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犬土偶日記

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2008年09月02日

屋久島2008 3日目 島一周

公開日時: 不明

朝8時に起きれるやうに目覚ましをセットした。何度も執拗に携帯のアラームが鳴つたがその都度アラームを止めて全く起きれない。やはり疲労が激しい。屋久島滞在日数が少ないので1日たりとも無駄にできんのだが、さすがに縄文杉の翌日は厳しいか。凄まじい疲労だ。当然のやうに二度寝してしまつた。俺以外に泊まつてゐた客は午前中に出て行つたやうだ。その音が聞こえたやうな記憶が微かにある。で、11時半頃に目が覚めた。夕方でなくて良かつた。今日は島を一周してみようと思ふ。

去年もレンタカーで島を1周したが、その時は反時計回りだつた。今年は逆で行かうと思つてゐた。同じ道でも向きを変へれば風景も変はるだらう。しかし、起きるのが遅くなつたので去年と同じく反時計回りに変更した。民宿は島の北東にある。島の西には西部林道といふのがあつて、山の中の細い道をグネグネと20km以上も走ることになる。島の西半分は人も少なく、何かあつた時に非常に困る。恐らく携帯電話も通じない場所がかなりあると思ふ。時計回りで行くと後半に西側を通ることになるのだが、民宿を遅く出ると途中で何かあつた時に西部の奥深い山の中で夜になる可能性がある。もしそこでバイクが故障したりしたら致命的だ。さすがに夜になればあんな場所に観光客は来ないだらう。地元の人もほとんど通らないだらうと思ふ。まだ明日に白谷雲水峡に行かねばならんので余計なトラブルは避けたい。といふわけで、去年と同じく反時計回りを選択した。

外に出たら素晴らしい快晴。今日は雨にやられることは無いかもしれないと思つた。宮之浦方面を見ると雨雲があるのでどうなるかは分からない。カッパを持つてゐるので雨が降つても大丈夫だが、できれば降らないで欲しい。余裕があれば一湊海水浴場か、永田いなか浜で海水浴でもしようと思つて水着とタオルとデジカメの防水プロテクタも持つて来た。水中眼鏡は種子島に忘れて来たので無い。海水浴場に売つているだらうと思ふ。水中眼鏡を装着して泳ぐことも想定して一応コンタクトレンズも装着しておいた。まづは飯を食つて行くことにした。小瀬田と宮之浦の間にあるラーメン屋へ。楠川の辺りだらうか。去年もその店に行つた。竹炭か何かを混ぜた黒い麺が珍しい。飛魚が丸ごと入つたラーメンとかもある。店に入つたら凄い人数がゐた。15人ぐらゐの大学生風の団体と女2人。何を食はうか迷つたが、去年と同じく角煮ラーメンの黒麺にした。量が多いので食ひ切れん。飛魚とさつま揚げが入つたやつは無理だと思つたのだ。角煮も相当キツいけどな。厚さ2cm以上の極厚チャーシューみたいなのが入つてゐる。鹿児島だけあつて汁が甘いので思つたより満腹感が来るのが早い。かなりキツかつた。昨日縄文杉を見に行かずに過ごしてゐたらたぶん食ひ切れなかつただらうと思ふ。店を出たら小雨が降つてゐた。その程度ならカッパを着るまでもないのだが、屋久島の天気は不安定だから少しでも不安を感じたらカッパを着ておいた方が良い。といふわけで着たのだが、この選択は見事に正解だつた。どんどん激しくなる雨。民宿を出てすぐの快晴が嘘のやうだ。

宮之浦港の手前のセルフスタンドで給油。9月1日から値下げされてゐるはずだが、離島なのでかなり高いだらう。昨日は縄文杉往復と温泉往復だけだつたので70km程度しか走つてゐない。まだ半分ぐらゐは残つてゐたと思ふが、一応ここで給油しておく。島の西側にはガソリンスタンドはほとんど無いだらうし、あつても高いに決まつてゐる。島の南の尾之間まで行けば安いスタンドもあるだらうが、宮之浦で満タンにしておけば給油無しで1周できる。ここで入れておけば良いだらう。で、3L程度入れた。1L199円だつた。

