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犬土偶日記

海の近くに住みたい

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2007年09月28日

犬土偶旅行記 88日目 LOVE&TRUTH

公開日時: 不明

今日は叔父の子供達と奥さんと、バイクの叔母の娘が帰る。朝一番の飛行機で帰るらしい。もうみんな帰るから起きろと言はれて8時半頃に目が覚めた。視界にハエが2匹。必ず屠らねばならん。だが何故か倒せない。起きたばかりで俺の動きが鈍いのかと最初は思つたが、今日のハエは明らかに普段のより反応も早く、動きも速い。ハエのくせに速え。まあ良い。生き急ぐやつは早死にする。無駄に俺を刺激したことで逃げ延びて生き残れる可能性は消えた。根性で叩き殺す。1匹目を苦労して倒し、2匹目は一瞬見失つて敗北感を脳が感じ始めるギリギリまで行つた。だが叔母が発見してくれた。親の携帯電話に止まつてゐた。死ぬとも知らずにバカみたいに手を擦つてやがる。死ね。苦しんで死ね。生まれて来たことを後悔しながら死ね。親がやめろと叫ぶ。ハエの命を惜しんで叫んだのではない。携帯電話が汚れるのを嫌がつたのだ。ハエの命など誰も顧みない。無意味に死ねば良いのだ。気付かれないやうに射程距離までゆつくり近づき、ハエ叩きを降り降ろす。アーッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャ!!!目的を達して歓喜の奇声を上げる俺と、携帯がハエの汁で汚れて絶望感を込めて叫ぶ親。

種子島の親戚はみんな遠くに住んでゐるし、交流もほとんど無い。祖母がここにゐれば夏休みとかに集まつて来ることもあつただらうが、もう祖母もゐない。初盆やら3回忌やらが終れば来る人もほとんどゐなくなるだらう。色んな親戚がここ数日で集まつて来たが、もう二度と会ふことがない人も大勢ゐるのではないかと思ふ。続々とみんな帰つて行く。今回初めて会つた人や何十年ぶりに会つた人は俺のことを焼酎をストレートで飲むハエハンターだといふ印象で記憶してしまつただらう思ふ。葬儀の最中でも、親戚が歓談する輪の中でも、食べ物の近くでも、ハエを見付けたら必ず屠る。ゐたら叩くといふのではなく、ハエ叩きを持ち歩いてハエを探す。無理矢理探し出して殺す。ハエ叩きの柄の端にハエの死骸をつまんで捨てるピンセットみたいなのが標準装備されてゐる。叩いた後にピンセットを抜いて死骸を捨て、誇らしげにピンセットを鞘に収める姿がまるで侍のやうだつた。人が大勢来て食べ物も多かつたのでハエも多かつた。悉く俺に屠られただらう。最近の1週間だけで80匹は確実に屠つたと思ふ。種子島の系統の親戚は変はり者が多いが、初孫の俺が誰よりも圧倒的にダントツでヤバい方向性の変はり者だらうと思ふ。誰に似たんだらうか。種子島の系統の祖先からの遺伝なのは間違ひない。をかしな人が種子島の祖父母の子供や孫に多いからな。父親の親戚にはゐない。祖母は少し頑固なところもあつたが、面白くて働き者でみんなに慕はれる良い人だつた。祖父のことはほとんど覚えてゐないが、たまに聞く話だとどうも祖父が怪しい。俺は変はり者の多い種子島の親戚達にさへ頭がをかしい人間だと思はれたのではないかと思ふ。

一番大変な時期に一番長くゐたから、今まで会つたことがない人や全く記憶にない人にも大勢会つた。さういふ人達も葬儀が終れば仕事や学校があるから帰つて行く。もう二度と会ふことがないかもしれないと思ひながら大勢見送つて来た。今朝帰つた叔父の家族やバイクの叔母の娘にももう二度と会ふことがない可能性の方が高い。バイクの叔母も2日に帰るらしい。親も3日に帰るらしい。叔父は子供の運動会に行くために5日に帰るらしい。5日以降は俺1人だ。1人で言葉が分からない種子島でしばらく留守番だ。祖母の死を遅れて知るであらう遠くの集落の人や遠い知り合ひが弔問に来るかもしれない。叔父がいつ戻つて来るのか知らないが、それまでは種子島にゐる。でも俺ももうすぐ帰る。屋久島にも行けなくなつた。

ハエを屠りながら漫然と過ごす午後。急に人が減つて静かになつた。叔母はどこかに出掛けて行つた。俺も西之表に出掛けることにした。YUIの新曲が26日にリリースされたのだが、それどころではなかつた。漸く落ち着いてきたので買ひに行くことにした。種子島はCDを買ふ場所が少ない。西之表のGEOかサンシードの3階か、南種子の河野書店か。西之表に行くにしても上中まで行くにしてもかなりの距離を走らねばならん。買ひ物をするには不便な島だ。わざわざ何も無くて遠い南種子まで行くのは大変過ぎるので西之表へ。住吉のデーリィ牛乳を越えて少し行つたところで地元の小学生が俺の方を指差して爆笑しながら何か叫んでゐた。何か言ひたいことがあるなら標準語で喋れ。弟を見送つた帰りにサンシードに行つた時にはYUIのCDは売り切れてゐたのでGEOに入つてみた。売つてゐた。GAMのDVDは相変はらず売つてゐない。売れないから仕入れる気も無いんだらう。可児に帰つてから買ふか。

帰りは違ふ道を通つて帰ることにした。サムズを越えてカーブのすぐ先の左側にある細い道を上つてみた。上がつてみて初めてその反対側にエビの養殖場があることを知つた。もう営業してゐないやうだが。その道を入つて小さな集落の中を突つ切り、いつもと同じやうに見渡す限りサトウキビしかない農道を延々と走る。能野の辺りからさらに内陸部に入つて行く。どこに出るかは知らないが必ず知つてる道に出る。しばらく走つてゐたら太い道に出た。空港から西之表に向かふ県道76号線だらう。少し行つたらまた右に向かつて細い道があつた。標識を見たら牧川と書かれてゐた。山を抜けてサトウキビ畑の中を通つて牧川に出る道らしい。ここは通つたことがないのでここから帰ることにしよう。しかし「牧川」の下に「Makigawa」と書かれてゐるのが気になる。地元民はみんなマキゴーと言つてゐるがそれはやはり訛りなんだらうか。それとも標識が間違つてゐるんだらうか。適当に畑を抜けて海を目指し、牧川港と草ノ木の間ぐらゐに出て来た。

それにしても、ここ数日の人の入れ替はりは激し過ぎた。いつ誰が来ていつ帰つて行つたのか分からないぐらゐだ。その間の日記をまだ書いてゐないが、思ひ出せる気がしない。

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公開日時不明
本文文字数2534文字 (タグ込み)
URLhttps://orca.xii.jp/br/diary/diary.cgi?id=dogoo;date=20070928
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