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2014年06月07日

奥飛騨旅行記 白川郷〜栃尾温泉

公開日時: 2014年06月12日 22時37分00秒

突然だが、奧飛騨の温泉に旅行に行くことになつた。寶籤が當つたわけではないので勘違ひして發狂して俺に敵意を抱くなよ屑が。まづ、何故さういふことになつたのか。3日ぐらゐ前に親から電話が掛かつて來た。携帶電話の電源が入つてゐてしかも手元に置いてあるといふ稀な状況だつたために出ることができた。電源が入つてゐても少し離れた場所にあつて面倒で出ないこともある。大體半々ぐらゐかな。最近は電池が切れやすくなつてゐて充電も面倒で電源が切れてゐることも多い。まあどうでもいい。とにかく親からの電話に出てみたら飲み屋かどこか賑やかなところから醉つて微妙に呂律が囘らないやうな状態で土日は暇かと聞かれた。日曜の夜にバンドの練習があると答へたら、夜なら大丈夫だと言ふ。何のことか分からないのでよく聞いてみると、週末に温泉に旅行に行くらしい。状況から考へて飲み屋の仲間と行くんだらう。去年俺が種子島に行つてゐる時に親とその飲み仲間で日間賀島に行つたが、それと同じやうなものだらう。數ヶ月に1囘ぐらゐさういふ旅行をしてゐるやうだ。それに何故か俺が誘はれたらしい。俺は居酒屋とかには全く行かない。酒は好きだが家で一人で飲みたい。うるせえ場所で大勢で騷ぎながら飲むのは好きではない。醉つ拂ひも嫌ひだしな。さういふわけで親の飲み仲間とはほとんど面識が無い。ただ、多治見の畑をやつてゐた人達は少しだけ知つてゐる。その人達も來るのかどうかは知らないし、誰が來るのかといふことに興味は無い。別に温泉旅行自體も特に行く必要は無い。行くなら一人が良いなと思ふ。いや、ゑりりんと二人がいい。しかし、行くのと行かないとどちらが面白いだらうか。それ自體が面白くないとしても、どちらが面白いことが起こる可能性が高いだらうか。俺の人生の基準は面白いかどうかだ。行かない選擇などあり得ないだらう。といふわけで行くことになつた。弟も行くんだらうなと思つてゐたが弟は行かないらしいことを出發直前に知つた。何故頻繁に飲み屋に行く弟ではなく俺が誘はれたのかよく分からない。

具體的な行き先も日程も何も知らないまま、準備もせずに前日になつた。明日8時に一緒に行く人を迎へに行くから7時40分には起きろと金曜夜に言はれた。で、深夜に寢たので朝が死ぬほどつらかつた。何とか起きれたが準備がまだだつた。朝起きて話を聞くと、どうやら一泊二日らしい。日歸りだと思ひ込んでゐた。さう言へば土日と言つてゐたな。場所はトチ何とか温泉、高山より少し向うの方らしい。高山の奧と言はれてもよく分からん。岐阜縣内なのか、長野や福井や富山や石川なのか。まあ行けば分かる。それよりも、拙いぞ。日課のギター練習ができないぞ。一泊すると知つてゐたら早起きして今日の分をやつてから出發といふことになつただらうが、もう時間が無い。日課のギター練習は2010年の8月2日から去年の9月14日まで1日も缺かさずに3年以上續いた。種子島旅行のために2日休んで9月17日に再開し、そこから昨日まで9ヶ月近く續いた。それがまた途切れることになるのか。嚴しい。どうせ1日平均で50分程度の練習なので1日單位ならやつてもやらなくてもほとんど同じなのだが、毎日やつてゐることが途切れることでやらないのが當り前になつて長期間サボるやうになると激烈に衰へる。途切れさせないことが非常に重要だ。繼續は力なりと言ふだらう。何をやつても三日坊主のお前らがウンコな人生を送つてゐることからも分かる。でももうどうにもならん。齒を食ひ縛りながら出發。もう引き返せなくなつてから氣附いたんだが、ギターを持つて行けば良かつたのだ。何故持つて行くといふ選擇肢を最初から除外してゐたのだらう。去年の種子島旅行で荷物のサイズの制限により飛行機内に持ち込めず、ハードケースが無いから預けることもできず、どうしても持つて行けなかつたといふことがあつた。その記憶のせゐで無意識のうちに旅行にはギターを持つて行けないものだと思ひ込んでゐたのかもしれない。車だから餘裕で持つて行けたのに。くだらないが致命的なミスだ。こんなことで日課の練習が途切れるとは。3年續いた日課を終らせた去年と比べると精神的なダメージは少ない。だからこそ、これを機に日課でなくなる可能性があるのが怖い。