特に意味も無く宮之浦港の奥まで行つてみた。丁度巨大なフェリーが来てゐた。鹿児島から来たんだらうか。奥でUターンして港を出て一湊方面へ向かふ。雨は弱まつて来た。

志戸子の海まづは志戸子ガジュマルを見に行く。標識に従つて志戸子漁港の方へ入る。さう言へば今は大潮だつただらうか。丁度干潮ぐらゐの時刻だらう。ガジュマル公園に入る前に海に下りて写真を撮つたりした。水が綺麗だ。種子島と違つて何故か磯臭さが無い。海に下りる階段を歩きながら激しい筋肉痛で苦しんだ。やはり縄文杉のダメージは結構デカい。

志戸子ガジュマル公園は入園料200円。入り口でうちわを渡された。蚊がゐるから扇いで追ひ払へと言ふ。面白いな。結構狭いところにガジュマルやアコウが大量に生えてゐる。ガジュマルの北限は屋久島だと書かれてゐる。種子島の住吉のガジュマルの方が北にあるんだが、あれは自生ではなく大昔に沖縄かどこかから貰つて植ゑたやつだから関係ないのかもしれない。入園料200円だが、公園横の道路とか裏の畑から普通に侵入できる。狭いから勝手に入つてウロウロしてゐたらすぐに見つかつてしまふが、入れないやうにもう少ししつかりした門とかを作れば良いと思ふ。蚊はほとんどゐなかつた。異常なまでに蚊に刺されまくる俺が刺されなかつたんだから今日はゐなかつたんだらう。でもスズメバチがゐた。襲はれさうになつた。思はずうちわを振り回して走つて逃げた。一番危ないパターンだ。物を振り回したり急に走つたりすると逆に刺されやすくなる。でもあのオレンジと黒の縞々と強烈な羽音が間近に迫つて来て冷静ではゐられないだらう。逃げ切つた後で猛烈な殺意が湧く。絶滅させたい。苦しめて殺したい。さすがに種子島の住吉港のガジュマル防潮林とは比べ物にならない雰囲気。たくさん生えてゐるといふだけなんだが何となく凄く感じる。ここで大量の時間を消費しても仕方が無いので一通り見て次へ。

志戸子ガジュマル公園1 志戸子ガジュマル公園2 志戸子ガジュマル公園3 志戸子ガジュマル公園4
志戸子ガジュマル公園5 志戸子ガジュマル公園6 志戸子ガジュマル公園7 志戸子ガジュマル公園8
志戸子ガジュマル公園9 志戸子ガジュマル公園10 志戸子ガジュマル公園11 志戸子ガジュマル公園12
志戸子ガジュマル公園13 志戸子ガジュマル公園14 志戸子ガジュマル公園15 志戸子ガジュマル公園16
志戸子ガジュマル公園17 志戸子ガジュマル公園18 志戸子ガジュマル公園19 志戸子ガジュマル公園20

志戸子漁港を出て一湊方面へ。また雨が降つて来た。激しい風雨。海を見ると波が荒い。風が強くてバイクの前の籠の中のペットボトルが激しく舞ふ。いつ籠を飛び出すか分からない。昨日縄文杉を見に行く時に俺を潤してくれたアクエリアスのペットボトルだ。そんなのに気を取られて事故るのもアホなので道路脇にバイクを停めてシートの中に入れておいた。捨てるところがあれば良いんだが、なかなか見つからない。風も強いし雨も激しいし、一湊海水浴場にはほとんど人がゐなかつた。これは無理して泳ぐほどのものではない。といふか死ねる。スルーして永田方面へ。

しばらく行くとウミガメの産卵地として有名な永田いなか浜がある。ここは屋久島で一番綺麗な海水浴場らしい。だが天気が悪く波も荒い。海水浴客など全くゐない。取り敢へず写真や動画を撮つてみたが、晴れの日ぢやないとあまり綺麗ではない。

永田いなか浜1 永田いなか浜2 永田いなか浜3 永田いなか浜4

いなか浜を少し過ぎた辺りの永田川河口で海に下りてみた。砂なので歩きにくい。昨日の縄文杉登山のせゐで脚が猛烈に筋肉痛になつてゐる。海に下りる階段がかなりキツい。志戸子でも海に下りる階段がかなりキツかつた。今日は登山はしないので大丈夫だが、明日の白谷雲水峡はかなりキツいだらうと思ふ。ここで悲劇が訪れた。悲劇といふか便意といふか。ラーメンなんか食つたからだ。昨日は結局一度も便意に襲はれなかつた。一昨日からの飯が全部腸に溜まつてゐる。これはもしかしたら大変なことになるかもしれない。この先どこかに便所はあるだらうか。屋久島灯台に便所があれば良いが、無ければ相当キツい。どこかの滝の展望台まで行かねばならん。何時間掛かるだらうか。この便意が成長せずにこの状態をキープしてくれれば良いのだが、初日の島間港に向かふ時みたいに急激に成長してしまふとかなりヤバい。下手すると西部林道で野ウンコといふ惨めな結末を迎へることになるかもしれない。

