうといふ気はしてゐる。先日長谷展望公園に行つて写真を撮つて来た。去年見た場所よりも長谷の方が近いと感じたんだが、去年の日記の画像と比較してみると長谷より去年見た場所の方が少し近い感じだつた。で、一応今年もその場所を確認しておかうと思つたのだ。去年の写真の感じでこの辺りだらうと思ひ、山に登つてみた。猛烈に見覚えのある場所に出たので確信を持つて上へ。去年見た場所は民家の敷地内だつた。見物人が多い時は入りやすいが、誰もゐない時は入りづらい。まあ場所だけ確認できれば良いかと思ひ、さらにその先へ。去年はその先までは行かなかつたんだが、打ち上げ終了後に奥から車がたくさん出て来た。もしかしたらもつと良く見える場所があるのかもしれない。看板を見ると、その辺りは上里といふ地区らしい。少し上つて行つたところで道路脇の林が消え、宇宙センターが見えた。射場が真正面に見える。これはかなり良い。ただ車を停める場所も無く、細い山道なのでここに人が大勢来るとよく見えないかもしれない。去年見た民家の敷地内の畑なら大丈夫だらう。しかし快適さや行きやすさを考へれば長谷の方が圧倒的に良い。今年は敢へて長谷から見ようと思ふ。今日は赤米館や宝満神社等を見る予定なので、上里からそのまま抜けてしまふのは拙い。同じ道を引き返すのは何となく嫌だが激しい遠回りをするよりはマシといふことで同じ道を下る。

宇宙センター近くの山山を下りて西に進むと宇宙センター方面と門倉岬方面へ分かれる道に出る。宇宙センターは今年2回も行つてゐるので今日は行かなくても良いだらう。でも入り口付近まで行つてみることにした。入り口まで行つて引き返す。途中にある奇岩を撮影。ずいぶん内陸部にあつて完全に山なんだが、どう見ても風ではなく波に侵食された岩にしか見えない。地層も傾いてゐるし、この辺りは結構地殻の動きが激しいのかもしれない。

門倉岬方面へ向かふと宝満神社と赤米館がある。まづは赤米館へ。観光客と思しき老夫婦が建物から出て来るところだつた。広い博物館かと思つてゐたが、恐ろしく狭い建物だつた。実質的に展示物は10畳ぐらゐの広さの円形スペースのみ。適当に撮影してから持ち出し禁止のパンフレットや本をパラパラとめくつて読んでみる。赤米や本などが売つてるんだが、建物内には誰もゐない。外で花に水をやつてるおばさんが1人で管理してるんだらうか。

赤米館1 赤米館2 赤米館3
赤米館4 赤米館5 赤米館6

赤米館を出て正面にある宝満神社へ。山の中にある。道が細い。本当に神社なのかと不安になるやうな場所だ。原付で奥に行くと少し広い場所があつて車が停まつてゐた。神社があると思はれる奥の方から先ほどの老夫婦が出て来るところだつた。俺も奥へ。灯篭が倒れてゐるし、物凄く寂れた感じだ。神社の左側には池がある。赤米館で読んだ南種子ガイドみたいなのによると、大昔は海だつたらしい。入り江が海と切り離されて池になつたらしい。今では完全に淡水になつてゐて鯉や鮒がゐるやうだ。種子島にも淡水魚がゐたんだな。特に何も無いので神社を出ることにした。

宝満神社1 宝満神社2 宝満神社境内から見る宝満の池 宝満神社3

神社を出て少し西に行くと小高い場所から宝満の池や遠くの海岸が見える展望所があつた。そこから池を撮影してみたりする。ここら辺で自転車に乗つた観光客風の若者を見掛けた。凄い荷物を自転車の両脇にぶら下げて必死に走つてゐる。宇宙センターを見てから門倉岬を目指してるんだらうか。自転車で島1周を1日でこなすのは無理があるから、恐らく上中辺りに宿を取つて南種子を回つてゐるんだらう。この時は大して気にも留めなかつたが、この先色々な場所で遭遇することになる。

