海の近くに住みたい
公開日時: 不明
犬土偶日記は基本的に毎日書いてゐる。しかしこの日の日記は28日に書いてゐる。凄まじく死んだからだ。日記の更新が止まつたことでまた何か企んでゐると思つた人もゐるだらう。単に死んでゐただけだ。といふか、28日夕方になつた今でもまだ死んでゐる。まあ順を追つて書いていかう。
朝早く起きた。携帯のアラームをセットしておいたのだ。前日の長時間にわたる読書で疲労し過ぎて起きれないかと思つてゐたが、何とか起きることができた。天気予報は前日に確認してある。予告通り南知多ビーチランドへ行くのだ。岐阜の小中学生の春休みは27日からのやうだが、愛知ではもう春休みに突入してゐるらしい。だから人が多いかもしれない。それが怖い。一応平日だからリーマンの家族連れは少ないだらう。まあ何とかなる。
エネルギーを十分に補給しておかねば後で苦労する。全力で飯を食つておいた。これで大丈夫だらう。しかし、朝飯を食ふと後で大変なことになりやすい。お前らの予想通りの事態に陥る悲しい未来が待つてゐた。
iPodとデジカメと金を用意して家を出た。遠いのでかなり早い時間に家を出る必要がある。7時44分の電車に乗ると乗り換へが無くて楽だ。目的地は名鉄知多新線の知多奥田といふ駅。俺が乗る駅は広見線の西可児といふ駅。ここから犬山まで行き、そこから犬山線で名古屋方面へ。名古屋本線で神宮前まで行き、そこから常滑線へ。太田川から河和線、富貴から知多新線。運が悪いと相当激しい乗り換へ地獄になる。最初から内海行きに乗ることができれば圧倒的に楽だ。しかし本数が少ない。7時44分の内海行きに必ず乗らねばならない。ただしこれに乗ると途中で降りる機会が全く無いので、そこを狙はれると拙いことになる場合もある。朝飯といふ仕込みがあるのが怖い。もうだいぶ春らしくなつて暖かい日々が続いてゐたが、朝はやはり寒い。異常に寒い。急激に冷えた。もう悲惨な未来が見える。駅の駐輪場に原付を停め施錠する。前から中学生の団体が歩いて来た。今日が終業式だらう。駅の券売機で切符を買ふ。知多奥田まで1480円。中部国際空港までと同じ額だらうか。かなり高い。
改札を抜けてホームに出たら恐ろしい人数がひしめき合つてゐた。通勤ラッシュか。これは酷い。こんな満員電車に乗つたらそれだけで体力が尽きるぞ。ホームの奥の方まで行つてみたが奥まで満員。キツいな。座れなかつたら体力が尽きてしまふ。取り敢へずiPodをランダム再生。音量は小さめにする。長時間聴くことになるので電池節約だ。ホームを吹き抜ける風が冷たい。容赦なく腹を冷やす。嫌な予感がした。
電車が来た。前から2両目に乗り込む。当然座れない。キツいな。犬山で大勢降りてくれれば良いのだが、内海行きなので名古屋方面に向かふ電車だ。ほとんどの客は名古屋方面へ行くだらう。岐阜方面へ行く客は少ないはずだ。名古屋まで座れないかもしれない。座れなかつたら相当キツい。ここで座れるかどうかで今日1日の内容が大きく変はつて来るだらうなと思つた。犬山までは順調に行つた。微妙に腸の活動に不安を感じ始めたが、まだまだ余裕。何故か結構たくさん客が降り、奇跡的に目の前の席が空いたので超絶反射で座つた。ただし進行方向と逆向きの席だ。ここで不安を煽るアナウンスが流れた。後ろ4両は太田川終点なのでその先に行くには前4両に乗れと言ふ。広見線は西に向かつて進み、犬山駅には南側から突入する。名古屋は南にあるので犬山から進行方向が変はる。最初に前から2両目に乗つたといふことは犬山以降は後ろから2両目といふことになる。それよりも一度犬山で止まつてから電車を切り離すやうな動きをしたのが気になる。まさか半分切り離して岐阜方面へ向かふんぢやないだらうな。大勢降りたのは名古屋方面のに乗り換へた可能性もある。名鉄はよくかういふことをやる。名古屋方面から御嵩行きに乗ると岐阜方向の車両を4両ぐらゐ切り離してそこで御嵩行きと岐阜行きに別れたりする。乗り慣れてゐないと勝手に意図しない方へ運ばれてしまふ。一度止まつてから岐阜方面に少し動いたのが気になる。俺が乗つてる車両は岐阜方面へ行くのではあるまいな。犬山に着いてから乗つて来たお婆さんが同じ不安を抱いたらしく、俺にこの電車の行き先を聞いてきた。分からんと答へた。どう考へても普通は分からないわけがない。行き先が分からん電車に乗つてゐるなどといふ状態は珍しい。たまたま本当に分からんのだが、分からんと答へたのが敵意の表出と取られたかもしれない。俺に聞くなボケ!と軽くあしらはれたと感じたかもしれない。マジで分からんのだよ。俺が聞きたいぐらゐだよ。結局婆さんは他の客に聞いてゐた。俺もそれを盗み聞き。名古屋方面へ向かふらしい。一安心。
