海の近くに住みたい
公開日時: 2016年02月27日 19時14分05秒
3日目。激しい睡眠不足だつたから起きれないかと思つたが、普通に起きることができた。叔父は風邪が激烈に惡化。熱があり關節も痛むらしい。俺は變化無し。外は雨。風も強いし、まともに觀光はできないやうに思へる。種子島の觀光はほとんど外だからな。建物内の觀光と言へば、宇宙科学技術館、赤米館、鐵砲館、廣田遺蹟の博物館、他に何かあるだらうか。宇宙科学技術館以外はつまらないかもしれないな。宇宙センターも何度も行つてゐる。俺は最近出來た廣田遺蹟の博物館に興味がある。どうせショボいだらうと分かつてはゐるが、じつくり見てみたい。ただし、他の誰も興味は無いだらうから、大勢で行くべき場所ではない。いつか一人で來た時にじつくり見たいと思つてゐる。そんな日が訪れるのか分からんけど。取り敢へず宇宙センターだけは行くことになつた。他は天氣を見て適當に。
まづは前囘來た時と同じやうに野間の喫茶店でモーニング。ただし叔父は風邪が酷いので留守番。親の同級生が迎へに來た。元看護婦の小母さんが叔父はインフルエンザなんぢやないかと言ふ。確かに激しくインフルつぽい感じだ。もしさうなら無防備な俺は危險なんぢやないのか?とにかく3人で野間の喫茶店へ。毎日のやうに來てゐるらしい。結構な値段だから物凄い出費なんぢやないか。金持ちだからこれくらゐどうでも良いのか。老人が話し掛けて來た。行く先々に親の同級生の知り合ひがゐる。
朝の飛行機で叔父の家族が來た。いきなり叔父の部屋が閉め切られて隔離される。今日は種子島を觀光するために來たのに叔父がこんな状態で天氣もアホみたいに惡い。何しに來たか分からんな。しばらくして叔父を病院に連れて行くことになつた。親の同級生と親と俺の3人が乘つた車で病院まで先導する。後ろから叔父夫婦の車が來る。從妹達は留守番かな。
中種子の病院に到着。インフルの疑ひがあるので入れて貰へないやうだ。接觸者なので奧さんも車の中で待機させられる。この間に感染してしまふかもしれないので物凄く嫌さうな感じだつた。俺達はもう病院にゐる意味が無いので去る。その前に、ここで宇宙センターの施設見學ツアーの豫約をしておくことになつた。豫約しなくても空きがあれば飛び込み參加OKだ。俺は10囘は見てゐるが豫約したことが無い。2007年8月5日だつたかな。横濱の叔母の家族と俺と叔父の5人で觀光した時には叔父が豫約してゐたが、それ以外は俺は豫約してゐない。豫約したら必ずその時間に行かねばならんといふのがストレスになる。その時の氣分のみで行動したい。當日でも數時間先の氣分が豫測できないからな。昔は豫約無しでも餘裕だつたが、最近は難しいかもしれない。で、電話豫約したんだが、全員の住所と名前と年齢を聞かれた。死ぬほど鬱陶しい。代表者だけで良いと思ふんだが。取り敢へず人數と代表者の名前だけで豫約して、向うに着いてから申し込み書に記入するといふやうにすれば良いだらう。融通が利かんな。昔はさうだつたんぢやないか?そんなのどうでもいいから超絶適當にそれらしい架空の住所とか言つておけば良いのに親は糞眞面目に住所を言つてゐた。ただし年齢だけは適當だつた。中途半端だな。
Aコープに寄つて芋を見る。昨日も見たんだが、昨日は寺に行く時間が迫つてゐたので買はなかつた。タンカンは親の同級生が手配してくれるのでここでは買はない。芋は同じ安納芋でも色んな種類がある。ラベルには安納芋としか書かれてゐないものもあるし、安納紅とか安納こがねと書いてあるものもある。紅はるかもあるが、あれも安納芋の一種なのか?違ふよな。紫芋もある。紫は珍しいだけであまり美味くないんだよな。甘みが少ないし、食感がジャガイモつぽい。ポリフェノールだか何だかが體に良いといふのもどうも疑はしいらしいし、そんなに喜んで食ふほどのものではないかな。1袋に4個か5個入つて100〜150圓程度だからかなり安い。ネットで高級なやつを買ふととんでもない値段になるよな。かういふスーパーで普通に賣つてゐるやつは糖度が激烈に高くて見た目も良い高級品ではないから安いんだが、それでも他所で買ふとこんな安い値段では買へない。ここで大量に買つて段ボールに詰めて送る。送料で結局結構な値段になるんだけどな。+1000圓。父親に頼まれたものはこれでOKだらう。バンドのメンバーにも少しあげる。自分でも食ふ。2箱ぐらゐ欲しい氣もするが、芋は寒さに弱い。種子島より寒い可兒で長期保存できるとは思へない。秋なら良かつたが、今の時期は大量に買はない方が良いだらう。