宝満の池一帯観望所 宝満の池1 宝満の池2

自転車の若者を追ひ越し、ひたすら進む。次に行くのは門倉岬ではない。インギー鶏やドラムエルタン号漂着之碑だ。1894年、日清戦争の年にこの近辺にイギリスのドラムエルタン号といふ帆船が漂着したらしい。その船を修理する間、この近辺の住民がイギリス人達を厚くもてなし、そのお礼に鶏をプレゼントされたらしい。その鶏の子孫が今も飼はれてゐる。インギー鶏を食ふと速弾きができるやうになるとか、丸々と肥えて欲しいといふ願ひを込めてインギーと名付けたとか、さういふことではなく、当時イギリス人のことをインギーと呼んでゐたのでインギー鶏といふらしい。今は花峰小学校で飼はれてゐる。一応観光誌にも載つてゐるぐらゐだから、インギー鶏見物用の場所が用意されてゐたりするのかと思つてゐた。しかし、普通の小学校だつたので鶏は撮影せずにスルーすることにした。カメラを持つて小学校に突入するのは危険過ぎる。関係者以外が学校に入ると捕まる時代だしな。せめて土日の学校が休みの日ぢやないと難しい。突入して捕まつた方がネタとしては面白いかもしれんが、余計な面倒事に巻き込まれたくない。小学校で飼ふんぢやなくて養鶏場を作つて種子島地鶏として売るとかいふことは考へないんだらうか。まあ昔の鶏だから品種改良もあまりされてなくて美味くないんだらうけど卵だけでもインギー卵とか言つて土産物屋で売れば良いと思ふ。

小学校から少し先に行くと門倉岬と前之浜海浜公園のデカい標識があつた。真つ直ぐ行くと門倉岬、左へ曲がると前之浜。前之浜の標識の矢印方向を見ると畑に向かつて車ですれ違へないやうな細い農道を行かねばならんやうだ。畑の先には林がある。もうかういふのにも慣れた。種子島といふのはかういふところなのだ。どんな観光地でも大体こんな感じ。まともな標識など滅多に出てゐないし、畑の中を走る農道や、山の中の林道を通つて行くのだ。畑を突つ切り、一寸した林を抜けるとそこはまるで別世界。青過ぎる海と空。広過ぎる砂浜。直前の畑だらけの風景と違ひ過ぎる。駐車場のそばにドラムエルタン号漂着之碑が建つてゐるが、それがメインではない感じの公園だ。果てしなくショボい遊具がいくつか転がつてゐるが、草スキー場なるものが強烈なインパクトだ。傾斜が急過ぎる。スキー板が用意されてなくて自分でどこかから持つて来ないといけないのが震へるほどに笑へる。ジャンボスレー・ミニスレー使用後は、元の位置にもどしましょうと書かれてゐるが、そんな物はどこにも無い。キャンプもできるらしく、キャンプ用の車を停める場所まで用意されてゐる。しかしこんなあまりにも何も無い場所にキャンプに来る人はゐないと思ふ。猛烈に釣りをしたい。砂浜と言へばキス釣りだ。しばらく砂浜を歩いたり写真を撮つたりしながら海を満喫する。岐阜には海が無いから海が珍しいんだよ。牧川にも海はあるが岩場ばかりだから砂浜が特に珍しく感じる。ひとしきり誰もゐない前之浜海浜公園を堪能してから、最後に草スキー場を駆け下りる。アホみたいに怖い。こんなの子供が遊ぶ場所ぢやないだらう。傾斜が急過ぎる。

前之浜海浜公園1 ドラムエルタン号漂着之碑 前之浜海浜公園2 前之浜海浜公園3
前之浜海浜公園4 前之浜海浜公園草スキー場の山の裏側から見上げる 前之浜海浜公園砂浜から竹崎方面を望む 前之浜海浜公園砂浜
前之浜海浜公園5 前之浜海浜公園から門倉岬方面を望む 前之浜海浜公園草スキー場 前之浜海浜公園看板

前之浜を出て門倉岬へ向かふ。途中に七色坂といふ場所があつて、前之浜やその向うにある竹崎の風景を見れる。ここで宝満付近で遭遇した自転車の観光客にまた会つた。俺が前之浜で遊んでる間にここまで来たやうだ。その若者はそこで海を見てからそのまま門倉岬へ向かつたやうだが、俺は横道から山に入つてさらに一段高い七色観望台といふ場所から海を眺めた。前之浜の草スキー場などもよく見える。何だかよく分からんが、そこに上るまでの間に色んな石碑が建つてゐた。どれもこれも浜田藤太郎といふ名前が書いてある。何をした人なんだらうか。全部読むと大変なので読まずに適当に写真に撮つて後日読むことにした。日が暮れるまでに帰る必要があるからこんなところで大量に時間を消費するわけにはいかん。俺は字を読むのが遅いんだ。