輕く準備をして8時頃に家を出た。まづはガソリンスタンドへ。今はレギュラー1リットル165圓もするんだな。2007年の種子島で158圓もして、さすが離島!とか言つてゐたが今は全然そんなレベルぢやないんだな。原付に乘らなくなつてガソリンの値段を知らない生活が何年も續いてゐた。滿タンにしてから飲み仲間の家へ。長洞の人を拾つて飲み屋のオーナーの家らしきところへ。そこに集まつてゐた3人を乘せ、この6人でメンバーは揃つたらしい。女將は一度會つたことがあると思ふ。もう一人、畑に來てゐた人を知つてゐる。他は知らない人。車の中に飛騨のパンフレットみたいなのがあつたので見ながら色々聞いてみた。奧飛騨の栃尾温泉といふところへ行くらしい。そこそこ有名な平湯温泉よりもう少し奧の方。何も無ささうな場所だが、それゆゑ安さうでもある。そのまま高山方面へ向ふのかと思ひきや、まづは喫茶店に寄るらしい。折角夜に旅館で豪勢な飯を食ふのにこんなところで腹にどうでも良いものを詰めたら勿體ないぢやないかと貧乏臭いことを考へてしまふ。でも食ふぞ。今は體重を増やすことを優先したい。モーニングサービスをモサモサ食ふ。親が殘した分まで食ふ。便所で大量のウンコを放出した。最近無理して多めに食つてゐるからな。でも肉にはならず全部ウンコになつてゐる氣がする。全く體重が増えないし。喫茶店で適當に飯を食つてから高山方面へ。御嵩から高速道路に乘つてひたすら北上。國道41號線で行くんぢやないんだな。ていふか、こんなところに高速道路があることを知らなかつた。ETCが怖い。ゲートが開かなかつたらどうするんだ。全く信用できん。

ひるがの高原SAトンネルがアホみたいに多い。寢不足の上に朝飯まで食つてしまつて激しく眠い。ひるがの高原のSAで休憩することになつた。天氣は良くない。遠くに聳へる山々が全く見えなくて殘念。ひるがの高原は子供の頃に家族で來たことがある。小學校2年ぐらゐの頃だらうか。親の會社の同僚の家族と一緒に。旅館の横を流れる少し大きめのドブにニジマスが普通に泳いでゐてすげえと思つた記憶がある。夏だつたからスキーとかも無く、渓流釣りをするでもなく、何をしに行つたのかよく分からなかつた。子供の頃だからほとんど覺えてゐない。この邊りはスキー場が多いな。俺はスキーやスノボはやらない。寒いからな。一度だけスキーをやつたことがある。高1の冬のスキー研修だ。乘鞍へ行つたな。2月だつたかな。あの年の1月に俺の人生で數囘しか無いインフルエンザにやられて10日ほど學校を休んだことがあつた。スキー研修前に治つて良かつた。乘鞍では色々あつて樂しかつた。絶對にコケないといふ無意味な目標を立て、三泊四日(違つたかも)のスキー研修で一度も轉倒しないといふ偉業を成し遂げた。それから今日に至るまでスキーはやつてゐないし、これからもやることは恐らく無いので、生涯不倒の完全なる勝者だ。大學の頃付き合つてゐた連中もスキーには興味が無かつたやうで、大學時代もスキーに行くことは無かつた。俺達より少し前の俗に言ふバブル世代はバカみたいにスキーをやつてゐたさうだが、俺達の頃はもう完全に下火になつてゐた。スノボが流行り始めてゐたかな。椅子タンはかなり頻繁に滑りに行つてゐたが俺は一度も行かなかつた。寒いからな。今日は土曜だからか、人が多い。便所がアホみたいに混雜してゐる。かういふ時、女は大變だな。男は消化速度が速い。ウンコは時間掛かるけど。尿を流し殺して車に戻る。