永田川河口1 永田川河口2 永田川河口3 永田川河口4

屋久島灯台に行つてみた。道が細い。しかも灯台手前のところが崖になつてゐて下は恐ろしく深さうな海。風が強く波が荒い。落ちたら死は確実だらう。這ひ上がれる場所が全く無い。そんな場所だが、道路脇の崖が微妙に崩落してゐて、道路も抉られさうだ。俺がゐる時に崩れるなよ。道路ごと崖下の海に落ちたら絶対死ぬわ。道路が崩れ落ちたら灯台の人がそれに気付くだらうが、俺が巻き込まれたことには誰も気付かないだらう。屋久島で行方不明になつたとか言つて山を捜索されたりしたら捜索費を家族に請求されたりして大変だ。

屋久島灯台1 屋久島灯台2 屋久島灯台3
屋久島灯台4 屋久島灯台5 屋久島灯台6
屋久島灯台7 屋久島灯台8 屋久島灯台9

灯台の入り口は施錠されてゐて誰もゐない雰囲気だつた。折角ここまで来たのに門の前で引き返すのは勿体無いといふことで、満面の笑みで忍び込んでみた。建物は全部窓も閉め切られてゐる。灯台を写真に収めてから次の目的地へ。

永田を過ぎてしばらく行くと西部林道。ここは世界自然遺産に登録されてゐる地域。しかし何故ここが世界遺産地域なのか分からない。縄文杉の辺りとか、山の奥の壮大な自然は納得できるが、ここは別に大したこと無いだらうと思ふ。美濃加茂の奥に行けば似たやうな景色は見れる。岐阜の山と何も変はらない。道の細さも雰囲気も似たやうなものだ。ただ猿と鹿だけが違ふ。時々鹿や猿を見かけるが、やはりバイクの音を聞くと逃げる。