七色観望台 七色観望台から見る前之浜1 七色観望台から見る前之浜2 七色観望台付近の石碑1 七色観望台付近の石碑2
七色観望台付近の石碑3 七色観望台付近の石碑4 七色観望台付近の石碑5 七色坂観望所から見る前之浜 七色坂観望所看板

ウコン農園山を下りて門倉岬を目指す。種子島最南端の岬。1543年にポルトガル船が漂着して火縄銃が日本に伝はつた。それによつて戦国時代の戦法が大きく変はり、歴史も大きく変はつた。今NHKか何かでその頃の時代劇をやつてるんぢやないか?再放送なのかもしれんが、最近Gacktが出てるのを見たぞ。真つ直ぐ門倉岬を目指し、直前の自販機でコーラを買つてから到着。まづはウコン農園の看板を撮影。ウコンには反応せざるを得ない。写真を弄つてコとウを入れ替へたい。駐車場には車が1台あつた。そして俺が到着するのとほぼ同じ頃にもう1台来た。季節外れの観光客が多いな。やはりここと宇宙センターが一番観光客が多いのかな。後から来た車には若い男が3人乗つてゐた。明日は浦田に行くとか話してゐた。屋久島の話もしてゐたのでここら辺を観光してゐるんだらう。その3人のすぐ後ろを歩いて奥へ行く。俺の方が先に門倉岬に着いたんだが、ウコン農園に気を取られてゐるうちに3人が先行することになつた。門倉岬で石碑や船を撮影しながら歩いてゐたら、奥に自転車を押して歩く例の若者がゐた。宝満近辺から10km以上もの間、ほぼ同じペースで移動してゐる。俺はバイクなのに。まあ前之浜で遊んだ分があるんだが。その若者はもう門倉岬を見終つて次の場所へ向かふところだつた。3人の若者は適当に見て携帯で写真を撮つたりしながらすぐに帰つて行つた。少し下にある神社の付近で蝉を見つけた。この蝉は何だらうか。可児にはゐない種類の蝉だ。見た目はツクツクボウシに似てるが一回りデカいし鳴き方が全然違ふ。ヒグラシとかいふやつだらうか。それを撮影してゐたら神社の奥の方から若い子供連れの夫婦が出てきた。最初に停まつてた車の主か。こんなに観光客に遭遇するとは思つてなかつた。結構長居して崖の下の猛烈にルアーを投げたくなるやうな岩場を撮影したりしてゐるうちに誰もゐなくなつた。コンクリートでできた船が置いてある。それに上つてみる。舳先の階段が異様に幅が狭くて昇りにくい。横向きぢやないと難しい。

門倉岬入り口の銅像 鉄砲伝来記 看板 鉄砲伝来紀功碑 門倉岬から見る前之浜方面
門倉岬の公園内の風景 慰霊之碑 門倉岬 何かの石碑1
ポルトガル海軍が建立した石碑 マカオ政府による日ポ友好の祈念 崖の下の岩場 セミ1
セミ2 神社 何かの石碑2 ポルトガル船のオブジェ
舳先の階段 舳先 船から見下ろす門倉岬の公園 船から見下ろす

帰りは門倉岬を出てすぐに北上して島間港経由で島の西側を通つて帰る。7月10日頃に親と車で通つた道だ。あの時は雨だつた。今日は晴れてゐるが暴風だ。海から霧状の海水が風に乗つて来るので眼鏡がすぐに曇る。突風に煽られて真つ直ぐ走れないのが怖い。門倉岬から5kmほど行つた場所で例の自転車を追ひ抜いた。速いな。かなりのスピードで島を回つてるな。もうこの先で遭遇することはあるまい。真つ直ぐに帰らず島間港に寄り道。屋久島に行く時はここから太陽丸といふフェリーに乗らうと思つてゐる。フェリー乗り場がどこなのか知らないと困るので寄つてみた。しかし港には着いたがどこで乗るのか分からない。待合所といふ看板が出てたがそれらしき物も見当たらない。そもそも切符はどこで買ふんだらう。ネットで調べる必要があるな。