ここまでは親が運轉してゐたが、ここからは別の人の運轉。相變らずトンネルが多い。トンネル1つ作るのに何年掛かるんだらう。トンネルよりも、山の上にある鐡塔が氣になる。そこら中の山に鐵塔が建つてゐるが、どうやつて作つてゐるんだらう。どう見ても人が入り込めないやうな山々に當り前のやうに鐵塔が建つてゐる。どうやつて資材を運び込むのか、どうやつて建設するのか。人力で鋼鐵の鐵骨を大量に運び込むのは不可能に近いだらう。道も無いはずだ。まづはトラックが通れるやうに道路を作るんだらうか。あんな奧深い山に道路があるやうには思へないし、道路を作るのが不可能に見えるやうな嶮しい山も多い。資材をヘリで運ぶとしても、組み立てはどうするんだらう。鐵骨1本を持ち上げるだけでも人力では困難だらう。あんな高い鐵塔を人力で組み上げるのは不可能に近い氣がする。クレーンの材料をヘリで運んで現場でクレーンを組み立てて作業するんだらうか。ただ組み立てれば良いといふものではない。基礎を作るために岩盤を掘つたりする必要があるのではないか。どうやつて建設してゐるのか全く分からない。やはり道路を無理に作つて重機を持ち込んで作るのかな。道路があるやうに見えないんだがな。不思議だ。今度調べてみよう。

どうやら高速道路の出口を間違へたらしい。高山から出て奧へ行くはずが、高山で出損なつてしまつたらしい。仕方が無いのでそのまま白川郷に行かざるを得ない状況。ならばついでに白川郷の合掌造りでも見て行かうといふことになつた。まだ時間的に早いし。行き當りばつたりな感じは結構好きだ。これは幸運の部類だらう。本來は見れなかつたはずの白川郷が見れる。俺は今まで世界遺産といふやつは屋久島しか行つたことが無い。これで2つ目だ。白川郷の手前で10kmほどある超絶クソ長いトンネルを通つた。よくこんなトンネルを作る氣になるよな。アホみたいに長い。眞ん中ら邊で事故や火災に卷き込まれて身動きが取れなくなつたら悲慘だぞ。5kmも走つて脱出とか考へるだけで氣が狂ひさう。

白川郷合掌造りトンネルを拔け、白川郷へ。合掌造りの家が大量にある谷には車では乘り入れできないらしい。少し離れた場所に駐車場があつて、そこから歩いて行くことになる。だが俺以外はみんな老人なので歩く氣は無い。小高い丘の上に展望臺があり、そこから見下ろすことができるらしく、展望臺へ行くことになつた。途中に普通の民家や農業用の小屋があつて普通に合掌造りになつてゐる。藁を綺麗に刈り込んで形を整へてあるんだな。死ぬほど面倒臭さう。展望臺から見下ろす絶景。少し離れてゐることもあつてあまり感動も無い。觀光客は多い。白川郷をバックに記念撮影をしてすぐに車に戻る。ここを見に來たといふのではなく、ついでに寄つてみただけといふ感じが激しい。山を下りてまた高速へ。長い長い長いトンネルを拔けて高山に戻り、今度こそ高速を脱出。

そこから下道を通つて行くのかと思つたら、また別の有料道路へ入つた。平湯の方へ向ふ。途中のサービスエリアで晝飯。さつき喫茶店で大量に食つたばかりだらう。なんでそんなに當り前に飯を食へるんだ。夜食へなくなるぞ。でも無理して食ふ。うどんを食ふことになつた。店の人が山菜の天ぷらをサービスしてくれた。山菜や山の幸の意味が分からない。茸類は分かるが、他は草ぢやねえか。大昔の食糧が少ない時に飢ゑを凌ぐために無理に食つてゐただけの物だらう?別に美味くて食つてゐるわけではないんだらう?海の幸は激しく美味いし榮養もあつて良いが、山の幸は本當に意味が分からない。全然美味くないし。野菜食へばいいぢやん。例へばトマトの側枝とかキュウリの葉とか雜草とかを無理して食つてゐるみたいな感じがする。今は他に食ふ物がたくさんあるんだよ。無理してそんな物を食はなくても良いのではないか。ハッキリ言つて食べ物に見えない。世間的には山菜は美味い物といふ扱ひなのか?全然理解できない。うどんは美味かつた。