取り敢へず寝ることにした。目的地は遠い。寝て副交感神経を働かせておけば便意に襲はれる可能性も低くなる。後ろ4両は太田川終点らしいので太田川で乗り換へる必要がある。今のうちに前4両に乗つておいた方が楽だが、もう今さら前の車両に行つても絶対に座れない。太田川なんていふ辺境まで行けば空席も多いだらうから、そこで乗り換へれば良い。あとはウンコを抑へるために寝るだけだ。
名古屋を過ぎ金山を過ぎ、滅多に行かない地域に突入した。神宮前、大江、太田川。ここで乗り換へだ。後ろ4両はここで終点。俺は後ろから2両目に乗つてゐたはずだ。勢ひ良く外に出て焦つた。進行方向を見たら俺が乗つてゐた車両の前に2両しかない。前から3両目に乗つてゐた。なにゆゑ?反対側を見たら長く連なつてゐた。何がどうなつたんだ。さうか、犬山で岐阜方面へ少し動いて列車を切り離したやうに感じたのは逆で、岐阜方面から来た4両とそこで連結したんだ。つまりずつとそのまま乗つてゐれば良かつたのだ。まあ折角だから前の方の車両に乗ることにした。といふか、降りてすぐ同じ車両に入ると間違へたと思はれる。実際に間違へたんだが、俺のせゐぢやない。やはりここに到達した時点で客はほとんどゐなかつた。大学生みたいな感じのが結構ゐる。春休みでどこかに遊びに行くんだらうか。この先に何か遊ぶやうな場所はあるのか?空港方面はここで乗り換へだ。内海・河和方面に何かあるんだらうか。まあどうでもいい。もうすぐだ。南知多ビーチランドは行つたことがない。大昔、椅子タンが免許を取つたばかりの頃に車で近くを通り掛かつたことはあると思ふ。あの頃は椅子タンの車で恐ろしく遠くまで遊びに行つたりしてゐた。主に深夜に。琵琶湖東岸を北上して福井まで行くとか高山まで行くとか鳥羽の方まで行くとか、知多半島の先端まで行くとかかなり無茶なことをしてゐた。ガソリン代が凄かつただらうと思ふ。免許取り立てで一番死にやすい時期を死なずに乗り切れたのは奇跡に近いと思ふ。今思ひ出すと恐ろしい。
さて、目的地はもうすぐなので寝ない方が良い。といふことは交感神経が活発になるといふことで、ウンコが猛烈に刺激されるわけです。しかも、ここからすぐだと思つてゐたのは錯覚で、ここからがアホみたいに長い。急行だから大量の駅を飛ばして行くが、それでもなかなか着かない。9個目の停車駅で漸く富貴。ここは河和行きと内海行きが分かれる駅。内海行きに乗つてゐるので乗り換へる必要は無い。ここを過ぎて上野間辺りに来たところでつひに来た。結構激しい便意。もう我慢してやり過ごす段階ではない。必ず近いうちに出てしまふ段階。朝飯を食つた後に冷えたのが拙かつた。いつも電車に乗ると無駄に苦しめられる。ウンコに苦しめられる人生。電車の本数が極端に少ないので途中下車して便所に駆け込むことはできない。ウンコのために途中下車したらそれだけで下手したら1時間のタイムロスだ。これは知多奥田まで何としても我慢する必要がある。どんどんウンコに攻められてキツくなつて行く。力加減を間違ふと大変なことになる。気持ち悪い汗が滲み出る。汗のせゐで体が冷えてますます悪影響。駅で止まるたびに冷たい風が吹き込む。殺す気か。何で俺ばかりこんな目に。それにしても海が全く見えない。西側に海が見えるだらうと思つてゐたのに全く見えない。山の中を走り続ける。客は何故か学生風の若者が多い。この先は南知多ビーチランドしか無いんぢやないのか?あれは子供が行くところだらうに。大学生が大勢詰め掛けるやうな場所でもあるまい。31歳の俺が1人で楽しさうに行くのはOKだ。