鮨やジュースを買ひ込んでゐた。晩飯はそれなのか?晝飯なのか?よく分からんが今日はもつと良い物が食へると思つて期待してゐたのに殘念だな。と思つたが、これは叔父の家族の分らしい。今日は夜に同級生達とまたどこかに食ひに行くやうだ。だが叔父が寢込んで動けなくて行けさうにない。かと言つて叔父拔きで叔父の家族を連れて行つても知らない人ばかりで居心地が惡いかもしれない。あまり氣にしない人達だと思ふけどな。叔父を1人殘すのも可哀相だし、まあ家族水入らずでふれあひの里で飯を食へば良いのではないかといふことらしい。逆にそれはインフル感染の可能性があるから嫌だと言ひさうにも思へるんだが。まあとにかくさういふことで叔父の家族は宿に殘して俺達だけで豪勢な飯を食ひに行くらしい。子供達だけでも連れて行けば良いのに。でもさうすると車に乘り切れないから結局叔父を1人殘すことになるのか。まあ仕方が無いな。なんでこんなタイミングで高熱を出すんだらう。運が惡いのも種子島の遺傳かもな。親達は後ろめたいのか、良い物を食つたとか言ふなよと釘をさされた。言はないけれども、隠し通すのは不可能だぞ。俺はその日にあつたことをある程度詳しく犬土偶日記に書く。豪勢な飯を食つたとなれば書かないはずは無い。叔父はこの犬土偶日記を見てゐるから、必ず知ることになるだらう。
親が冷凍落花生を探してゐる。永濱にも行つてみたがやはり無い。落花生を殻のまま鹽茹でして冷凍したやつがあるはずなのにどこにも無い。冷凍物だから年中あるはずだ。何故無いのだらうか。翌日に判明するんだが、驚異的な不作でもう島中探しても1袋も存在しない状態だつた。
宿へ。叔父は檢査の結果インフルではなかつたらしい。でも檢査のやつが鼻の奧まで屆いてゐなかつたのではないかといふやうなことを言つてゐた。症状は完全にインフルに思へる。本當にインフルではないのか?全員が猛烈に疑つてゐる。やはり坊さんもインフルだつたんぢやないのかと。インフルではないといふことでインフルの藥は貰はず、風邪の藥を貰つて歸つて來たやうだ。
外は雨。少し弱まつて來た。午後から晴れるやうな豫報らしいが、種子島の天氣は變りやすいからあまり當てにはならない。宇宙センターの施設見學ツアーを15時半から見ることになつてゐる。その少し前に宇宙科學技術館に行かねばならん。天候を見て、その前にどこか別の場所に行くかもしれない。その時の状況を見て柔軟に動かうといふことになつた。最初に草ノ木に行く。墓參りをして祖父母の家を見る。その後に寺に寄つて叔父の家族が祖母のお參りをする。そして宇宙センターへ。恐らく他を觀光する餘裕は無いのではないかと思へる。
出掛ける直前に便意に襲はれた。1日に何度もウンコが出る。ここで屠つておかないと後で必ず大變なことになる。家を出たらもう便所なんか無いぞ。といふわけで、急いでウンコを流し殺して一安心。叔父を殘して宿を出る。親と親の同級生と俺の3人が乘つた車の後を殘りの3人が乘つた車がついて來る。
草ノ木へ。まづは坂の下の方にある墓へ。だいわの横の上の親の從姉が定期的に墓の掃除をしてくれてゐるので荒れてゐない。なんでそこまでしてくれるんだらう。何か祖父母に物凄い恩でもあるんだらうか。祖父の墓と祖父の親の墓とそれ以前の誰だか分からない先祖の墓がある。古い墓は祖母ですらもう誰だか分からなかつたらしいからもう誰も知らない。祖父の母親と從妹は同じ名前だ。字は違ふけど。祖母は結構つらい目に遭はされたみたいだから何故そんな名前にするのかと嫌がつてゐたらしい。別に叔父は自分の祖母と同じ名前にしようと思つたわけではないだらうが、でも普通は同じ名前は避ける氣がする。叔父も變り者だからな。