國道158號線を平湯の方へ走り、平湯から國道471號線に入つて熊牧場の脇を拔け、栃尾へ。本格的に何も無い場所だな。店も無い。宿泊する旅館からさらにもう少し先へ行くと道の驛があるが、ほとんど何も無い。早く着き過ぎてしまつた。もつと寄り道しても良かつたかもしれない。道の驛で土産を見たりしてから旅館へ。だいぶ早いが入れて貰へた。ロビーのソファにカモシカの毛皮が置いてあつた。テーブルに雜誌類が置いてあつた。ここで本を持つて來るのを忘れたことに氣附いた。ギター練習だけでなく讀書すらも途切れるのか。何をやつてゐるんだ俺は。取り敢へず部屋へ。まあよくある感じの部屋だ。うむ。やることが無い。これは困つた。まだ15時前だぞ。暇過ぎる。親達も暇らしく、旅館の人に頼んで麻雀を用意して貰つてゐた。俺は麻雀はやらない。興味が無い。ルールも知らない。俺はIQが低いからあの手のテーブルゲームは弱い。加はれば間違ひ無くカモられて金缺死する。當然金を賭けてやつてゐるに決まつてゐるさ。近寄らないのが吉。ロビーに行つてソファに座る。雜誌でも眺めようと思つたのだ。他にやることが無さ過ぎるからな。で、雜誌の中に1册だけ普通の本があつた。正しい野外料理術といふ本。奧附を見ると20年ぐらゐ前の本らしい。これを讀んで時間を潰すことにした。日課の讀書はこれでOKだ。

1册讀み終へてまだ16時にもならない。どうしたら良いのか分からない。外に出てみよう。天氣が惡いのが不安だが。道路を挾んで目の前を流れてゐる川は高原川と言ふらしい。こんな山奧だとイワナとかヤマメとかゐるんだらうな。さういふ魚は釣つたことが無い。どうやつて釣るのかも分からない。川に下りる道を探したが見つからない。下手に川に下りて流されでもしたら大變だから近づかない方が良いかもしれん。道の驛まで歩いてみようかなと思つたところで雨が降り出したので小走りで旅館に戻つた。

高原川1 高原川2 高原川3 高原川4

やることが無い!何もしないといふのがこんなに苦痛だとは思はなかつた。飯は18時頃らしい。うおぉおぉおぉ!!暇!!何故ギターやノートPCを持つて來なかつたんだ。暇過ぎて暇過ぎてあまりにも暇が凄まじ過ぎて、テレビの電源を入れてみた。さうか。テレビを見る奴の氣持ちが理解できなかつたが、やることが無いつまらない人生を送つてゐるとテレビの電源を入れざるを得なくなるのか。子供の頃は何の疑問も持たずに當り前に毎日テレビを見てゐたが、恐ろしく時間を無駄にしてしまつた。時間とは即ち人生である。テレビなんぞに消費してしまつた人生はもう取り戻すことはできない。考へるだけで氣が狂ひさうだ。呆然としながら適當にチャンネルを變へて色々眺めてみる。クソつまらん。好きで見る奴の氣が知れん。何だこれ。ダメだ。今日といふ1日が無駄に消えてしまふ。何かやることは無いか。アホみたいに焦る。普段はやることが多過ぎて時間が足りないぐらゐだが、こんな状況は珍しい。かういふのも面白い體驗だな。毎日だつたら完全に發狂するけど。さうだ、筋トレだ。今日は脚の日。スクワットと脹脛。ハギはつま先立ちして踵を上げたり下げたりして鍛へる。コケないやうに壁や柱に手をついてやる。筋肉が明らかにダメージを受けてキツいといふところまでやつて數分休憩し、またやる。何セットかやる。トレーニング後30分の間に飯を食ふのが最強に良いらしいので飯の時間も考へながらやる。でもやり始めるのが早過ぎたな。飯までだいぶある。あまりにも暇過ぎて脚の筋トレ囘數の最高記録を達成してしまつたよ。何だこれ。