ギリギリ知多奥田まで間に合つた。かなり危ない。年に一度か二度のピンチだつた。客の学生風のやつらが全員降りた。やはり春休みを利用してビーチランドで遊ぶのか。と思つたら日本福祉大学といふ看板があつた。こんな場所に大学があつたのか。この時期は休みぢやないのか。よく分からんな。そんなことはどうでも良いのだが、関係無いことを考へてウンコから意識を逸らさねば死んでしまふ。改札を出て便所マークの看板を探し、顔面蒼白で便所に飛び込む。ここが満員だつたら大変なことになるところだつた。しかし別の悲劇が待つてゐた。和式便器だつたんだが、ウンコが直撃する場所が深くなつて水が溜まつてゐる形のやつだつた。明らかに設計ミスだらう。圧倒的な悪意を感じる。液状のウンコを水溜りに放出し始め、何とか便所以外の場所に放出する最悪の悲劇を免れた安堵感に浸つてゐたのだが、勢ひを増す液状ウンコが先に出たウンコを満足げに溶かした茶色い汁を容赦なく撥ね付けてくる。自らのウンコを浴びる地獄。でも止まらない。お釣りとかいふ次元ではない。この便器は構造上あつてはならない欠陥を持つてゐる。作つたやつは死ね。便器を作つたら必ず色んな種類の便を放出して使ひ勝手を調べなければならないと思ふのだがどうか。ウンコ汁を浴びない位置に移動したりする惨めな自分に泣けてくる。お前が死ねばいいのに。
徹底的にウンコを屠つて歯を食ひ縛りながら丹念に拭き、外に出る。すげえ疲れた。ここまで来るだけでこの疲労感。もう無理だな。駅からビーチランドまで徒歩15分らしい。かういふのは大体多めに書いてあるもので、普通は半分ぐらゐの時間で行けるだらう。まづは自販機で熱いコーヒーを買ひ、冷えた体を温めつつウンコで奪はれた水分を補給。コーヒーを飲みながらゆつくりと歩き始めた。しかし100mぐらゐ進んだところで引き返した。帰りの電車の時間を調べておく必要がある。こんな田舎では電車の本数が少ないだらう。無駄に待たされるのは避けねばならんし、できれば急行に乗りたい。で、時刻表を見たら急行は毎時43分か45分だつた。
看板が少なくてどこにビーチランドがあるのか分からんがほぼ1本道なのでひたすら進む。遠いぞ。すぐ近くだと思つてゐたのにかなり遠い。海のそばといふ感じもしない。不安になりながら進む。道は合つてゐるはずだ。三河や名古屋ナンバーの車が続々と走つて行く。そちらに向かへば良いはずだ。しばらく歩き、T字路に出た。右か左か。左を見たら少し進んだところにビーチランドの看板が出てゐた。着いたらしい。しかしそこからまだしばらく歩かねばならなかつた。本当に駅から15分掛かつた。突き当たりにビーチランドの駐車場が見えるんだが、その手前の空き地に地元民のやうな人が何人かゐて、必死に空き地に車を呼び込まうとしてゐた。余つた土地を利用して駐車場で儲けようとしてゐるらしい。ビーチランドは黙認してゐるのだらうか。ビーチランドの駐車場は500円。地元民の駐車場は100円か200円。普通は安い方に停めるだらうな。平日なのに意外と家族連れが多い。リーマンに春休みは無いはずだ。仕事休んで来てるんだらうか。結構人が多い。
入り口で1500円の入場料を払ひ、中に入る。最初の広場にイルカの像がある噴水があつた。周囲には店がある。奥に海洋館といふ建物があつて、そこが水族館になつてゐる。その建物を抜けるとペンギンやらカメやら色々と外で飼つてゐる場所があり、一番奥にレストランがあつてその向うが海岸になつてゐる。レストランのところから橋を渡つて行くと遊園地がある。思つてゐたよりも遥かに小さくて狭い場所だ。まづは海洋館で魚を一通り見た。ギンガメアジがやたら多い。丈夫な魚なので飼育しやすいやうだ。これは去年種子島でルアーで釣つて食つた魚と同じはず。ロウニンアジやギンガメアジの稚魚をメッキと言ふ。簡単にルアーに食ひつくので釣りやすいんだが、すぐにルアーを覚えるのであつと言ふ間に釣れなくなる。基本的に南の海に住む魚だが、稚魚の群れは北に向つて回遊して行く。大半が死んでしまふ死滅回遊だが、運良く別の場所で生き残ることができれば棲息範囲を広げることができる。初夏にこのメッキの回遊が沿岸でよく見られるのでルアー釣りには良い。