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犬土偶日記

海の近くに住みたい

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話題:種子島&屋久島 2007年夏

2007年07月28日

犬土偶旅行記 26日目 大工の源さん9時間勝負

公開日時: 不明

朝起きたら凄い疲労感。やはり昨日海の岩場を歩き回つてやられたらしい。朝飯を食つてから早速出発。西之表港と牧川の中間地点辺りの、島の真ん中ら辺。奥深い山。海など全く見えないほどの奥地。道路も舗装されてゐない。古田といふ地域らしい。そこに肺癌手術が成功して奇跡的に元気になつた親戚が住んでゐる。その家がシロアリにやられて悲惨なことになつてゐたらしい。種子島ではシロアリのことをシラムシと言ふ。武田鉄矢の別荘が種子島のどこかにあるらしいんだが、そこもシラムシにやられて悲惨らしい。

現場に着くと、既に他の親戚が作業をしてゐた。どういふ親戚なのかはよく分からないが、恐らく祖母の兄弟とその家族だらう。昨日から作業してゐたやうでだいぶ進んでゐたが、想像を遥かに超えたことをやつてゐた。大工でもないサトウキビの農民がやる修復作業など大したことないと思つてたんだが、床を全部剥いで床下の土台から作り直してゐる。シロアリの薬も撒いてコンクリートのブロックに柱を置いてその上に横向きの柱を何本も打ち付けてある。あとは床板を張るだけといふところまで来てゐた。普通に大工が家を作つてゐる感じ。板も既に用意されてゐて、庭には何故農民が持つてるんだと言ひたくなるやうな大工道具が揃つてゐる。電気のカンナとか電動ノコギリとか色々。種子島の人は家も自分達で作るんだらうか。

俺の仕事は床板を電動カンナで削ること。意外と難しい。板には表裏があるし、前後の木目の方向もあるらしい。木目は判断が付きにくい物がある。少し板が反つてゐたりすると両端しか削れないなんてこともあるし、かと言つて何度も削ると床の高さが合はなくなるから1回でやらねばならんとか、凄く大変だ。途中で止めたり引つ掛かつたり速度を変へたりするとムラが出る。それに、ある程度押し付けるやうにしないと削れない。この力も均一でないといけないし、それを中途半端に低い姿勢でやるから、足を踏み出す時にブレたりもする。最初の方にやつたやつは結構悲惨な表面処理になつてしまつた。後半は慣れてだいぶマシになつたが、疲れて力が入らなくなつたりして酷いものができたりもした。

奥の風呂場の床を張るところは狭いからよく見てなかつたが、他の2部屋は間近で見てゐた。1部屋は俺が表面処理をした細い板を並べて釘を打ち付けていく。もう1部屋は綺麗に表面処理されて売られてゐるフローリングの綺麗なやつを並べていく。ただ並べるだけでなく、一応釘を板の継ぎ目に斜めに打ち込んで固定するらしい。フローリングの部屋は叔父や他の人がやつてゐた。家を作つた大工が部屋を少し大きめに作つたらしく、店に売つてるフローリングセットでは板が数枚足りなくなる。その隙間は他の板で上手く合はせていく。部屋の形が完全に直角の四隅でできてゐないので端の方は板の形を変へないといけない。さういふ微調整も上手い。みんな大工で食つていけるんぢやないのか?

板のカンナ掛けが全部終つたので、奥の板張りの部屋の床板を打ち付けるのを手伝つた。これは釘を床下の柱に打ち付けるだけなのでラク。今日も灼熱だが、昨日と違つて風があるのでかなりマシ。それでもかなりキツい。相当大量の水分を補給したが、全く尿意も来ない。おやつ休憩2回と昼飯を挟み、朝9時からずつと作業でいつの間にか夕方。

床板を張るのが終つたので近所の別の家に置いてあつたベッド等を軽トラで取りに行つて運び込む。俺は軽トラの荷台に乗る。ベッドを載せて戻る時にふと後ろを見たら、トラックからはみ出した部分でベッドが分解しさうになつてゐた。攣りさうになりながら無理な体勢で落ちないやうに持つたりした。新しくなつた部屋にベッドを運び込み、作業終了。作業開始前の状況を見てないのでどれだけ良くなつたのか分からんのだが、フローリングの部屋は普通に良い感じだつた。素人がここまでやるのか。本日の作業時間は9時間。俺は明日は腰を痛めて動けない気がする。

