海の近くに住みたい
公開日時： 不明
昨晩、鞍勇と古田に行つてゐた叔母夫婦は遅い時間に帰つて来た。そんなに滅茶苦茶遅い時間といふわけでもないんだが既にみんな寝てゐた。叔父一家は海で疲れたんだらう。俺は日記を書いたりしてゐて起きてゐた。
ハエに起こされた。激烈にウザい。最近異様にハエが多い。でも俺が起きると減るやうな気がする。取り敢へず目に付いたら満面の笑みで殺戮する。今日起きてすぐに屠つたハエをプリンの容器に溜めておいたのを写真に収めた。美し過ぎる。良さが分からん奴はダメだと思ふ。
叔父の一家がフェリーで屋久島へ行つた。20日の午後に叔父だけ戻つて来る。奥さんと子供達は奄美へ帰るらしい。もう会ふことは無いかもしれない。島間港から太陽丸といふフェリーで車を持つて行つた。俺も近いうちにフェリーで原付を持つて行く。人間だけなら西之表からトッピーで行くのが良い。トッピーの方が速いし揺れも少ない。
じわじわと筋肉痛が激しくなつて来る。海で貝を漁つたり荒波に揉まれながら泳いだりしたからだらう。波に流されないやうに踏ん張つただけで脚を攣つたりしてゐたから、かなり筋力が衰へてゐるんだと思ふ。そんな貧弱な体で何時間も海にゐたら筋肉痛になつて当たり前だ。
今日も大潮だが、昨日よりもさらに波が荒く、海に出るのは相当危険な気がした。気がしたといふか、明らかに無理。疲労も激しいしな。今日の漁は諦めるしかあるまい。無理して海に出ても無駄に危険なだけで貝を捕れる気もしない。
午前は坂の下のお婆さんが遊びに来て昼まで雑談してゐた。俺は種子島弁が分からないから聞いてゐるだけ。大体分かるやうな気がする時もあるのだが、絶対に正確には把握できてゐない。聞いたこともない動詞や名詞が多過ぎる。だいぶ人間関係も分かつて来たから固有名詞は去年よりは分かるやうになつて来た。今の標準語では使はれてゐない、古い助詞や助動詞や音韻も残つてゐるし、語と語を連結する時に連結部の一部を省略してフランス語みたいな感じになつたりもするので非常に難しい。種子島の今の若い人は標準語に近い言葉を話すやうになつてゐるらしい。テレビ等の影響でどんどん標準語になつて行くんだらう。貴重な方言が消えて行くのは残念だ。
昼から横浜の叔母がバイクで出掛けて行つた。古田の方の親戚の家に遊びに行つたやうだ。親が誰かから貰つたマンゴーが冷蔵庫に残つてゐたので猛烈に貪り食つた。種子島産のマンゴーは初めて食つた。かなり美味い。台所のすぐ外にある庭に種を埋めておいた。芽が出るとは思へんが、もしこれで芽が出て実が生つたら儲けものだ。まあ俺はもうここには来ないかもしれないけども。暑いので外で涼んでゐたら誰か客が来た。祖母の仏壇に参りに来たのかと思つたが、何か違ふ様子。何だか怪しい雰囲気を醸し出しながら叔父の名前を言ふ。俺を叔父だと思つてゐるのか叔父を呼べと言つてゐるのかさへ分からない。種子島弁は本当に分からない。俺では話にならんだらうと思つて叔母を呼んで来た。どうも祖母がその人から畑を借りてゐたらしい。そのことで来たんだらうか。叔父は屋久島に行つてゐると叔母が教へたら帰つて行つた。一寸をかしい人だから関はらんはうが良いよと叔母に言はれた。
頻繁に電話が掛かつて来る。屋久島に住んでゐる、叔母の知り合ひらしい。去年鹿の肉をくれた人だ。叔母がベップと呼んでゐたがあだ名なのか別府といふ苗字なのかは分からない。話を聞くとどうも叔父一家を探し回つてゐるらしい。ベップは叔父には会つたことが無いやうだ。俺の祖父の兄弟か誰かが屋久島に住んでゐたらしいが連絡が取れないので叔父がついでに行つてみるといふやうなことを言つてゐた。それを何気なく叔母がベップに話したやうなのだが、さうしたら必死に調べ回つてくれてゐたらしい。どうも同姓同名の人が去年亡くなつて今年初盆らしい。祖母と同じやうな時に亡くなつてゐたやうだ。別人の可能性もあるが、家族構成まで調べてたぶんその人だらうといふことになつてゐた。で、何か叔父に渡したい物があるやうだ。土産か祖母の香典か何か知らんが、とにかく叔父を探し回るらしい。暇だから家族で屋久島を1周してゐるとか言つてゐたが、屋久島に住んでる人が暇だからつて島1周するものだらうか。叔父を探すことのみを目的に走り回つてゐるのではないかと思へる。叔父達がこちらを出てから電話が来てゐて、叔母が船の着く時間を教へたのだが、最初はこんなに必死に追ひ回すつもりだとは誰も思つてゐなかつた。顔も知らない叔父に会ふために港まで家族で押しかけて行つて当然のごとく会へずに終り、そこから猛烈に叔母に電話を掛けまくりながら叔父達を追ひ回し始めた。会へなかつたらそれで諦めるだらうと叔母は思つてゐたやうだ。港で会へなかつたので今度は民宿に押しかけることにしたらしい。叔母に何度も叔父が泊まる民宿を聞かうと電話をしてきた。叔母は知らないのでハッキリと答へられなかつたのだが、俺が知つてゐたので教へてみた。小瀬田の愛子岳といふ民宿に泊まる。俺の親の同級生が経営してゐる民宿だ。