ただし他の魚を狙つてゐる時は邪魔になる。鯵の仲間なので釣れたら当然食ふべし。釣りに行きたくなつて来た。山に住んでゐる俺は釣りをしてもあまり報はれない。食へる淡水魚はあまりゐない。水も汚い。海のそばに住みたいな。飯には困らんだらう。そんなことよりも、子供が多過ぎて鬱陶しい。遠足で来てゐるのか、写生会みたいなのをやつてゐるのか、とにかく大勢でそこら中に紙や絵の具を広げて絵を描いてゐる。歩きにくいし魚も見にくいし、なかなかイライラさせられる。何か踏んだと思つたらクレヨンの欠片だつた。絨毯にウンコ色を刷り込んだ。
海洋館を抜けて奥の広場に出ると、ペンギンが見える。外にプールがあつて軽い囲ひの中に飼はれてゐる。カメのプールもあるし、イルカが泳いでゐるプールもある。デカいペンギンが飼はれてゐる建物が端の方にある。恐らく気温の関係で外では飼へない種類なのだらう。他にもセイウチ館やらトド・アザラシプールなどといふ小さい建物がいくつかある。端の方にはショーをやるためのイルカスタジアムといふスペースがある。プールとステージと階段状の客席がある。俺はよく名古屋港水族館に行くんだが、名古屋港では見れない動物や魚が結構ゐて興味深い。トドとかアザラシとかセイウチとかアシカとか、一切区別が付かないのだが、何がどう違ふんだらう。バンドウイルカは外の池にゐたが、他の鯨類は奥の見えないところで飼育されてゐた。アシカもなかなかプールに姿を見せない。鯨類は基本的にショーの時しか見れないやうだ。ここには名古屋港水族館にゐないハナゴンドウがゐる。それを是非とも見たい。バンドウイルカやカマイルカはよく見るので別に良い。まあとにかく一通り見てみた。外でも絵を描いてゐる子供達が大勢ゐる。しかし外はそこそこ広いのであまり気にならない。
ビーチランドに着いたのが10時少し前。10時半からアシカ&イルカショーがある。適当に色々と軽く見てから急いでイルカスタジアムへ向かつた。ステージ中央の真正面の後ろの方に座る。前の方はシャワー席と書いてあつた。要するにイルカが飛ばす飛沫を浴びる危険地帯といふことだ。真夏なら良いが今は厳しいだらう。それに前の方は子供で埋め尽くされてゐる。名古屋港水族館のパフォーマンスプールと比べるとかなり小さい。相当狭い。だから一番後ろでもかなり近くで見れる。まづはアシカショー。アシカは生まれて初めて見た。結構デカい。低い声で叫ぶ声もデカい。あんな声で鳴くんだな。司会のお姉さんは声優みたいな喋り方だつた。輪を投げると首を上手く動かしてキャッチする。プールに泳がせて色んな方向に投げても恐ろしい勢ひで追ひついて首でしつかりキャッチする。水の中でもかなり動きが速い。プールの端から端へ泳がせたりしてゐたが、かなりの猛スピードだつた。プールの横幅は30mあるらしいが、あつと言ふ間に泳ぎきつた。すげえな。もつと遅い生き物だと思つてゐた。途中で客席に来るコーナーがあつた。何と俺のすぐ目の前の通路に来た。俺の脚に触れるぐらゐの距離。背中を撫でてみた。変な感触。位置的に前の方の客のデジカメに俺が入りまくりだつたので逃れる術も無く激写されまくつた。至近距離でアシカを撮影したが、飼ひ慣らされてゐるとは言へ獰猛な生物なので微妙に怯えてブレたりもした。手ブレ補正機能が無いんだよ。
アシカショーが15分程度。その後休まずイルカショー。今回はメスのイルカのみで組まれたチームらしい。オスだけのチームもあるやうだが、それは次のショーに出るらしい。メスはバンドウイルカのみ。だと思つてゐたが、1頭だけハナゴンドウとの雑種がゐたやうだ。何か1頭だけやたらと鼻が短いやつがゐるなと思つてゐた。まあ鼻ではないんだけど。イルカのショーは名古屋港水族館やかごしま水族館で見たやうなのばかり。ジャンプしてボールを突付くとかボールをキャッチするとか。イルカと握手したい子供を何人か募つてステージに上げてゐた。後で握手証明書が貰へるらしい。バーを飛び越える種目で、バーをプールにかざすのをやりたい大人1人を客から選んでゐたが、俺は目立つのが嫌いなので手を挙げずにおとなしくしてゐた。