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犬土偶日記

海の近くに住みたい

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2007年09月25日

犬土偶旅行記 85日目 葬式

公開日時: 不明

昨晩はいつの間にか寝てゐた。朝から葬式の準備。何か玄関の方で騒ぎが起きてゐた。何事かと思つて行つてみると、猫の叔母の旦那さんが汲み取り式の便所に携帯電話を落としてしまつたらしい。ウンコに携帯が刺さつたんだらうか。取らないわけにもいかず、物凄い騒動になつてゐた。どうやつて取るんだらうか。叔父の奥さんが焼肉の時に肉を挟むあれをどこからか見つけたりしてゐた。結局どういふ手段でやつたのか知らんが無事に取り出せたらしい。どんな奇跡が起きても「無事」といふことはあり得ないんだけどな。台所の近くの外で拭いたりしてゐたやうだがどうなつたのか知らん。

家を出る霊柩車霊柩車に祖母の遺体を乗せ、斎場へ向かふ。親戚を乗せるバスが1台。近所の人達を乗せるバスが1台。近所の人を乗せるバスは集落をグルッと回つてみんな乗せて行くらしい。30人づつしか乗れないので溢れた人は自家用車。どこでやるんだらうと思つてゐたら、野間の国道58号と県道75号が合流するところの近くだつた。マーライオンみたいな白いライオンの石が置いてある場所は葬儀場だつたんだな。

まだ時間があつたので親や叔母の写真を撮つたりしながら控室で待つ。まさかこんなに早く祖母が亡くなるとは思つてなかつた。病気が発覚した時は夏まで持つかどうかと言はれてゐたが、7月に来たら元気だつたし、それからも湿疹やリンパ腫も消えてますます元気になつてたから、しばらく大丈夫だと思つてゐた。8月末から急激に悪くなつたが、一時的に悪いだけでまた治つて元気になるとバカみたいに思つてゐた。やはりATLになつたら希望は無い。これでも長く持つた方なのかもしれない。最後に遠くの親戚も大勢来て子供にも全員会へたし孫もほとんど会へたから良かつたのかもしれん。畑仕事もみんなに止められてもやつたし、海で貝も拾つたし、落花生も掘つて夏にやることは全てできたから良かつたのかもしれない。これで4人の祖父母は全員亡くなつた。死に目に会へたのはこの種子島の祖母だけ。もし今年前半のスロが不調で金を稼げなかつたら去年の祖父の13回忌の時が祖母に会つた最後になつてゐたかもしれない。でも俺が種子島に来なかつたらもう少し長生きしてゐたかもしれない。屋久島から帰つて来た日に高熱を出したが、思へばあれが始まりだつたのかもしれない。その後2週間半は元気だつたが、あの時に既に始まつてゐたのかもしれない。俺が来なければそもそも屋久島へ行くといふ発想は誰にも無かつたから、祖母が無理して山に登るやうなこともなかつただらう。祖母も一緒に屋久島に行くとは思つてなかつたし、行くことになつても民宿で留守番するものだと思つてゐた。でもみんなが行くと言へば祖母も行きたがるし、行けば一緒に行動することになる。俺が屋久島に行くと言はなければ親が同級生に民宿のことを聞いてみんなで行かうと言ふこともなく、誰も屋久島へ行かずに過ごしただらう。さうすれば祖母が体調を崩すこともなく、もしかしたらまだ元気だつたかもしれない。8月末の大潮の時に祖母が貝拾ひに行くと言ふのをやめさせてゐれば、とか色々考へてしまふ。でも後から色々考へても無駄だ。なるやうにしかならなかつた。

告別式の時間になり、ホールへ。前の方の横にある親族席は祖母の子供とその配偶者が座る。孫である俺は一般参列者席の前の方。弟と猫の叔母の息子と並んで座つた。いつの間にか猫の叔母の娘が来てゐた。告別式に間に合つたらしい。本当は昨日来るつもりだつたが飛行機の都合で来れなかつたとか。この従妹はいつだつたか扶桑の丸忠で叔母と親と4人で昼飯を食つた時の従妹。1年ぐらゐ前か?時間の感覚が無いから全く分からない。去年の秋頃だつたやうな気がする。日記に書いたから調べれば分かるがどうでも良い。8月初めに種子島に来てみんなで千座の岩屋や男淵女淵の滝を見に行つたバイクの叔母の娘も来るやうだが、残念ながら告別式にも間に合はないらしい。始まる頃に少し遅刻気味に変なオッサンが入つて来た。みんな礼服なのにそのオッサンだけ普段着。といふか何か派手なシャツ。色は白つぽいが、柄物のシャツ。何だあのオッサンは・・・と気になつてゐたが、後で続々と面白エピソードが出て来ることになる。

みんなで必死に選んだ祖母の写真がDVDになつて流されてゐた。昔の写真から順に10枚ほど使つてナレーション入りでDVDになつてゐる。一番新しいのは盆の頃に子供達が作つた鹿除けのカカシを畑に持つて行つた時の物。小学生の孫達と一緒に映つてゐた。1ヶ月前はまだあんなに元気だつた。祖母がカラオケする横でピースしてる子供時代の俺の写真も流れた。小学生にしか見えないんだが89年と書いてあつたから中1だらう。昔のことはあまり覚えてゐない。