作業を終へて外に出たらツクツクボウシが鳴いてゐた。まだ7月だぞ。早過ぎるだらう。可児ではまだニイニイゼミが鳴いてゐてもをかしくない。ニイニイゼミ(7月)→アブラゼミ(7月下旬〜8月下旬)→クマゼミ(8月中旬)→ツクツクボウシ(8月下旬〜9月中旬)ぐらゐの感じだ。種子島はクマゼミが異様に多いが既に最盛期を越えようとしてゐる感じ。

作業の途中で誰だか知らない人(たぶん親戚)に「ナンネンセイ?」と聞かれた。この質問は種子島に来てから4回目ぐらゐだ。結構頻繁に客が来るんだが、俺のことを祖母に聞く時に「ナンネンセイ?」と聞いたりしてゐる。普通に考へて「何年生?」といふ意味だらうと思ふのだが、種子島弁なので違ふ可能性がある。全然違ふことを聞いてゐるのかもしれない。でも祖母が「もう大学卒業よ」と答へてゐたのを聞いたことがあるので、年齢に関する質問であることはほぼ間違ひないだらう。だからやはり普通に「何年生?」と聞いてゐる、と思ふ。何故普通に「何年生?」をそのまま受け入れられないかといふと、当然俺が30歳で「何年生?」と聞かれるのがあまりにも不自然だからだ。ちなみに祖母は大学卒業と答へるが、卒業はしてゐない。今回は祖母に聞くのではなく、直接俺に聞いてきたから俺が答へるしかない。最も安全な回答は「もう大学卒業よ」と祖母の真似して訛りながら言ふことだが、大学卒業してないし、そもそも大卒付近の年齢ですらない。「もう30歳です」と答へたら「ほう・・・」と何か興味なさげといふか意味が分からなさうな感じだつた。やはり違ふ意味の質問だつたんだらうか。ちなみに、種子島に来てから年齢を聞かれて30歳と言ふと大抵驚かれる。時間の流れが緩やかな島だから、俺が子供の頃に会つたことある人達は俺がもう30であることを信じられないのかもしれない。高校生ぐらゐだと思つたとか言はれたりもした。高校・大学ぐらゐに見えるらしい。もう30なんですが。

誠の碑の説明誠の碑昨日の晩から祖母が、石がどうとか兵隊がどうとか言つてゐた。あまり意味は分からなかつたんだが、近くに何か見るべき「石」があるらしい。帰りに見た。修復作業をした家のすぐ横の空き地の奥にあつた。眼鏡が無いのであまり字が読めんのだが、大東亜戦争中に種子島に来てゐた兵士が終戦時に岩に何か刻んで行つたらしい。観光地ではないと思ふので結構レア物だらうと思ふ。ちなみに、この石の解説にある串間サワ氏といふのが祖母の母親、つまり俺の先祖といふことになるらしい。歌が3つ書かれてゐるが、「讃える」といふ動詞はヤ行下一段活用なのか?ハ行下一段活用だと思つてゐた。終戦時はまだ現代仮名遣ひではなかつたはずだ。いや、そもそも後世の人が詠んだものなんだらうか。でも「ますらを」とか助動詞「む」とか古い言葉を使ふなら統一すれば良いと思ふ。まあどうでも良いんだが。

すげえ疲れた。家に帰つて風呂に入り、晩飯を食ふ。疲労が激し過ぎて飯を食ふのも大変だ。それにしても、普通に種子島で何もせずに過ごしてるだけで色んなことを体験できるな。バイクを失つて1週間。遠出はできない。叔父が車を使つて良いと言ふが、バイクの中に眼鏡を置いてきたので運転などできない。普段から海の中にゐるやうな感じだ。

明日は参院選。俺は投票しない。といふかできない。期日前投票開始の時点で既に種子島に来てゐたのでどうにもならん。まあ何とかすればこちらで投票することもできるのかもしれんな。・・・と選挙の話題から書き始めて話を逸らしながら長々と書いてるうちに普段の犬土偶日記みたいな文章になつてしまつた。旅行中はつまらなくても普通の日記にしようと思つてゐるのでこれ以降は削除することにした。朝鮮と手を組んでアメリカに原爆落としてけたたましく爆笑しようぜとか、さういふ話になつてしまつたので。

明日は四日潮だと祖母が言つてゐた。ミッカジオとかヨッカジオとか言つてたんだが、漢字で書くと四日潮で良いんだらうか。26日からの潮らしい。よく意味が分からんのだけどね。山人だから潮汐とかの知識が全く無い。四日潮が貝拾ひには良いらしい。ずいぶん遠くまで潮が引いて行くやうだ。普段海の底に沈んでゐるところが陸になつたり相当浅くなつたりするのでデカい貝が採れたりするのかもしれない。とにかく、デジカメに防水プロテクタを装着しておいた。

話題:種子島&屋久島 2007年夏

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