それにしても、何だかここのイルカはサイズがデカい気がする。プールが小さいから大きく見えるのか実際に大きいのかは分からない。フラフープを口で回す、割とよく見る芸をやつてゐる時、1頭だけ吻が短いイルカが全く成功しなかつた。短いから無理なのかまだ教へて貰つてゐないのか分からんのだが、何度やつても口を激しく開いて首まで輪が落ち、そのまま輪を回すのではなく本体がゆつくり回つて客の笑ひを誘つてゐた。5頭ゐて1頭だけができないのでやたら目立つ。後でビーチランドのサイトを見たらこのイルカの得意技がフープ回しになつてゐて笑つた。フープの中で口を開けて自分がゆつくり回るだけで全くフープを回してゐないのに。
イルカショーの後は外の広場に戻つて「ふれあいカーニバル」といふイベントに参加。ペンギンにエサをやつたりイルカに触つたりできる。当然イルカを狙ふ。広場のイルカ池の周囲に大勢並んでゐた。最後尾に適当に並ぶ。反時計回りに進み、10人づつぐらゐ係員の近くで池の端に並び、イルカがその壁ギリギリをゆつくり泳ぐ間に触る。1回触つたらそのまま強制的に列から追ひ出される。背鰭と胸鰭以外は触るなと言はれた。今日はイルカの調子が悪いらしく、もしかしたら列の後ろの方に並んでゐる人は触れずに終るかもしれんとアナウンスが流れた。狙はれてゐるから俺の直前で終るかもしれない。滅多に無い機会だから是非とも触りたい。結構長い時間並び、つひに俺の番が来た。終らずに触ることができた。胸鰭を触つた。結構硬い。
時間的に丁度昼飯時だ。奥のレストランを覗いてみたが凄い人で入れさうにない。朝あれだけ飯を食つて来たのに何故か腹が減つた。歩き過ぎたのかもしれないしウンコを放出し過ぎたのかもしれない。レストランの建物の1階は玩具屋になつてゐた。イルカとかアシカとかに関する物が売られてゐるのかと思つて入つてみたが、全然関係無い普通の玩具が売られてゐた。意味が分からん。2階のレストランからビーチランドの外を見ると砂浜といふか干潟が広がつてゐた。入漁料が書かれた木の札が立つてゐて、奥に人がゐた。どうやら潮干狩りらしい。まだ少し早い気がする。ここら辺はアサリがよく獲れる。ただし入漁料や交通費のことを考へると割に合はない。入漁料だけでなく獲つたアサリも買はねばならなかつたりする。これは貝を獲る遊びに興じるといふ一種の娯楽であり、安く貝を手に入れるといふ漁ではない。ただし、ほぼタダで手に入れる方法もある。この近辺にある砂浜の海水浴場へ行けば良い。普通に砂を掘れば出て来る。ただ夏までは海水浴客に紛れて貝を獲るのはあまりにも目立ち過ぎる。
レストランの建物から橋を渡つて奥の遊園地へ行つてみた。おもちゃ王国といふ遊園地。規模はかなり小さい。モンキーパークぐらゐあるのかと思つてゐたが、全く全然及ばない。観覧車も小さいしジェットコースターも短いし、何もかもがとにかく小さい。奥の建物で「ふれあいどうぶつ村」といふのをやつてゐて、羊や兎や犬に触りまくれる夢のやうな世界が広がつてゐたらしいが、入るのに400円要るので貧乏な俺には難しい。犬を撫で回したかつた。
取り敢へず水族園の方に戻つた。橋の上から北西の海を見ると遠くに中部国際空港が薄つすらと見える。セントレアより南にゐるらしい。ずいぶん遠くまで来たものだ。空気が澄んでゐればもつとハッキリ見えるんだらうな。観覧車から見るともつとよく見えるかもしれない。夏にあの空港からまた種子島へ行くつもりでゐるが、果たして行けるんだらうか。ふれあいどうぶつ村に入るのさへ躊躇ふほどの金欠だからな。だつたらビーチランドなんか来るなよ。
アシカ&イルカショーの前は時間が無くて一通り軽く見ただけだつたので、今度は全てじつくり見て回ることにした。基本的に施設全体が狭いので全部見るのにもそんなに時間は要らない。これは朝から晩までゐる必要が無い場所だな。魚類がとにかく少ない。外で飼はれてゐるペンギンや、小さい建物で飼はれてゐる鰭脚類がメインなんだらうか。イルカは奥の狭いプールで飼はれてゐて展示されてゐない。外から見れないこともないが、見せるために置いてあるプールではない。広場にある浅いプールにバンドウイルカが2頭ゐて通常時はそれを見るだけみたいな感じ。ショーの時に表に出て来る。