飯の時間になつたので大廣間へ。既に準備されてゐた。メインは鮎の鹽燒きか。海の魚の刺し身もある。小さい鍋みたいなやつの蓋を開けたら生の牛肉が乘つてゐた。飛騨牛だな。下に火をつけて燒くやつだ。鍋の中には野菜も少し入つてゐる。小魚の南蠻漬もある。他は山菜類だな。豪勢に見えるが量は少ないな。朝晝を拔いて來たら足りなくなつてゐたかもしれない。早速食ふ。鮎は腹の中に卵が滿載だつた。まるでシシャモだな。同じキュウリウオ科だから似てゐて當然か。でもワカサギは似てゐないよな。子持ちのワカサギを見たことが無いだけか。この時期にこんなにデカくて子持ちなわけが無いから冷凍物だらう。まあ味は惡くない。でも俺はあまり鮎は好きぢやないな。サケ科の魚の方が美味いと思ふんだがどうか。こんな山奧なんだからイワナとか出せば良いのに。高いから無理なのかな。飛騨牛は一寸燒き過ぎて硬くなつたが美味かつた。南蠻漬はシシャモだつた。本物ではなくカペリンだらう。山菜は辛い。やはり山菜といふのは本來飢ゑを凌ぐための物なので味よりも保存性を重視してゐるのだらう。この保存食としての山菜が田舎の本來の食ひ方なんだらうな。でも食べ慣れてゐないと少しつらい。美味い物ではないな。全體としては良いが、量が少ない。でも結局滿腹になるまで食ふことになつた。鮎は3匹も食つたし。飛騨牛も餘分に食つた。お前ら朝晝張り切つて無駄な物を食ふから夜が臺無しになるんだよ。喫茶店のモーニングとかSAのうどんとかで旅館の晩飯を臺無しにするなんて勿體ない。俺は食ふぜ。要らないなら全部よこせ。でも結局俺も朝晝食つたせゐで鮎をもう1匹諦めることになつた。米も2杯しか食へなかつた。

やはり海より山が良いよなーとみんなしみじみ言つてゐた。これは全く同意できない。山は負け組。海は勝ち組。海より優れてゐる山など存在しない。海と比べて山のどこが良いんだ。年を取ると海が嫌になるんだらうか。山の良さが見えて來るんだらうか。俺は寶籤を當てて種子島に移住するつもりでゐる。負け組の山から脱出して海で勝者として暮らすのだ。毎日海の幸。素晴らし過ぎるだらう。山?何も無いぢやないか。年を取るにつれて山派に移行したのか、それとも元から山派だつたのか知りたいところだ。人間の性質として加齡とともに山派へ移行するのが自然なのだとしたら、寶籤を當てて種子島に移住するのは失敗といふことになるかもしれない。いやいやいやいや、どう考へても海の方が良いだらう。不安にさせないでくれよ。