この墓の手前の横に畑がある。祖母が安く買つたやつを叔父が買つたとかさういふことらしいが、農地法のせゐで名義變更できず祖母の名義のまま祖母が亡くなつた。そんなに農地法の許可つて出ないものなのか?叔父が買つたものだから叔父のものだが、法律上は相續といふことになる。相續人全員の同意が必要になるらしい。で、仲の良くない連中なので圓滿には行かないだらうとのこと。家や他の畑やその賃料債權なんかは揉めるかもしれないが、この畑だけに關しては猫の叔母は別に何も言はないのではないか思ふ。でも叔母に連絡すること自體も氣が進まないんだらうな。俺はこの畑で初めてオクラの木を見た。思つたよりデカくて驚いた。實が上向きに生ることもこの畑で初めて知つたし、放置するととんでもなく巨大な實になることも初めて知つた。畑の隅にスイカがゴロゴロしてゐたな。懷かしい。今ではもう畑の面影など無い。それどころか立ち入ることすら不可能だ。どこから入るのかも分からんし、中を覗いても隙間無く植物が生えて完全な藪だ。地籍調査で地目が農地から原野に變つたらしい。こんなになるんだな。
俺は詳しい事情は知らないのだが、遺産分割協議は濟んでゐないのだらうか。協議が濟んで分割濟みならば登記名義の變更なんかで揉める可能性などあり得ないだらう。まだ相續財産全て5人全員の共有といふことになつてゐるのではないかといふ氣がする。それぞれ1/5しか權利を持つてゐないにも拘らず、勝手に親と叔父の2人で家を大叔父に任せたり大叔母に貸してゐる畑の賃料債務を免除したり、自分の持分の範圍を超えて無權利者が勝手にやつてしまつたとなると、それこそ揉める原因になるだらう。家をどうするのかとかさういふことは、まづはしつかり相續を濟ませてからにすべきだらう。揉める可能性があるなら辯護士を立てて5人でしつかり協議すべき。家をどうするかとかは登記も全部濟ませてそれからだらう。關りたくないとか會ひたくないとかそんなことを言つて逃げてゐても仕方が無い。5人とも生きてゐる間にやらないと祖母の子の配偶者や孫にまで相續權が行つて面倒なことになるかもしれない。みんな猫の叔母がゴネるに違ひ無いと決めつけてゐるが、實際はどうだか分からんだらう。金は多少掛かるだらうが辯護士に頼んで祖母の財産を全て調べて財産目録を作つてしつかり協議して清算すべきだと思ふ。屋久島に行つた時、祖母は口頭で遺言めいたことをしてゐる。半分を叔父に、殘りは4人で均等に分ける。叔父はどこか定住する場所を決めたらそこに納骨堂を立てて祖父母を祀る。祖母は自分の病氣のことを知らなかつたから近いうちに死ぬとは思つてゐなかつたはずだが何故あの場面でそんなことを言つたんだらう。何か豫感はあつたのかもしれんな。でも親と一番下の叔母と俺が聞いただけだから證據も何も無い。揉めたらこの遺言は有效にはならないだらうな。半分を叔父、殘りを4等分、といふのにしても、遺言は無かつたことにして5等分するにしても、不動産はさう簡單に綺麗に分けることができないからかういふのはやはり專門家に任せた方が良いのではないかと思ふ。一度5人で直截會つてどうするか話し合つて揉めさうなら辯護士に頼めば良いと思ふ。協議で交渉の代理人ができるのは辯護士だけだし登記は司法書士しかできないし税務は税理士しかできないし、分業で色んな奴に高い金拂ふことになつて厄介だよな。相續税は掛からんか。そんなに財産無いはずだし。揉める可能性があるなら辯護士&司法書士、揉めないなら司法書士。こんなので何十萬も掛かるんだよな。さういふ職業に就くために死ぬほど大變な苦勞をしてゐるからそれくらゐは儲けないと割に合はないだらうが、拂ふ方はキツいよな。色々面倒臭いよな。もつと早くやつておくべきだつたんだらうな。一周忌の頃にでも。三囘忌の時に猫の叔母が發狂して絶縁状態みたいになつてゐるから今からやるのは相當エネルギーが要るだらうな。放つておくわけにもいかんし、長女である俺の親と長男の叔父が協力して何とか頑張るしか無いだらう。
祖父母の家へ。前囘來た時は庭も草が生い茂つてゐたが、今囘は庭の草は刈られてゐた。古田の大叔父が手入れしてくれてゐるらしい。家の中はボロボロ。2年半前とそんなに大きくは變らないが、叔父のPCがあつた場所の上の天井は前よりも剥がれ落ちてゐる。大叔父に家を處分して貰はうかといふやうなことも言つてゐたし、もうこの家を見ることは無いかもしれない。修理して使ふのか取り壞すのか、どうするのか知らないけど。見納めかな。色んな思ひ出のある家だ。寫眞や動畫に收めておいた。ここでテーブルの上に例のブツを發見。ピンク色のハエ叩き!2年半前にふれあひの里にあつたやつとは別のものなんだらうか。どう見てもこれと同じものに見える。あの時叔父は1人でここの掃除をした。