一通りじつくり見てからまたおもちゃ王国へ。どうしても観覧車に乗つてみたくなつた。よく2ちゃんねるや個人ブログなどで話題に出る、「1人で○○するのは難易度が高い」といふやつで上位に挙がる1人遊園地。確かに難易度は高さうだが、できないことはない。上位の常連の1人焼肉なんかは何が難しいのか全く分からん。焼肉屋ぐらゐ普通に1人で行けるだらう。でも金銭的に難易度が高いといふのはあるかもしれない。スーパーで肉買つて家で焼いた方が圧倒的に安いからな。まあそんなことはどうでもいい。1人で遊園地に突入して1人で観覧車に乗つてやつた。春休みで子供や親子連れやカップルが多い中、31歳のオッサンが1人で観覧車に乗つて嬉しさうにしてゐるといふ素晴らしい地獄絵図。高所恐怖症のくせに笑顔で観覧車に乗る。前にも書いたが断じて高いところが怖いわけではない。ただ上手く表現する言葉が無いので仕方なく高所恐怖症といふ言葉を使つてあげてるだけだから感謝しろボケ。歯ァ食ひ縛るぞボケが。高いところから地面見たらハラワタがモワモワした。俺は今、猛烈に自分の命を危険に晒してゐる!簡単には死なないだらう。しかし乗らないのと比べると圧倒的に危険だ。何が起こるか分からない。狙はれてゐる人間には厳しい。自殺行為だ。小さい観覧車なので落ちたら長時間苦しんでから死ぬことになるかもしれない。モンパの観覧車なら落ちたら一瞬で一撃で死ねるだらうが、ここのは簡単に死ぬことすら許して貰へさうにない。考へるだけで歯を食ひ縛る。足に力が入らん。モワモワする。1人しか乗つてゐないからバランスが悪い。傾いて厳しい体勢にならざるを得ない。遠くのセントレアを撮影してみたがまともに写つてないだらうなと思つた。ビーチランドも写したりした。観覧車に300円払ふぐらゐならどうぶつ村に入つた方が良かつたかもしれん。
12時半からの2回目のショーを見ることにした。観覧車に乗つてゐる間にアシカショーが始まり、もう客席は埋まつてゐた。横から見るのも良いかもしれんと思ひ、イルカ飼育プールがある方の横から見た。朝のショーとは少し違ふ内容のショーだつた。アシカは3頭ゐた。朝は2頭だつたのに。アシカショーの後は休まずイルカショー。今度はオスのイルカのチーム。ハナゴンドウが1頭とバンドウイルカが2頭、カマイルカが2頭。ハナゴンドウは顔が丸くて怖い。カマイルカは運動能力が高い。上から吊るしたボールにジャンプして突付くやつで、ボールを全く垂らさず一番に上にある状態でもジャンプして届いてゐた。すげえな。そもそも水中から飛び出せるだけでも凄い。人間にはできん。せいぜい腹ぐらゐまでしか水面より上に出せないだらう。どうすれば全身水面より上に飛び出せるんだらう。俺も水面から飛び出したい。
それにしても足が痛い。ずいぶん歩いたからな。疲労が相当激しい。もう一度海洋館に入つて魚を見た。もう絵を描いてゐる子供はほとんどゐなくなつてゐた。イルカの噴水がある方の広場に出て、土産屋に入つた。色々とそそられる食ひ物があつた。猛烈に買つて帰りたいところだが、歩きと電車とバイクだから相当無理がある。今回は何も買はない。そもそも金が無い。一通り土産を眺めてから食堂へ。飯を食ふ。たこ飯を食ひたかつたが売り切れてゐたので、かきあげうどんを食ふことにして食券を買つた。あまり美味くなかつた。それよりもベロが痛過ぎて死にさうだつた。ここ数日、ベロに炎ができて飯を食ひにくい。コーヒーもまともに飲めない。どんどん悪化してゐるやうで、今が最高潮な感じ。これは深い。こんなに痛む炎も珍しい。飯を食ひ終つた頃、アナウンスが流れた。13時40分から海洋館大水槽で魚の餌付けを見れるらしい。面白さうだ。飯を食つてすぐ帰らうかと思つてゐたんだが、もう1時間帰るのを遅らせることにした。家まで2時間以上掛かるから夕方遅くまでゐることはできない。折角だから名古屋に寄り道していきたいし。13時40分から魚の餌付けを見て、14時からアシカ&イルカのショーを見れば丁度14時半ぐらゐだらう。そこから早歩きで駅に向かへば丁度急行の電車が来る時間だ。