長浜海岸の南端付近島間港を出て帰る。少し北上すると長浜海岸に出る。これは浜津脇の直前ぐらゐまで10km以上に渡つて延々と続く長い砂浜だ。ここにはウミガメが産卵に来るらしい。あとはハマグリがゐる。海岸沿ひにずつと北上できれば良いんだが、少し行くと山に邪魔されて内陸部に入るしかなくなる。なので長浜海岸が見えるうちに写真を撮つておいた。この先は山へ突入。車で通つた時もどこを通つてるのか分からないやうな状態だつた。同じ道を行くのでも良いが、今日は途中から違ふ道を通らうと思つてゐた。看板に従つて道なりに行くと前回と同じ。だが、途中で明らかに太くでデカい道路が東側へ延びてゐる。そちらへ行つたらどこに出るのか。まづはその分岐点まで山の中を走る。上つたり下りたりを繰り返しながら進む。そして分岐点を右へ。太い道だが先がどうなつてゐるか分からない。あの山に入つた瞬間に細くなる可能性は十分ある。だがそのまま太い道だつた。サトウキビ畑と山を突つ切り、満足山といふ地域に出た。ここか!先日長谷に行く途中で通つた辺りだ。そのまま行つたら国道58号に出た。何だ、こちらの方が楽で早いぢやないか。

国道58号をそのまま北上し、野間を過ぎて納官の辺りで敢へて左へ。納官の辺りから長浜海岸へ行つてみようと思つたのだ。しかし曲がつた瞬間に猛烈にウンコの臭ひが漂ひ始めた。何だこれは。この辺りで畜産業でもやつてるんだらうか。そのまま奥へ進み、標識といふか立て札に従つて長浜海岸を目指す。アスファルトではなく砂利を混ぜたコンクリートの道になつた。そして道路は壊れてゐるので走りにくい。茶色い巨大な牛が何頭もゐた。やはり畜産をやつてゐるらしい。凄く細い山道を急激に下つて行くと、突然海が見えた。谷間を無理矢理下つて海岸に出た感じだ。当然誰もゐない。砂浜に出て写真を撮つたりする。やはり風も強いし波も高い。ハマグリの殻が砂に大量に混じつてゐる。やはりこの浜にはハマグリがゐる。もう季節は終つてるからダメかもしれんがキス釣りも兼ねて一度ハマグリを拾ひに来ようかな。砂浜だから泳ぐこともできさうだが、離岸流が怖いから海には入らない方が良いかもしれん。

ウミガメを守りましょう 長浜海岸1 長浜海岸2
長浜海岸3 長浜海岸4 ハマグリの殻

来た道を戻らずに違ふ道を進んで行つたら宝来の辺りに出て来た。なるほど。今日はずいぶん色んな場所を走つたな。だがここからが最難関なのだ。浜津脇の手前から海岸に沿つた道になる。島間の近くでもさうだつたが、あの辺りは道路の横にブロックがあつて風の影響を受けにくかつた。だがここはモロに風を受けるので非常に危ない。テトラポットに当たつた波の飛沫がかかるぐらゐだ。風が異様に強い。突風で突然横に飛ばされるので速度が出せない。後ろに3台ぐらゐ車がゐるが、俺がフラついてゐるのでなかなか抜かうとしない。浜津脇港の手前付近で少し海から離れたが、風の影響は受ける。かなり怖い。何で今日はこんなに風が強いんだらう。昨日の夜からずつとだ。

家に帰つて写真をPCに取り込んでから飯。祖母が全く食欲が無い。ATL以外何も悪く無いし、ATLも今は悪化してゐる状態ではない。抗癌剤もやつてゐない。なのに食欲が回復しない。ほんの少ししか食べない。どうしても食へんらしい。この1ヶ月ぐらゐほとんど何も食はなかつたから胃が小さくなつたのかもしれん。今日はどこへ行つたかと聞かれ、南種子を色々回つたことを話した。祖母は農業だけでなく土木関係の会社で働いてゐたこともあるらしい。島間港から海に沿つて宇宙センターの方まで道路は自分が作つたと言ふ。前に宇宙センターに行つた日にも、射場のところを作つたと話してゐた。ずいぶん長い間働いてゐたらしく、種子島のデカい道路を敷く仕事を相当やつて来たやうだ。祖母は俺と違つて働き者だ。病気になつても畑に行きたがるぐらゐだからな。さすがに今は動けないから畑に行かないけど。

夜になつても風が強いまま。風と波の音がうるさい。明日は西之表より北側と、島の北東部を探索してみようと思ふ。西京ダムのところにあっぽ〜らんどといふ公園があるらしい。東海岸に鉄浜海岸(カネハマカイガン)といふサーファーには素晴らしく良い場所があるらしい。その近くに武田鉄也の別荘があると聞いた。適当に探索してみようと思ふ。