西部林道1 西部林道2 西部林道3 西部林道4
西部林道5 西部林道6 西部林道7 西部林道8
西部林道9 西部林道10 西部林道11 西部林道12

林道の後半で道が広くなり、激しいカーブがある。そこら辺の道路脇に猿がゐたのでバイクを停めて撮影することにした。ズームで撮つても物足りないので近づいてみた。口を開けて威嚇してゐる雰囲気だが、どこで見てもさうなので気にせず近付いた。動画モードにして撮影しながら1m程度の至近距離まで近付いた。2匹づつ固まつて4匹ゐたのだが、左の2匹がやけに威嚇して来てゐた。右の2匹は片方がもう片方の毛を撫で回したりしてゐた。左の2匹を撮影して次に右を撮影しようと思つてカメラを右の群れの方に向けて歩き始めた瞬間、猛烈な勢ひで左の2匹が襲ひ掛かつて来た。さらに右の1匹も来た。3匹で猛烈に威嚇しながら襲つて来る。ヤバい!と思つて猛烈にバックダッシュした。ただの威嚇だらうから、ある程度距離を取れば諦めるだらうと勝手に思つてゐたのだが、どこまでも追つて来さうな感じだ。大股で2歩か3歩バックダッシュで大丈夫かなと思つてそこで一瞬止まらうとしたのだが、相手が止まる気配が無いのでよろめきながらさらに逃げた。まだ追つて来る。凄い形相で。もしかしてただの威嚇ではなく本気で殺るつもりなのか?これは怪我を覚悟せねばならんかもしれんと思つた。拙いことになつたと思つた。泣きさうやよ。マジで半泣き。お前ら野生の猿に襲はれたこと無いだらう?怖えよマジで。猿は爪や牙が危ないだらうが、首さへガードしてゐれば致命傷を受けることはないのではないかと思ふ。しかし一旦本気でやる気になつたらある程度のダメージを与へるまで向うはやめてくれないだらうと思ふ。いざとなつたらパンチやキックを執拗に打ち込めば必ず勝てるはずだと思ふ。顔面を全力で殴れば殺せるはずだ。自分の命を守るためなら猿の2匹や3匹本気で殺すまで殴り続けるぞ。もう無傷では帰れないと思つた。大怪我覚悟で猿を殺すことも想定しながらさらに逃げたら左の2匹は追撃をやめて元の場所に戻つて行つた。ホッとして逃げる足を止めかけたのだが、残る1匹がまだ追つて来る。結局バイクの近くまで追つて来た。5m以上追つて来たと思ふ。バイクのエンジンを止めたことを猛烈に後悔してゐた。何故俺はエンジンを止めてキーまで抜いたんだらう。猿がバイクのところまで来たら殺すつもりだつた。頭を全力で何発も殴れば殺せるだらう。こちらには蹴りもある。他の猿の加勢が怖いが、隙を見てバイクのエンジンを掛けることができれば逃げることも轢き殺すこともできる。殺るか。ただで攻撃される俺ぢやない。やられたら万倍にして返す。もうここまで来たら殺すしか無いだらう。猿にやられて怪我したらカッコ悪いがそんなことを言つてゐる場合ではない。殺らなければこちらが殺られる。迂闊に近付いた俺が悪いのかもしれないが、襲つて来たら殺すよ。デジカメなんか持つてる場合ぢやない。バイクを盾にするやうに周り込んで覚悟を決めたところで急に猿が勝ち誇つたやうな態度で戻つて行つた。ナメやがつて。殺したい。石投げて殺したい。あの勝ち誇り方が異様に腹立たしい。しかし車が来てゐる時に襲はれなくて良かつた。車が来てゐる時だつたら、猿に気を取られて車に轢かれてゐたかもしれないし、車が無理に避けて崖下に転落なんてことにもなつてゐたかもしれない。襲はれた時の動画を載せてみる。後半、右の2匹にカメラを向けた瞬間に左の2匹が走り出すのがフレームの隅に映つてゐる。お前らには分からんだらうが、すげえ怖いよ。一寸離れれば大丈夫だらうと思つて一瞬止まりかけてまた逃げる2段階バックダッシュの動きもしつかり動画に記録されてゐる。猿を映してる余裕など皆無だつたが、それが逆に臨場感溢れる面白映像になつてゐる。まさか猿に襲はれるとは。無事を確認してから何故か笑ひが込み上げた。どうせ猿に襲はれるならヤクシマザルではなくあややか愛キュンに襲はれたいわ。しかし何度見ても面白い映像だ。猿に襲はれてそれどころではないが密かにウンコ我慢してるんだぜ。便意に襲はれ始めてから1時間経つてるよ。

猿に襲はれてから急激に雨が降り始めた。どんどん激しくなる。今日は天気に恵まれない。しばらく行くと大川の滝がある。横の細い道に入り、元の道路の下をくぐつて奥へ行く。滝は大きい道路からも少しだけ見えてゐるが、しつかり見るならこちらへ入つて行かねばならない。去年は車で大きい道路を走つただけでスルーした。道路から写真を撮つたかもしれないが、滝の下までは行かなかつた。今年は行く。雨が激しいが、それよりも便意が厳しい。ここまで耐へ抜いた。猿に襲はれてゐる時に漏らさなくて良かつた。滝のところに便所があつたのでそこで素晴らしい安堵感に満たされながらウンコを屠つた。

大川の滝1 大川の滝2 大川の滝3
大川の滝4 大川の滝5 大川の滝6

滝の下まで行く道が細い。先客が3人ほどゐたが、後からバスが来て凄まじい人数になつた。行列ができてすれ違へない。雨が激しいのでみんな傘をさしてゐる。ますます通りにくい。滝の写真や動画を撮つたが、雨粒がレンズに当たつてしまつたのでやめた。海水浴のためにタオルを持つて来てゐるが、どうせこの雨では拭いても無駄だらう。もう十分撮つたと思ひ、じつくり滝を見てから帰ることにした。滝を見るところまで歩く道がしつかり作られてゐるが、その先の岩場を歩けば滝壺まで行けさうだつた。でも行かない。雨で濡れてゐる岩なんて危ない。こんなところで滝壺に落ちて死んだりしたらアホ過ぎる。そもそも行つて良いのか分からない。観光客を連れて来てゐる現地のガイドに怒られるかもしれん。