旅館とかホテルではなく、使はなくなつた普通の一軒家。叔母が電話でさう説明したのだが、全く聞いてゐなかつたやうだ。人の話を聞かずに突つ走る人らしい。愛子亭といふホテルに電話を掛けたか行つたかして、叔父を発見できなかつたと電話が掛かつて来た。小瀬田小学校の近くにあることとか詳しく民宿のことを教へたら今度は無事に民宿を発見できたらしい。しかし今民宿には他の客も泊まつてゐるので、民宿に押し掛けても迷惑だらう。行つてみたら民宿の人がゐたらしい。民宿の人が何か重要な用事だつたんぢやないかと心配してうちの親に連絡を取つたやうな雰囲気になつてゐた。色んな人に迷惑を掛けながら島中を走り回つて叔父を探してゐるらしい。そもそも叔父達は白谷雲水峡に行つてゐるはずだ。それを教へたら雲水峡まで探しに行くのかなと思つて叔母に教へてみた。叔母は何も知らないので俺が知つてゐることは教へてみる。追ひ回される叔父達は何も知らないが、自分達の立場を知つたら恐ろしいだらうな。俺は他人事だから面白がつて見守る。この様子だと雲水峡のことを教へたらそこまで探しに行きさうな勢ひだ。ベップに叔父の携帯電話の番号を教へたが、当然山は圏外なので通じない。そもそも叔父の場合は電源を切つてゐる可能性が高い。民宿に何時に帰つて来るのかも分からんし、そもそも顔も知らない人を探し回るなんて凄いと思ふ。どれだけ暇なのかと。屋久島は結構広いぞ。1周で130km以上はあるだらう。叔母も叔母の旦那さんもイライラして来て怒り始めた。向うは善意のつもりなんだらう。何をするつもりなのか知らんが。俺はただ面白いから笑つて見てるだけ。ベップが叔父に電話を掛けまくつてゐたやうだが、全く通じないらしい。山の出口のところまで行つて待つらしい。麓まで来れば通じるやうになるから麓で待ちながら猛烈に電話を掛け続けるやうだ。念のため叔母にも叔父に電話を掛けまくるやうにと頼んで来たらしい。アホか。叔母ももう呆れてゐた。他人事だから笑つて見てゐられるが、俺が当事者だつたら気が狂ふぞ。追ひ回されるのも怖いし、頻繁に電話を掛けられるのも怖い。俺だつたら携帯の電源切つて家の電話は受話器を外す。当たり前だが結局山の麓では合流できなかつたらしい。あとは夜に民宿まで押し掛けるんだらうか。次はどんな行動に出るんだらうと楽しみにしてゐたが、どうも今日のところは諦めたらしい。明日は診療所で仕事があるので診療所まで取りに来るやうに伝へてくれと叔母に電話して来た。栗生の方に住んでゐるらしい。アホか。小瀬田の丁度反対側だ。島半周してまで取りに行かねばならんほどの物なのか。何をくれるつもりなんだらう。宅急便で送れよ。近くに有名な滝があつて、屋久島に観光に来たなら必ず見に来るはずだからついでに取りに来いとか言つてゐたらしい。大川の滝？千尋の滝？どの滝のことか知らんが診療所なんか探せるかボケ。取りに来いといふのはさすがに常識外れだらう。面白い人だ。ストーカーみたいだな。叔母が診療所に取りに行くやうに叔父に伝へたのかどうかは知らない。叔父が取りに行つたのかどうかも知らない。でも叔父の携帯にベップから連絡が行くのはほぼ間違ひ無いだらう。叔父は逃げ切れるんだらうか。
叔母夫婦はクロネコヤマトの取り次ぎをやつてゐる親の同級生の老人ホーム事務所に荷物を持つて行きたいのにベップの電話に翻弄されて大量の時間を消費してしまつた。その挙句、日曜はやつてゐないことが判明したりして大変だつた。しかしヤマトに電話したら家まで取りに来てくれるらしい。ずいぶん遅い時間に来た。
台所の近くの倉庫にゴミを置いてゐたのだが、その一つが大変なことになつてゐた。スイカの皮とかが袋の中で腐つて蛆が大量発生してゐた。最近異様にハエが増えてゐたのはこれのせゐか。しかも袋が破れてゐて悲惨だ。袋ごと新しい袋に移した。燃えるゴミが月曜と木曜らしい。朝早く出しに行かねばならんのだが、夜のうちに出すことにした。叔母の旦那さんと一緒に一輪車にゴミを乗せて坂の下まで捨てに行つた。2人でも1往復では無理な量だつたが2回目は1人で十分な量だつた。当然2回目は俺が休む。1往復で脚がパンパンになつて瀕死。俺の方が若いのに俺の方が体が弱過ぎる。死にさうだ。
昼に出掛けた横浜の叔母が帰つて来ない。山の中で原付のエンジンが掛からなくなつたのかもしれないと思つたが、20時頃に帰つて来た。みんなで飯食つて酒飲んで今日は終り。明日は朝早く猫の叔母夫婦が帰る。叔母の旦那さんが飛行機恐怖症なので船と新幹線で帰る。朝早いので俺が起きた時にはもうゐないかもしれない。愛知県に住んでゐるのでまた会ふこともあるだらう。
| 公開日時 | 不明 |
|---|---|
| 本文文字数 | 4525文字 (タグ込み) |
| URL | https://orca.xii.jp/br/diary/diary.cgi?id=dogoo;date=20080817 |
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