その時に宿に持つて來たのではないかと思つてゐる。施設の備品にしては常軌を逸したレベルで使ひ込まれ過ぎてゐた。まづ間違ひ無いのではないかと思ふ。それを宿に置いたまま歸つたはずなのだが、何故ここにあるのだらう。あの後、誰がどうやつて移動させたのだらう。叔父が犬土偶日記を見て戻しておかうと考へたとしても、あれ以來種子島に來る用事など無かつたのではないか。たまに來て掃除してゐたんだらうか。親が同窗會か何かで來た時に戻したのか。いや、うちの親がそんなことをするはずが無い。謎過ぎる。實は家にあるやつと宿にあつたやつは異常なまでに似てゐただけで別物だつたのだらうか。考へにくい。謎だ。これだから種子島は面白過ぎる。このまま置いておくと今度こそ大叔父に處分されてしまふだらう。さりとて可兒に持ち歸る氣は無い。このハエ叩きは種子島にあつてこそ價値がある。緑のハエ叩きもあつたんだが、もう前囘に來た時には既に無かつたやうな氣がする。緑のやつはダメなんだよ。ヒット率が極めて低い。ハエが覺えるんだと祖母は言つてゐた。みんな馬鹿にしてゐたが、明らかにハエの反應が違ふ。覺えるのかどうかは分からないが、確實に何かあるよ。氣のせゐだとか言ふ奴の方が馬鹿にされるべき。マジで明らかに違ふから。いや、ハエについて熱く語るのはやめておかう。
草ノ木を後にする。次は寺へ。寺まで20kmぐらゐはあるのかな。種子島は信號機も滅多に無いし一本道だからだらうが、あまり遠いと感じない。どこでも餘裕で行ける感覺になる。可兒では用事があつたとしても20km離れた多治見にすら行きたくない。30km離れた小牧なんか絶對行きたくない。でも種子島滯在中はリミッターつきの原付でも餘裕で100km以上走り囘るからな。不思議だよな。天氣も良くなつて來た。ただし風は強い。寺に着き、坊さんの奧さんに挨拶して中に入る。祖母のお骨や位牌のある棚を開けて叔父の家族が線香を立てて拜む。
晴れて來たが、宇宙センターの豫約があるので激しい寄り道はできない。しかし直截行くと少し早い。どこか食ふ場所があれば何か食つて行かうといふことになつた。でもこの先には何も無いぞ。上中に少しあるかもしれないが、通常の飲食店は晝のラッシュが終つて準備中みたいなことになつてゐるのではないかと思ふ。實際さうだつた。數少ない飲食店は全てダメで、コンビニで何か買つて宇宙センターで食はうといふことになつた。パンとかおにぎりとかを適當に買つた。それにしても叔父の奧さんは驚くほどマイペースだな。車でついて來るスピードも異樣に遲いし、車間が物凄く開いたり意外と近くにゐたりで一定ぢやないし、かういふコンビニでも物凄くアホみたいに時間を掛けて選んでゐる。パン買ふぐらゐでなんでそんなに時間掛かるんだと親の同級生が呆れて笑つてゐた。コンビニの少し先に小學校跡地にできた市場みたいな場所がある。そこに少し寄り道することになつた。親がまだ冷凍落花生を諦めてゐない。行つてみたが無かつた。これだけ探して見つからないのは異常だらう。もうどこにも無いんだらう。他には特に買ふものは無い。コンビニで結構な時間を消費したこともあり、時間が迫つて來た。向うで飯を食ふ時間も考へると少し急ぐ必要がある。なのに叔父の奧さんはゆつくりと市場を眺めてゐる。うちの親が痺れを切らせてもうあまり時間が無いからと言ひに行つたがそれでものんびりしてゐる。マイペースにも程があるだらう。さう言へばあの人が焦つたり慌てたりしてゐるのを見たことが無いな。さういふ人だつたのか。もつとキビキビした人といふ印象だつたのだが。で、宇宙センターへ向けて出發。作り掛けてゐた新しい道路はもう完成してゐた。ここが縣道586號線になつたんだらうか。以前の細い曲がりくねつた道で深夜にロケットのパーツを島間港から運搬してゐたが、今はだいぶ樂になつただらう。うちの親はどこを走つてゐるのか全く分からんと言ふ。俺の方が種子島に詳しい。相變らず叔父の奧さんの車はゆつくりとついて來る。時間が無いことは分かつてゐるはずなのに全然ペースを上げない。これまで何度か止まつて待つこともあつた。別にこちらはスピードを出してゐるわけでもないのに。親の同級生は少しイライラしてゐたと思ふ。莖永に出て、宇宙科學技術館へ。最後に來たのはいつだらうか。もう何度も何度も來てゐる。施設見學ツアーも10囘は見たはず。