海洋館の大水槽前に行つたら既に大勢待つてゐた。ダイバーが水中でエサを撒くと魚が大量に集まる。そこを客がデジカメや携帯電話で撮影しまくる。名古屋港水族館と違つてフラッシュ撮影が禁止されてゐないので光りまくる。それにしてもエイが邪魔だ。そのままではエサを食へない構造なので、ガラス面に近い場所にあるエサを体で押さへつけて食ふ。だからガラス面はエイばかり。邪魔。餌付けを一頻り見た後は再びイルカスタジアムへ。朝のショーと同じ内容だつた。イルカショーが終つた瞬間に猛烈に外に出る。
ビーチランドから駅まで15分掛かる。ゆつくり歩いたら15分では辿り着けない。切符を買ふ必要があるので早歩きだ。息を切らしながら駅まで必死に歩き、41分ぐらゐに駅に到達。かなりギリギリの時間だ。急いで切符を買ふ必要がある。金山で下車して地下鉄で栄まで行くつもりだつた。値段を調べたら950円もするらしい。西可児まで1480円なのに何故金山まで950円も掛かるんだ。金山から西可児は770円だ。明らかにをかしい。そんなことよりも、電車が来る間際なのに頭の悪さうなカップルが余裕ブッこいてヘラヘラ笑ひながら操作ミスを繰り返しつつゆつくりと切符を買つてゐる。早くしろボケ!間に合はんだらうが!電車の音が聞こえ始めた。もう間に合はん!死ね!これを逃したら事前に時刻表を見て時間調整して来た意味が無くなる。この急行に乗れなかつたらこのバカ2匹をブチ殺してもOKだらう。カップルが切符を買ひ終つた瞬間に万札をブチ込んで950円ボタンを押す。お釣りと切符を素早く取つて階段を全力で駆け上がる。体力無いのにキツいわ。本気で危ないところだつた。殺したい。
犬山経由新岐阜行きの電車だつたので乗り換へ無しで金山まで行ける。朝はウンコを我慢しながらだつたから実際より長く感じただけかもしれんと思つたが、ウンコを我慢してゐなくても長かつた。遠過ぎる。もう余程の理由が無い限り南知多ビーチランドに来ることは無いだらうなと思つた。もつと隅々まで堪能しておけば良かつたかもしれない。それにしても疲れた。もう瀕死。
金山で降りて地下鉄へ。栄から矢場町の辺りをウロウロした。もうすぐライブがあるので楽器屋で弦とかピックを買つたり、本屋で色々と立ち読みしたり欲しい本を探したりした。南へ向かひ、PC関連の本を大量に売つてゐる三洋道に突入。「オブジェクト指向でなぜつくるのか」といふ本を買つた。2400円もした。死ねる。今日だけでいくら使つただらうか。帰るまでに2万ぐらゐ行きさうだな。大須の街を歩き回る。既に足が痛過ぎて限界に限り無く近い。お好み焼き屋のそばを通り掛かつた時、その近くの店の人が何か配つてゐたので何気無く手に取つた。死亡。ただ何かを配つてゐるやうに見せかけて獲物を狙つてゐたらしい。簡単なアンケートを取つてるので店の中まで来てくれないかと言ふ。アホか。貰つた紙を見たらシルバーアクセサリーの店だつた。シルバーつて何?そんな貴金属は貧しい俺の人生に無縁の物だ。何をどう頑張つても俺に買はせることなど不可能だぞ。もう疲れ過ぎて意識も朦朧としてゐるし足にも力が入らん。何よりベロ炎が痛過ぎて喋る気にもならない。焦点の定まらない虚ろな目で勧誘のお姉さんの方を見ながら軽く手を振つてフラフラと立ち去る。GOODWILLのビルに入り、PC関連のブツを色々見て回つた。すげえ瀕死。もうマジで死にさう。脚の付け根辺りのスジも痛む。エネルギーも尽きた。朝飯だけでなく昼飯も食つたのにもうエネルギーが無い。死ぬ。かなり無理。それでも折角来たんだからと思つて無理して歩き回る。コメ兵に寄つて最上階の楽器屋でギターを見たりその下の階でデジカメを見たり2階ぐらゐにある時計屋で余裕で車が買へるほどのふざけた値段の腕時計を眺めたりした。疲れた。死ぬぞマジで。気が狂ふ気力も無い。外に出て自販機でコーヒーを飲む。知多奥田を出たのが14時43分だつたが、栄に着いた時にはもう16時だつた。そこから歩き回つたからもう真つ暗。朝から晩まで歩き回つてゐるからヒキコモリの俺にはもうこれ以上は無理。すげえ死にさうだ。でも本気の限界まではまだほんの少し余力があるはずだと思ふ。真の限界がどこなのかは分からない。分かつた時は死ぬからな。どこまで大丈夫なんだらうか。まあ少なくとも明日以降しばらくは寝たきりだらうと思ふ。もう十分遊んだからここで諦めて帰るべきだつたかもしれないが、意味も無くもう少し頑張らうと思つて大須観音から名駅まで地下鉄で行つた。地下の巨大な本屋で色々と本を探し回り、それから漸く帰る決心をした。防火扉の裏でバカな若者が煙草を吸つてゐた。地下街で煙草なんか吸ふんぢやねえよ。頭がをかしいのか?吸ひ終つて床で揉み消してそのまま吸殻を捨てて去つて行つた。死ねよ。