滝を過ぎて少し行つたところにある民宿の前の自販機にゴミ箱があつたので、原付を停めてシートの中から空のペットボトルを出して捨てた。縄文杉登山で活躍したペットボトルだ。ありがたう。ゴミを捨てるだけでは悪いからついでにジュースを1本買つた。またゴミを持ち歩く羽目になると嫌なのでその場で飲み干して捨てた。

さて、ここが栗生だ。例のベップさんが住んでゐるところ。結構不便な地域だらうと思ふ。生活用品は尾之間まで買ひ出しに行くんだらうか。西部林道を通つて宮之浦まで行くといふことは無いだらう。不便な地域かもしれないが、なかなか良いところだ。大きい川もあるし漁港もある。海もいかにも魚が釣れさうな感じだ。もつとじつくり見て行きたかつたが、雨が激しいので精神的に余裕が無く、時間も結構遅くなつてゐたので通り過ぎた。この先はしばらく何も無い。

栗生を過ぎてしばらくすると干潮時にしか入れない海中温泉といふのがあるが、面倒なのでスルー。干潮時刻も知らんし。といふか、たぶん13時か14時頃のやうな気がする。まだ大丈夫だらう。大潮だし。でも疲れた。面倒臭い。だんだん雨も弱まり、尾之間の少し手前で快晴になつた。太い虹が低いところに出てゐた。尾之間で千尋の滝の標識を見つけたのでそれに従つて山へ入る。ここは去年も来た。モッチョム岳が見える。日帰りで登れる山らしい。千尋の滝のところから登れる。登山道には万代杉といふのもあるらしい。しかし登らない。もう時間の余裕も無いし、体力も足りない。去年買つた屋久島ブックといふ本にはこんな文章が載つてゐる。神山展望台まで登ってくると視界も開け、モッチョム岳の山頂が見えてくる。その先はやせた尾根をたどるが、狭いところは幅2mもない。最後は山頂直下の岩場を、ロープを伝って登るのだが、足元は靴の幅ほどしかない。重たいザックと吹きつける強風にバランスを崩しそうになりながらその場を切り抜けると、大きな岩の上に這い出た。「モッチョムの先っちょだ!」強風にあおられながら先端ギリギリまで慎重に歩み寄り、腰を下ろす。真っ青な太平洋が僕のすぐ足元に広がる。ひょいと石を投げれば、チャポンと届きそうだ。この文章を読むだけでもハラワタがモワモワして来るのに、恐ろしく高い山頂の崖つぷちの小さい岩に座つてゐる写真なんかが載つてゐる。こんな場所に座つてゐて眩暈でも起こしたら命は無い。後ろから来た客が気紛れで脇腹に北斗残悔拳なんかやつてくれたら激しく空を飛んで確実に死ぬ。こんな恐ろしいところにわざわざ登る意味が分からん。

千尋の滝1 千尋の滝2 千尋の滝3 千尋の滝4

千尋の滝へ。適当に写真や動画を取つた。かなり巨大な滝だが、谷の奥にあるのを遠くから眺めるだけだからあまり面白くない。去年は無かつたやうな気がするのだが、土産屋ができてゐた。中に入つて色々見たが、特に買ふ物は無い。少し離れたところにある便所の上の展望台に登つて尾之間の町や屋久島の南の海を眺めて写真を撮つたりした。近くにゐた観光客が種子島は見えるかなと言つてゐた。そちらには無いよ。左斜め後ろだ。安房まで行けば見える。

千尋の滝を出て大通りへ。次はトローキの滝を見る。千尋の滝の川が海に流れ込むところが滝になつてゐるらしい。大通りに出てすぐのところに喫茶店みたいなのがある。道路を挟んで反対側にトローキの滝と書いてあるが何も無い。道路を渡つて見ると山の中に入つて行く細い道があつた。その先にあるらしい。といふか、道路の遥か下に隠れてゐる。山の中に入つて行くと少し離れたところから見えるらしい。で、その細い山道に入つた瞬間に殺意が芽生えた。猿が大量にゐる。狭い道なのに遥か先まで猿だらけ。バトルになるんぢやないのか?今度こそ殺さねばならんか?それとも滝を見るのを諦める必要があるのか?右側は崖。海まで続いてゐる。木が生えてゐるからどうなつてゐるのかよく分からんが覗き込む気は無い。左側は森になつてゐる。猿は崖側から出て来る。変な叫び声を上げたりしてゐる。しかし西部林道の猿とは違ひ、俺が道に入つて歩き始めたら遠くの猿までもが一斉に崖の方に逃げて行つた。木の枝にぶら下がつたりしながら崖の下の方に身を隠してゐるのだらうか。道はどんどん細くなり、左側も崖になつて来た。注意しないと転落死する。先端まで行くと滝が海に落ちていくのが見えた。後ろから他の観光客が来てゐたが、狭いので3人ぐらゐしかこのスペースに入れない。長く見てゐても仕方が無いので場所を譲つて帰り始めた。猿の気配は一切無い。もしかして俺しか猿を見てないんぢやないだらうか。一寸得した気分。