打ち上げ準備とか何かの實驗とかで射場を見に行けないタイミングばかりで、結局射場は1囘しか見れてゐない。今日で2囘目。射場に行けない場合にのみ行ける別の場所も何度も見たし、7號機の實機が展示されてゐる場所が何らかの理由で奇蹟的に見れなかつた時には特別に竹崎展望臺の中の記者會見室を見ることもできた。あの建物の中は入れないので超激レア。何度も行つてゐると色んなレア物を見ることができる。今日は通常パターンだらう。ただ、今は射場でバスから降りることができないらしい。バス内から見るだけなんだと。俺が行つた時は外に出て見れたけどな。だんだんセキュリティが嚴しくなつてゐるやうだ。テロやスパイの可能性もあるからな。電話豫約の段階から既に鬱陶しくなつてゐるからな。ロケットの技術は少しも漏らしたくないんだらう。もしかしたら過去に實際に何かあつたのかもしれんな。
無事に宇宙センターに着き、外の景色の良いところで飯を食ふ。風が強過ぎてゴミが飛ぶ。厄介だ。世界一美しいロケット發射場と言はれる種子島宇宙センター。景色は確かにかなり良い。芝生も手入れされてゐる。飯を食ひ終り、建物の中へ。受付で施設見學ツアーの參加券やパンフレットみたいなのを貰ひ、呼ばれるまで待つ。床には以前は衛星だいちが冩した種子島の寫眞が貼つてあつたが、今は鹿兒島全體の寫眞に變つてゐるので種子島は小さくなつた。新たにだいち2號が撮つたやつなのかもしれない。一應賣店に入り、冷藏庫を確認。やはり冷凍落花生は無い。土産も特に買ふやうなものは無い。以前ここで宇宙食をバンドメンバーに買つたことがあるが、あんなものは1囘食へば良いだらう。科學館の展示を全て見る時間は無いが、一應入るだけ入つてみた。2階には行かず、すぐに出た。ここも何度も何度も見てゐるしな。施設見學ツアー參加者は集まるやうに言はれ、2列に竝ぶ。外に案内され、バスに乘り込む。俺の隣は叔父の奧さん。後ろに從妹2人、親と親の同級生はどこだか分からん。
まづは大崎第一事務所へ。H2ロケットの7號機が展示されてゐる。先に發射した8號機が失敗し、原因究明調査をしてゐる間にH2Aロケットが開發され、結局7號機は打ち上げられずに終つてここに展示されることになつた。機體のオレンジ色はさういふデザインなのではなく、斷熱材の色。そして表面はツルツルではなくザラザラしてゐる。その斷熱材の發泡スチロールの硬いやつみたいなのを觸らせて貰へる。いつも通りの説明。昔から犬土偶日記を讀んでゐる人は何度も同じ話が出て來てアホみたいに知つてゐるだらう。ただ、今囘は新しいものがあつた。ロケットを組立棟から射點まで運搬する車の車輪が置いてあつて、觸ることができる。これは初めて見た。何度來ても少しは變化があるから無駄ではないな。ここで色々眺めながら寫眞を撮つてゐたら、親の同級生の旦那さんが現れた。あの種子島辯が全く分からないといふ人。この近くで働いてゐるやうで、この時間の見學ツアーに來ることは豫め分かつてゐたので時間を見計らつて來たやうだ。青いJAXAの作業服を着てゐる。みんなで記念撮影。俺のカメラで親の同級生が撮つたが、建物内で少し暗いので微妙に手ブレしてゐた。俺がフラッシュを切つてゐたのが拙かつたか。念のため何枚も撮れば良いのに1枚だけだつたからな。まあ寫つてゐれば良いだらう。今日はロケットを組立棟から射點まで運搬する車が出てゐるんだと教へてくれた。超絶激レアらしい。これは本當に滅多に見れないやうだ。ラッキーだな。
次は大型ロケット發射場へ。施設に入る前に運轉手や案内の人のパスを機械に通してチェックしてゐる。組立棟の裏に差し掛かつた邊りで注意を受けた。今日はロケットの臺車が出てゐるのでセキュリティ上、組立棟方向の撮影は禁止だとか。また強い望遠機能を使つた撮影も一切禁止。臺車が無くても組立棟の扉が開いてゐる時は撮影禁止らしい。前に來た時もさうだつたんだらうか。嚴しいよな。絶對に臺車や組立棟の方にカメラを向けないやうにと何度も注意を受ける。肉眼で見るのはOKなので目に燒き附けておけと。さう言はれれば撮影するに決まつてゐるだらう。俺は極惡人ではないが善人でもない。緑色の臺車をサクッと撮影。日記には載せないよ。どこかの國のスパイとかがそれを見て喜ぶなんてことになつたら俺は賣國奴になつてしまふ。客がこの緑色の臺車のレア度について質問してゐたが、案内する人もほとんど初めてに近いぐらゐの感じらしい。そこまで超絶激レアなんだと。良いものを見せて貰つた。