西可児までの710円の切符を買ひ、名鉄のホームへ。恐ろしい人数が並んでゐた。帰宅ラッシュか。一番ヤバい時間に来た。座れなかつたら死ぬ。必ず座らねばならん。でも座れる見込みは無い。必殺技を使ふことにした。帰るのが少し遅れるが、一旦金山まで戻り、そこから乗る。金山からなら座れる可能性が高くなる。反対のホームへ行き、電車に飛び込む。どこ行きのやつでも必ず金山を通るので別料金の特急以外どれに乗つても良い。金山で降りてすぐに反対のホームへ。次に来る犬山方面の電車は18時25分ぐらゐの御嵩行きかなと思つたが、17分ぐらゐに鵜沼行きの特急があつた。特急には余分に金を払はねばならんので乗るつもりは無かつたのだが、何と一部特別車で残りは一般車らしい。大学に行つてゐた頃は鵜沼行き特急は全て座席指定だつた。一部一般車は岐阜行きの特急しか無かつた。いつから鵜沼行き特急に一般車がついたんだらう。まあ特急があるならそれに乗る。幸ひ、並んでゐる客も少ない。座れさうだ。犬山で乗り換へる必要があるが、広見線で座れなくても犬山から10分だ。ここで座れればOK。電車がホームに入つて来た。元々あまり乗つてゐなかつたが結構客が降りたので空席が多い。満面の笑みで椅子に座り、脚を揉みほぐす。すげえ疲れた。もう死ぬ間際。オブジェクト指向の本を読みながら電車に揺られる。名古屋で大勢乗り込んで来た。特急だから停車駅が少ない。快適に犬山まで到達。新可児方面の電車に乗り換へて西可児で降りて原付で帰宅して終了。いや、まだ終らん。帰らずにCD屋へ。SEX MACHINEGUNSのCDを買つた。さらにあおい書店へ。欲しい本があるのだが、どこを探しても無い。名古屋で見つからなかつたのだから可児で手に入るはずはないが一応行つてみた。そしてつひに完璧に体力が尽きて帰宅。気力も完璧に尽きた。長い長い1日だつた。本当に長い1日だつた。すげえ疲れた。アホみたいに疲れた。疲れ過ぎた。これは酷い。こんなに疲れたのは初めてかもしれない。死にさうだ。本気でヤバい。日記を書く余裕など皆無。何もかもが無理。それにベロが痛過ぎる。あまりにも痛いので鏡で見た。円形の深い炎ができてゐると思ひ込んでゐたのだが、細長い炎ができてゐた。長さは1cmぐらゐ。幅は1mmあるか無いか。深さは不明。とにかく痛い。アホみたいに痛い。ベロ炎といふよりは切り傷。何でベロが裂けてるんだらう。これは痛くて当然だ。こんなにデカい傷だと簡単には治らんだらう。どうすれば治るんだらう。取り敢へず今は寝るしかないだらう。ベロの痛みも激しいが疲労も激しい。気絶するやうに布団に倒れこんだ。
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公開日時 | 不明 |
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本文文字数 | 23442文字 (タグ込み) |
URL | https://orca.xii.jp/br/diary/diary.cgi?id=dogoo;date=20080326 |
死んでくれ。
狙われるなよ。
感動した。
帰りの切符は先に買っておくのがよい
(失くしてもいいように一番安いやつを)
今日で犬土偶日記の本文文字数が400万文字を超えたらしい。
全部読んだら一体何時間掛かるんだろう。
と言うか書くのに一体何時間使ったんだろう。
プリンの蓋の裏を舐めるのとプリンの容器に残った茶色い汁を啜るのと一体どちらが