カラオケをやらうといふことになつた。廣間にはカラオケマシーンが置いてある。1時間500〜1000圓らしい。何故値段に幅があるのかね。しかし電源が入らないらしい。OAタップを見たら1口づつスイッチがついてゐるやつで、テレビ以外全部OFFになつてゐた。氣附いたが放置。誰が最初に氣附くかなと。思つたより早く氣附いた。長洞の人が。でもそこからまた問題が發生。テレビはつくのだが、カラオケができない。入力切替をテレビチューナーから外部入力にすれば良いよ。でもまた放置。これくらゐはすぐに氣附くかなと思つたが誰も氣附かない。旅館の人も分からないらしい。おいおい大丈夫かよ。いつもは息子にやらせてるけど今はゐないからとか旅館の人が言つてゐた。誰か電氣のプロはゐないの?と聞かれた。俺は電氣工事士の免許を持つてゐるが無職だからプロではないな。それに電氣のプロはこの場合は關係無いな。老人ばかりで分からん、若い人はゐないの?と旅館の人が言つた瞬間にみんな一齊に俺を見る。面倒だから期待されるのは嫌だ。まあ取り敢へず外部入力に切り替へてみた。カラオケの畫面になつた。あとは歌ひたい曲の番號を入れて歌ふだけだらう。と思つたが、使へませんみたいなメッセージが表示されてゐた。どうやら通信カラオケの契約が切れてゐるらしい。歌の本の一番新しいやつが2004年になつてゐた時點で豫想はしてゐたけどな。10年もの間誰もここでカラオケをやらうとしなかつたといふことだらうか。山奧だしメジャーな温泉から少し離れてゐるし、宴會をやるやうな團體客はほとんど來ないんだらう。なのに毎月カラオケ屋に基本料金とかを拂ひ續けるのもアホらしい。といふことで契約を切つたんだらうが、旅館の人ですらそれを知らない。できないものは仕方が無いといふことでカラオケは諦めてお開き。大廣間の前の廊下に小さい本棚があつて、本が置いてあつた。これを借りることにした。旅館と併設の隣の喫茶店に行けば漫畫が大量にあると言はれたが、漫畫なんか讀まなくて良い。普通の本が欲しい。適當に4册ほど借りた。

温泉へ。親達は飯の前に行つたので俺だけの貸し切りだ。俺達以外には宿泊客もゐない。屋久島や可兒の温泉は冷たいやつを沸かしてゐたが、ここの温泉は元から熱いやつらしい。熱過ぎて入れないので冷たい山水も一緒に出てゐる。ずつと垂れ流し。温泉と山水の配分を上手くやらないと厄介なことになるな。少し温度が高めの調整になつてゐた。44℃ぐらゐかな。1時間ほど入つた。本當はもつと入つてゐるつもりだつたが、疲勞が激しくて無理だつた。

十分體を拭いて汗が止まつてから出て來たはずだつたのに、また汗が噴き出て來てその後1時間ぐらゐ汗が止まらなかつた。親達もさうだつたらしいので俺の體調がをかしいのではなく温泉の效果なんだらう。窗邊で涼しい風を浴びながら讀書。鮎の養殖や魚道の研究をやつてゐた岐阜大學の人の本が面白かつた。表紙をめくつたところに本人のサインがあつたので、淡水魚の調査とかでこの旅館に來たりしてオーナーと知り合ひなのかもしれない。夜中の2時まで掛かつて4册讀了。晝に讀んだ野外料理のやつと合はせて今日は5册。本があつて良かつた。無かつたら暇過ぎて暇過ぎて氣が狂つてゐたかもしれない。面白い本に出會へて良かつた。可兒川の魚道は典型的にダメな魚道みたいだな。谷迫間から坂戸に出て行つたところにある農業用ダムには左岸に魚道がある。そこは子供の頃に椅子タンや俺が荒し囘つた場所だ。魚の溯上を妨げないやうに階段状になつてゐるのだが、その形ではほとんど溯上できないやうだ。その階段状の魚道の一番上をコンクリートブロックで堰き止めてダム本體より高くすると魚道の水が全部拔ける。あとは魚道内に取り殘された魚を一網打盡だ。鮎や鰻や鮒やニゴイやカマツカが大量にゐたな。モクズガニやタナゴもゐた。懷かしい。ダムの上の深いところで泳いだり隨分無茶な遊びをしてゐたものだ。

やはり日課のギター練習ができないといふのは落ち着かない。ギターを持つて來れば良かつた。聽かせてくれとか言はれて面倒なことになりさうだがな。2時過ぎに寢た。明日は歸るだけだが、高山市街とかに寄つて行くらしい。他にもたぶん寄り道するだらう。明日はどんな面白いことが起こるかな。そもそも起きれるのか。朝飯は7時だつてよ。早いわ。

ギター練習0分、スクワット450囘、ハギ350囘、讀書1075ページ。

Info.
公開日時2014年06月12日 22時37分00秒
本文文字数10140文字 (タグ込み)
URLhttps://orca.xii.jp/br/diary/diary.cgi?id=dogoo;date=20140607
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