最後に總合司令棟。まあこれは特に何も無いな。過去のロケットの寫眞が後ろの壁に飾つてある。祖母が亡くなる10日前ぐらゐのかぐやの打ち上げの時の寫眞もあつた。祖父の十三囘忌の時に見たやつは無かつた。司令棟を出て戻る間に色々解説されたりクイズを出されたりする。3擇クイズで擧手で答へるやつがあつた。通常は全力無視だが1問目に知らない問題が出たので手を擧げてみることにした。第1問、宇宙で食べられないものは何か。1. 納豆、2. 生野菜、3. ラーメン。適當に野菜で擧手をした。正解は1番の納豆。納豆の絲が無重力で舞つて宇宙飛行士の目に入つたり機器の隙間に入つて故障したりするからダメなのださうだ。第2問、H2AロケットのHは何の頭文字か。水素hydrogen。何度も聞いたやうなことばかりなので擧手はやめた。
1時間15分ほどの施設見學ツアーを終へて科學技術館へ。17時で閉館。もう閉館間際だ。ツアーのアンケートを出すとステッカーが貰へる。以前は最初からパンフレットの中に入つてゐてアンケートに答へる必要は無かつた。なかなかやり方が上手いな。たぶんアンケート囘收率が數百倍になつたのではないか。俺も囘答してステッカーを貰つた。先日打ち上げた衞星の解説をじつくり讀んでみる。叔父の家族はどこかに行つて戻つて來ない。中をじつくり見てゐるんだらうか。閉館時間になつても出て來ない。ゆつくりし過ぎだらう。全く焦る氣配が無い。
あとは歸るだけだが、廣田遺蹟の方から平山へ出て親の同級生の家に寄つてから歸るやうだ。見學ツアーでよく止まるロケットの丘は今日は止まらなかつた。まづはそこに寄つて寫眞撮影。そしてグネグネ曲がる山道を走る。こんなところ知らんと親は言ふ。憶えてゐないんだな。2007年7月11日だつたか。俺が初の種子島長期滯在を開始してすぐの頃、親が岐阜から來て一緒に觀光でもしようといふことになつて叔父の車を借りて雨の中宇宙センターに行つたことがある。あの時、平山から莖永へ行くべきところを立て札に騙されて間違へて廣田遺蹟の方へ行つてしまひ、今とは逆方向だが、この道を通つて宇宙科學技術館へ行つたのだ。まだ俺も種子島のことは何も知らなかつたが、大雜把に地圖は頭に入つてゐたからその後は迷ふこともなく門倉岬の方から囘つて長濱海岸を見たりして歸つた。親が憶えてゐないのがをかしいのではなく、俺が憶え過ぎてゐるだけなんだらうな。猫のトラとか、まるで昨日のことのやうにあの頃のことをリアルに思ひ出せる。
廣田遺蹟の前を通る。遺蹟は海の方にあるから道路からは見えない。俺が行つた時は印があつただけで何も無かつたが、今はネットで見るとかなり色々できてゐる。もう一度行つてみたいなと思ふ。その少し先に、最近できた廣田遺蹟ミュージアムがある。入館料800圓ぐらゐだつただらうか。中は大したこと無いんだらうが、一度じつくり見てみたい。いつか見れる日が來るのだらうか。マングローブが見えて來た。ここの水位を見て千座の岩屋へ行くべきかどうか判斷すれば良いらしい。俺は氣象廳の潮汐表を見てから時間を見計らつて行つてゐた。海蝕洞窟だが干潮時を狙はないと中に入れない。今はダメつぽい。もうすぐ日が沈むから寄つてゐる時間は無いだらう。その近くにあるペンションが新しくなつてゐる。前囘來た時から既に變つてゐた。2007年8月5日に叔父と横濱の叔母の家族と觀光に行つた時に晝飯を食つたあのペンション。親の同級生によると、昔の人はもうやめてしまつて名古屋かどこかの金持ちが買つて改裝して新たに商賣を始めたらしい。
親の同級生は熊野神社の近くに住んでゐる。タンカンやら何やらを取りに家に寄る。前に來た時は猫しかゐなかつたが、今は犬もゐる。プードルかマルチーズか知らないが、何かさういふ小型犬。やたら元氣がいい。一瞬たりとも止まらない。常時走り囘つてゐる。犬は面白い。撫で囘して遊ぶ。もう旦那さんは歸つて居間で巨大なテレビを見ながら寛いでゐた。ああ、さうか。晩飯を一緒に食ひに行くから迎へに寄る必要もあつたんだな。太陽の里の東の方の裏から宿へ。叔父はまだ熱が下がらんやうだ。病院で貰つた藥も效いてゐないやうだし、やはりインフルなのではないかと全員が疑つてゐる。