トローキの滝1 トローキの滝2 トローキの滝3
トローキの滝4 トローキの滝5 トローキの滝6

あとはもう帰るだけ。しばらく走り、安房に出てしまつた。見慣れた風景だ。もう何も無い。安房港に寄り道してみた。釣り人が多い。こんなところにもトッピー乗り場があつた。鹿児島から出てゐるらしい。大通りに戻つてしばらく行く。どこかこの辺りに寿司屋があるはず。いその香りといふ店。去年昼飯を食つたのだが、握り寿司がやたらと美味さうだつた。その時俺は刺身定食か何かを食つたのだが、是非寿司を食つてみたい。さう言へば祖母はその寿司屋でカレーは無いか?とか言つてゐたな。野間のラーメン屋でもカレーは無いかと聞いてゐたらしいし、カレーが好きだつたんだな。といふわけで、寿司屋を探してみたのだが、準備中の札が出てゐたので諦めるしか無かつた。小瀬田のドラッグイレブンに寄り、エアサロンパスDXといふのを買つた。縄文杉登山の筋肉痛が激し過ぎる。バンテリンを買はうと思つたのだが異常に高かつたので妥協した。これで少しは痛みも和らぐだらうか。ムヒを買ひ忘れた。民宿はアースノーマットが無いから蚊に刺されまくる。そこら中やられて悲惨なことになつてゐる。別にムヒでなくてももつと効く薬を買へば良いのだが、種子島に置いてきたムヒももう残り少ない。猫の鼻に塗るためにムヒを買ひたい。でも筋肉痛に気を取られ過ぎて買ひ忘れた。

民宿に戻つて休憩。恐ろしく眠くなつて来た。死ぬほど眠い。アホみたいに眠い。今日は民宿のオーナーが来るといふ話だつたがまだ来てゐないらしい。飯をどうしようか。寿司を食ふつもりだつたんだが。準備中だつたからもうしばらく待つてから行けば良いのだが、もう眠過ぎるし安房まで行く気になれない。近くのコンビニで何か買ふか。それすらも面倒臭い。といふか、異常に眠い。アホみたいに眠い。こんなに眠いのが許されて良いはずが無い。しかし寝るわけにはいかん。日記も書かねばならん。写真を選んだり画像処理したりするといふ作業が大変だが、それ以前に本文すらまともに書けてゐない。溜めると後が大変だ。少しづつでも書かねば。取り敢へず寝ないやうにコンビニに飯を買ひに行くことにした。民宿から一寸行つたところにあるので便利だ。民宿を出てすぐにレンタカーとすれ違つた。こんなところに誰が来るんだらうか。もしかしてまた誰か他の客が来たのかなと思つた。