日記を書き終つた21時過ぎ、外で誰かが歩く音が聞こえた。網戸越しに暗闇を凝視すると、家の電気を反射する人影が見えた。こんな時間に客かよ。島民は早寝早起きぢやないのかよ。近づいてみたら焼酎瓶を持つた怪しげなオッサンだつた。誰だ。洗面所にゐた叔父に客が来たと伝へた。こんな時間の来客は叔父にも予想外だつたやうだが、どうやら知り合ひらしい。浮浪者かと思つたよ。既にベロンベロンに酔つてるし。どうも近所の人らしい。祖母の病気が心配で来たやうだ。まあ座れと言つて座らされ、焼酎を頂いた。祖母は食欲が無いせゐで体力が衰へて具合が悪い。今日も早い時間に寝てゐる。なのに夜遅く来て喚く。祖母を心配してるのは本当だらうが、酒を飲んで脳が麻痺してるからまともな判断力が無い。

祖母とは1万円貸せと言へばすぐに貸してくれる仲なのださうだ。祖母だけは嫌とも言はず金を貸してくれるらしい。何だそれは。1万円貸してくれと言へばすぐに貸してくれる仲といふのを何十回聞いただらう。俺の母親が美人だとかいふのも何度も言つてゐた。何の話をしに来たのか分からない。何度も何度も何度も何度も同じことばかり言つて鬱陶しい。酔つ払ひは嫌いだ。高校教師をしてゐるはずの叔父が長期間休んで種子島に来てゐるので祖母はもうダメなのではないかと思つてゐるらしい。叔父は教師を辞めるつもりだつたらしいんだが、周囲の人が辞めさせたくないみたいで、医者に診て貰へと言はれたとか何とか。で、鬱病と診断されて休職中といふ扱ひになつてゐるらしい。全然鬱病には見えないんだが、さう診断されてそれを根拠に学校を休まされてゐる状況。祖母のATLが発覚する前から休んでゐて、来年の2月までは休職らしい。祖母が病気になつたから休んで来てゐるのではなく、元々病気で休んでゐたと言つても酔つ払ひは信用しない。まあ病気には見えないからな。本当のことを言へと何度も何度も執拗に迫つて来る。叔父が仕方なく自分の鬱病の薬を見せたりしたが全く信用しない。今夏に叔母達も全員来たし、近所の人から見たら相当危ない状況に見えるんだらう。実際ここ2週間ぐらゐは夏風邪か脱水症みたいなので高熱を出して寝込んで飯もまともに食つてなかつたから、かなり痩せてしまつたし見た目も弱々しくなつてしまつた。いつも一緒にゐる俺や叔父すらも危ないのではないかと思ふほどに衰へた。だが病院に連れて行つたらATL自体は全然悪化してゐなかつた。むしろ俺が種子島に来たばかりの頃の方が抗癌剤もやつてゐたし湿疹も出てゐたし危険な状態だつた。今は飯を食はなくて衰弱してゐるだけだ。とは言つてもこのまま飯を食はなければ栄養失調とかで死んでしまふかもしれない。酔つ払ひはその衰へた最近の祖母を見てこれはもうダメなのではないかと心配して来たやうだ。

ATLのことは近所の人には言つてゐない。祖母の兄弟にも言つてゐないやうだ。だが九州地方に多い病気なので、発症例が少ないとしても今までに同じ病気で亡くなつた人が近所にもゐたことがあるのかもしれない。酔つ払ひはどうしても祖母がもうダメだと思つてゐるやうで、叔父が今は飯を食はなくて弱つてるだけで飯を食へば元気になると言つても信用しない。今弱つてるのはATLが直接の原因ではないから、その説明で間違ひはなからう。だがATLは今は治らない病気なのでいづれはATLで亡くなるだらう。その点では酔つ払ひの勘は間違つてゐない。しかし、叔父が何度大丈夫だと言つても本当のことを言へとしつこくしつこく迫る。聞いてゐて腹が立つほどくどい。叔父の鬱病のことも全く信用せず、医者が大丈夫だと言つて身内がさう思つてゐる祖母の病状に関しても信用せず、とにかくひたすら本当のことを言へと迫る。どう言へば納得するんだ。もうダメだと言へば満足するのか。