叔父の家族を宿に殘して飯を食ひに行く。その前に燒酎を買ふ。宿の近くの酒屋へ。もう1人の親の同級生に酒屋に來るやうに電話で呼んでゐた。親の同級生はいつもここで燒酎を買ふらしい。なんかロケット關係で祈祷みたいなのをやるために神社に燒酎を供へるのださうだ。ロケット3段階の部品がそれぞれ屆くたびに神社に燒酎2本供へて儀式をやるのでロケット1發打ち上げるのに燒酎1升瓶6本必要になるんだと。こんな科學の最先端の裏側でもこんなことをしてゐる。面白いよな。かういふのは神だとか何だとか超常的なものに縋るといふことではなく、儀式によつて氣を引き締めるといふのが目的だ。俺が少し前に受けた厄祓ひでも自分の雜な行ひが災ひを呼ぶので謙虚に生きろみたいなことを言はれた。さうやつて自分自身を正すのが目的であつて、本當にオカルトに縋るためのものではないから勘違ひしてはいけない。神や佛や先祖が何とかしてくれるなどと思つてはいけない。神に縋るだとか、神頼みだとか、存在しない他者に全力で依存するのが目的ならば祈祷やお祓ひなど全く何の意味も無い。自分の内側にあるものに誓ひを立てて自分自身で良い方向へ進んで行くための儀式だ。人生は自分自身の力で切り拓くものだ。上手く行かないのは自分が怠けたり不攝生をした結果であり自業自得だ。神社にお參りして心を入れ替へてこれから謙虚に眞面目に生きて5年後10年後に良い人生を送れてゐるやうに頑張るしか無い。ロケットの打ち上げなんてのは相當シビアなものだらうから偉い人から末端の人まで神社で祈祷を受けて氣を引き締めて凄まじい集中力でやるんだらう。失敗は許されんからな。大變な仕事だ。で、俺がその酒屋で自分用の燒酎を買つて可兒に送るのだが、2本とか中途半端な數で送れさうな箱が無く、結局6本買ふことになつた。別に送れるんだらうけど親がもつと買へば良いみたいな感じで言ふので買ふことにした。次來るまで3年以上もあるしたくさん買つておいた方が良いかもな。來るたびに新商品ができてゐる。見たことが無いやつは當然全部買ふ。それだけでは6本埋められないので、過去に飲んだ中で完全に忘れてしまつてゐる大昔に飲んだやつを入れてみたりする。親が拂つてくれた。ありがたい。前囘と同じやうにこちらに來てからほとんど金を使つてゐない。
親の同級生をもう1人追加して車1臺に5人乘つて南種子へ。なんか高級さうな店だ。中も廣い。入ると生簀があり、ゾウリエビがゐた。これ高いんだよな。祖母が家のそばの海で捕まへてゐたが、俺は捕まへる以前に海で一度も見たことが無い。今日は風邪藥を飲まずに來たから昨日みたいなことにはならんぞ。まづは燒酎のお湯割りを注文した。最初はしま茜だつたかな。なかなか賣つてないんだよ。賣つても良い店が3つぐらゐしか無いらしい。空港賣店で買へるから買ふのはそんなに苦勞しないけどな。それに珍しいだけでそんな激烈に美味いわけでもない。刺身盛を注文して少しして店の人が來た。ゾウリエビを入れても良いかと。入れると2000圓ほど高くなるがどうするかと。いやいや、そんなの入れるわけ無いだらう。アホか。と思つたら普通にぢやあ入れてと。マジで!?お前ら金持ち過ぎだろ。ゾウリエビは薄つぺらいエビで、頭に身が入つてゐなくてシッポの薄い部分だけなんだよ。それ1匹2000圓で刺身にして一體どれだけ食ふ場所があるのかと。長さ5cm幅5cm厚さ1cm未滿ぐらゐの感じか?一切れ何百圓ですか?まあ俺の金ぢやないから喜んで食ふけどな。昨日と違つて色んな海の幸を食つた。醤油が甘いのが面白い。九州では醤油に最初から砂糖が入つてゐる。砂糖醤油で刺身を食ふと考へると結構違和感があるが、かういふ甘い醤油は九州でしか食へないからこの機會に全力で樂しむべき。魚やイカの天ぷらも食つた。鮨や茶碗蒸しも食つた。色んな話をしながら激烈に美味い海の幸を堪能する。宇宙センターでパンやおにぎりを食はなければ良かつた。燒酎4杯でかなり醉つた。もう少し大丈夫なはずだつたんだがな。あまり薄められてゐなかつたのかもしれない。後から來た方の親の同級生がゾウリエビの頭を持つて歸ると言ふ。味噌汁のダシにするんだと。祖母も味噌汁にしてゐた。種子島ではゾウリエビと言へば味噌汁なのだらう。まだ生きてゐる。頭と腹の附け根で切斷して腹側を裏返してそこに刺身が乘つてゐる形だつたが、アホみたいに生きて動いてゐた。