コンビニで飯を買つて民宿に戻つたら駐車場に車があつた。中に入つたら民宿のオーナーが来てゐた。最終便で来たらしい。色々雑談してゐたが、3月頃に60歳過ぎた客と激しく揉めたことがあつたらしい。長期滞在して4万円ぐらゐの金を払はうとせず、揉めに揉めて1万だけ払ふとか言ふので警察呼んで大変だつたとか。そんな客は長年やつて来て初めてだつたらしい。色んなのがゐるんだな。三岳を生で飲んでゐたら、悪酔ひするといかんからと言つてさつま揚げをくれた。それを食ひながら酒を飲む。三岳は美味いかと聞かれたので正直にそんなに美味くないと答へた。種子島の人は三岳を飲まないらしい。観光客はみんな三岳三岳と言つてゐが、種子島人はどんなものなのかあまり知らないみたいな感じ。まあ西之表人は甘露、中種子人は島乃泉、南種子人は南泉を集中的に飲んで他のをあまり飲まないからな。オーナーがどこかに電話してゐた。雰囲気的に宿泊客のやうだ。金は後払ひなので宿泊費のことで電話してゐたんだらうと思ふ。しかし民宿の名前を言つたら切られて二度と繋がらなくなつたらしい。事務所の人に電話してそちらからも掛けてくれと頼んでゐた。後払ひだと最初から逃げるつもりで準備しておけばいくらでも逃げれるんぢやないのか?民宿のスタッフがゐない時なら忍び込んで勝手に泊まり放題のやうな気もする。他の宿泊客がゐても自分も正規の宿泊客の振りをして堂々と泊まれさうな気がする。オーナーは誰に電話してゐたんだらう。今朝出て行つたオフロードバイクの人かな。一昨日の女2人組かな。オーナーに昨日女の客は早く出て行つたかと聞かれた。どうやらあの2人が電話から逃げてゐるやうな感じだ。まあ携帯の番号が分かつてゐるから逃げられんだらう。2人で1泊5000円程度で危険を冒す価値も無いから別に逃げてゐるわけではなく電話の不具合とかかもしれない。生憎俺は縄文杉を見るために5時に家を出たからあの2人がいつ出て行つたのかは知らない。ただ、何度も洗濯機を回してゐたにも関はらず洗濯機使用料を入れる缶には1枚も小銭が入つてゐなかつたし、玄関開けたまま出て行つたから、あまり良い客ではないのだらう。

日記を書かねばと思ひつつ、何だか異様に疲れて動く気になれず、三岳をチビチビ舐め回しながらテレビをボーッと眺めてゐた。V6の番組が最終回らしい。V6は去年その番組で種子島や屋久島に来た。去年種子島でその放送を少し見たが、今日の放送は総集編みたいな感じなので種子島も映るかなと思つて見てゐた。でも映らなかつた。その番組が終つてからもニュースを少し見た。福田首相が辞めるといふニュースばかり。安倍が辞めてから政治系のニュースを全く見なかつた。新聞も読まないしテレビはハロモニしか見ないし、ネットのニュースでも政治系はスルーしてゐた。だから安倍が辞めてからの政治のことは何一つ分からん。福田首相が何をやつたのかも分からん。最近内閣改造とか言つて大臣を大量に入れ替へてゐたのを種子島でたまたまテレビをつけた時に見た。辞めるなら内閣改造とかしなくても良かつたのに。次は誰が総理になるんだらう。麻生かな。小泉以外なら誰でも良い。どうせ誰がやつても日本を悪い方に導くだけだが小泉がやると誰よりも激しく日本を終らせる。今庶民が苦しんでゐるのは大体小泉のせゐだからな。日本を終らせたいマスゴミに騙されて支持率が高かつたのが滑稽だつた。まあ小泉はもうやる気無いみたいだから大丈夫だらうけど、小泉路線復活とか言ひ始めさうで嫌だな。俺は間接税以外の税金を納めず年金すらも納めず、経済活動にも全く貢献しない社会のダニだから物を言ふ資格は無いんだけどな。ギャンブルで大金を動かすから経済活動に貢献してゐるやうにも見えるが、勝つてゐるから一切貢献してゐない。負けてゐれば店やメーカーの収入に繋がり社会貢献になるが、勝つてゐたら他人の金を奪つてゐるのと同じだ。何も生み出さない社会のダニ。パチプロ・スロプロなんて1人残らず全員人間の屑。人間性や能力に関はらずパチプロの時点で人間の屑であることは絶対に覆らない。まさに最底辺。負ける人間は無能だが、勝つ人間は屑。

ニュースを適当に見て、程よく酒で疲労感を麻痺させたところで寝ることにした。明日は早く起きれたら白谷雲水峡だ。もう明日しか観光するチャンスが無いので何としても起きる必要がある。今日は島1周したがほとんどバイクに乗つてゐただけだから、激しい疲労が上乗せされたといふことは無いだらうと思ふ。縄文杉の疲労がさらに激しく出て来る可能性がある。それだけが怖い。というか、もう縄文杉に行つたといふだけで俺の貧弱な肉体は限界のはずだ。今日島1周できたのすら奇跡の部類ではないのか。可児にゐる時だつたらあんな激しい運動をしたら1週間は寝たきりだ。動けるだけで奇跡。明日は動けないかもしれない。目が覚めても起き上がれずに1日浪費するだけかもしれない。一応携帯のアラームと目覚まし時計をセットして寝ることにした。起きれますやうに。

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