俺は酔つ払ひが嫌いだ。ただ陽気になる程度なら別に良いんだが、絡んでくる酔つ払ひが死ぬほど鬱陶しい。脳が麻痺してゐるくせに酔つ払ひはさういふ俺の気持ちを鋭く感知するらしい。どうも酔つ払ひは例外無く俺の態度が癇に障るやうで、いちいち鬱陶しく絡んで来る。お前は何しに来たんだとかお前はゐても何の役にも立たんとか言ひ始めた。まあ言はせておけばいい。面倒臭いから全部適当に頷くだけだ。そもそも俺に何か聞いても無駄だぞ。元々種子島の言葉は半分ぐらゐしか理解できない。かういふことを言つてるんだらうなと予想したことが間違つてゐたりして話が噛み合はないこともよくある。ただでさへさうなのに、酔つ払つてゐるからますますわけが分からない。早く帰れ。同じことばかり繰り返しやがつて。話の内容は1分で網羅できるほど薄いのに夜遅く何時間も居座るんぢやねえよ。つーか昼に来い。

祖母が便所に行くために起きてきた。一言二言酔つ払ひと会話したが、具合が悪いのでまた寝室に戻つて寝た。普通なら睡眠の妨げになるから帰らうと思ふだらうが、飲み過ぎて脳が麻痺してるからダメだ。弱つた祖母を見てまた叔父に本当のことを言へと迫る。また叔父が同じことを答へて酔つ払ひは満足しない。永久ループ。どうすれば満足して帰りますか?酔つ払ひが時々俺に祖母の様子を見て来いと言ふ。最初のうちは寝室の方を指差してゐたが、そのうち便所の方を指差して様子を見て来いと言ふやうになつた。飲み過ぎだな。自分のばあさんの具合を見に行くこともできんのかと今にも怒り出しさうだ。だが叔父が祖母の睡眠の邪魔をするなと言ふ。酔つ払ひには何を言つても無駄のやうで、何度叔父が静かに寝かせてやれと言つてもすぐに俺に様子を見に行かせようとする。そしてつひに叔父がキレた。

ゆつくり休ませねばならんのに様子を見て来いと言つて祖母の睡眠の邪魔をする。何度説明しても祖母はもうダメだと叔父に言はせようとする。それを延々と繰り返す。2時間もその繰り返し。何度言つても叔父の言ふことを信じようとしないし、祖母はもうダメだと思つてるといふやうなことを何度も言ふ。寝かせなければいけないのに起こすやうなことを言つたり人の親のことをもうダメだとか死ぬとか言ふな!帰れ!みたいな感じで叔父が怒り始めた。その態度に酔つ払ひが逆ギレして叔父に殺すとか言ひ始めた。しばらく時間が経つと殺すと言つたのは叔父だと思ひ込んでゐる。祖母が死ぬとかもうダメだとか言つた覚えも無いらしい。もうダメだ。マジで早く帰れ。うるせえ。かういふ奴には酒を飲ませたらダメだ。酔つ払ひが来る前に布団に入つてゐれば寝たフリでスルーできたのにな。途中で退席するとますます機嫌が悪くなつて引き止められて悲惨な展開になるだらう。ゐたらゐたで早く寝ろとか言ふし。面倒臭えな。酔つ払ひの鬱陶しさは筆舌に尽くせぬ。俺に構ふな。俺に話し掛けるな。酒を飲むな。何で俺がこんな目に遭はねばならんのだ。とにかく帰るのを黙つて待つしかない。早く帰れ。何でも良いから早く帰れ。とにかく帰れ。今帰れ。すぐ帰れ。たちどころに帰れ。著しく帰れ。

結局24時頃まで酔つ払ひの相手をさせられた。まあ俺はただ見てるだけだつたけどな。祖母もうるさくて眠れず寝室で起きてゐたやうだ。酔つ払ひはまた昼に来るらしい。昼なら酒を飲んでないから大丈夫だらう。酒さへ飲んでなければ結構普通の人かもしれない。どうやら近所の人達は祖母がもうダメだと思つてゐるらしい。叔父はそれを必死に隠してるけどモロバレさ!といふ雰囲気。心配して来てくれるのはいいが、夜遅く酩酊状態で来るな。酔つ払ひは激烈に鬱陶しい。俺も酒をよく飲むし酒に滅茶苦茶弱いが、こんな風になつたことは無いと思ふぞ。でも自分が無いと思つてるだけで周囲に迷惑を掛けたことがあるのかもしれんな。酒は怖い。飲むなら可能な限り誰もゐないところで1人で飲むべきだ。と言ひつつライブ本番中にステージ上でウイスキーを原液で飲みまくつて脳がモワモワしてフラフラして、でも演奏は何故か普通。

話題:種子島&屋久島 2007年夏

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