何か持つて歸るための入れ物は無いか聞いたら店の人が下拵へしてくれると言ふ。シッポの方もダシが出るらしい。頭も眞ん中で半分に割るやうだ。このままだとすぐに黒くなつてダメになつてしまふので、今日歸つたらすぐに煮てダシだけ取つておけと言はれた。色々親切だな。トビウオも食へたし燒酎も大量に飲めたし、他の海の幸も堪能できたし、目的は達した。大滿足。このために種子島に來たのだ。口實に使はれた祖父には申し訳無い。法事でも寢てしまつたしな。ダメ過ぎる孫でスマン。Aコープの鮨やこれまで色んなところで貰つたものの殘りで晩飯を食つた從妹達には少し後ろめたい氣持ちもある。でもまあ俺は超滿足。ありがたう!種子島!!來れたらまた來るよ!來れなくても必ず來るよ!といふか寶籤を當てて移住するよ!もう決めたことだ。あとは當るのを待つだけだ。早くしろ。
宿に歸る。もうこれで終つた。明日は可兒に歸るだけ。何も無い。今日祖母の家から寫眞を大量に持ち歸つて來た。もう家を處分するやうなことを言つてゐたのでアルバム等をそのまま持つて來たのだ。要るやつは拔いて、他は處分する。俺が赤ん坊の頃の寫眞も大量にあつた。うちで見たことがある寫眞だけでなく初めて見るものもある。他の從弟達の寫眞もたくさんある。會つたことが無い親戚もまだまだたくさんゐるんだな。俺や弟の寫眞をいくらか貰つて歸ることになつた。祖父母の寫眞も少し貰つた。
さて、今日7號機のところやロケットの丘で撮つた寫眞をどうするか。從妹を何枚か撮つたからそれを渡さねばならんのだが、どうやつて渡すか。叔父のメールアドレスは知つてゐるがそのアドレスがまだ使へるのか分からない。うちのバンドのWebサイトにアップロードしてそれをダウンロードして貰ふのが一番確實だらうか。親から住所を聞いてネットプリントで印刷して郵送といふのでも良いが、生データを渡して自分達で好きなやうにする方が良いだらう。うちのバンドのサイトにはファイルダウンロード用のCGIがある。音源やライブ動畫などを公開する時に使ふやつだ。そのプログラムを利用するのが安全ではあるが、自分で正確なURLを憶えてゐない。dl.cgiといふプログラム名なのは分かるがどのディレクトリにあつたか憶えてゐないし、どんなパラメータを渡せばどんな動きをするのかといふのが自分で作つたのに全く憶えてゐない。dl.cgi?file=*****みたいな感じだつただらうか。dl.cgi?id=*****;pass=****みたいに複數パラメータだつただらうか。必要なパラメータ數もパラメータ名も憶えてゐないのでここではどうしやうもない。普通に公開ディレクトリにアップロードするのは少しだけ不安がある。ファイル名さへ知つてゐれば誰でもダウンロードできるといふことだから、萬が一偶然URLが漏れて知らない人に落とされればどんな惡用をされるか分からん。惡人が作つたプログラムがランダム文字列で總當りしてファイルを突き止めるといふ可能性も無いわけではないからな。でもまあ大丈夫だらう。渡す寫眞が何枚になるか分からんがZIPでUPするのでファイル名は1つで良い。家に歸つてから作業するのでまだそのZIPファイルは存在してゐないのだが、ファイル名とUPするディレクトリを先に決めておいて、そのURLを紙に書いた。それを叔父の奧さんに渡しておいた。歸つたらすぐにそのファイル名のZIPを作成してそのディレクトリにUPせねばならん。異樣にのんびりしてゐる人だから焦る必要は全く無いだらうし、もしかしたらダウンロードすらしないかもしれないけど。親と親の同級生はさういふことをしても理解できないだらうから、印刷した寫眞を渡す方が良いだらう。それも歸つてから手配することになる。
今日も日課のギター練習と筋トレはやらなかつた。
讀書80ページ。
公開日時 | 2016年02月27日 19時14分05秒 |
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本文文字数 | 16647文字 (タグ込み) |
URL | https://orca.xii.jp/br/diary/diary.cgi?id=dogoo;date=20160220 |
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