親族から順に焼香。親族席の人は全員焼香中に葬儀屋のカメラマンに写真を撮られてゐた。一般参列者は時々撮られる。俺の時は撮られなかつた。坊さんはいつもと違ふ衣装でお経を唱へてゐる。滅茶苦茶暑さうだ。冷房が無かつたら熱中症で死ぬだらうと思ふ。お経は普段と違つて暗い歌みたいな感じのやつだつた。それにしても盛大な葬式だ。こんなに人が集まるとは思つてなかつた。後で受付の帳簿を見たら200人近い人が来てゐたやうだ。今年種子島で会つた人は全て来てゐたと思ふ。

参列者へ叔父から挨拶。泣きさうになりながらもしつかりと最後まで務めた。みんな泣いてゐた。急なことで心の準備ができてゐなかつたといふのもあるが、祖母はみんなに慕はれてゐたんだと思ふ。物凄く惜しまれながら亡くなつた。親族みんなで棺に菊の花を入れる。叔父の下の娘が大泣きしてゐた。6歳の子供でも分かるんだな。霊柩車に乗せて火葬場へ。先導車に叔母や親が乗り、バスに他の親戚が乗る。

斎場からさらに南種子方向へ向かひ、横町の方へ入つて行く。サトウキビ畑の奥に煙突が見えて来た。こんな場所に火葬場があつたのか。祖母と最後のお別れ。叔母達はまた泣いてゐた。最後は喪主の叔父がスイッチを入れる。2時間ぐらゐ掛かるらしい。

火葬が終るまでの間、控室で待つ。おにぎりや煮物が用意されてゐたが、この後で斎場に戻つて親族や近所の人達と一緒に飯を食ふことになつてゐるのであまり食はない方が良い。弟がおにぎりを2個も食つてゐた。火葬場にもみんな集まつてゐた。奥の方で派手なシャツの爺さんが目立つてゐた。あの爺さんは何者なんだらうかと気になつて気になつて仕方が無い。従弟と話したり祖母と過ごした3ヶ月を思ひ出したりしながら2時間待つ。猫の叔母の旦那さんがビニール袋に入れた携帯電話を取り出してゐた。どうするつもりなんだらう。新しいのに替へて貰ふと言つてゐたが、壊れてるわけでもないのに交換できるんだらうか。ウンコには刺さつたが、中に水が入つて壊れるといふやうなことにはならず、臭ひさへ気にしなければ普通に使へるといふ、ある意味最も悲惨な結末になつてしまつた。店に持つて行く時もビニール袋に入れたままだらう。あからさまに不審だ。店の人に何て言ふんだらうか。中のデータだけは取り出さねばならん。その作業をする携帯ショップの人が可哀想だ。一体どういふ状況で便所に落としたんだらうかと色々想像したりする。落とした瞬間はやはり叫んだんだらうか。色々想像しながら弟と従弟と3人で真剣に語り合つた。

火葬が終り、骨を骨壷に入れる時が来た。父方の祖父母の時にもやつたが、余熱で凄く暑い。何度ぐらゐの温度で焼くんだらうか。釜を開けてからしばらく待つてある程度は冷やしてあるはずだと思ふんだが、それでも熱い。熱波で日焼けみたいになりさうだ。坊さんがお経を唱へる横で遺影の前に線香をあげる。そして親族から順に骨を壺へ。足の方から拾つて行くらしい。俺は右脚の上の方か腰の辺りのよく分からない骨を拾つて壺に納めた。親戚や近所の人や、来た人みんな順に入れて行く。父方の祖父母の時は部分的に拾つて少しだけ壺に納めてゐたやうな記憶があるんだが、今回は残つた骨を全て入れてゐた。最後に叔父が残つた骨を全て入れて頭の骨を被せて蓋をした。便所蜂がフラフラと飛んでゐて、熱いのに祖母の骨が寝てゐる台に近づいてゐた。飛んで火に入る夏の虫といふやつか。まさか飛び込んで死ぬなんてことは無いだらうと思つてゐたが、かなり近くを飛んでゐる。火葬の余熱だけで死んでしまひさうだ。フラフラと祖母の頭の近くを飛んでゐたが、本当に自殺するとしか思へん行動に出た。吸ひ込まれるやうに熱い場所へゆつくりと飛んで行く。あと10cm、あと5cm、あと2cm、死んだ!!と思つた瞬間、猛烈な勢ひで天井の方へ飛び去つた。熱い場所に一瞬だけ確実に触れた。その現場を目撃してしまつた俺と弟は思はず笑ひが込み上げた。笑ふやうな場面ではないのに。便所蜂でも熱さを感じるんだな。

バスで一度斎場に戻り、親族と集落の人達だけで飯を食ふ。結構色々入つた弁当と、小さい焼酎がついてゐた。焼酎は普通の25度のやつではなく、17度まで薄められてゐてそのまま飲めるやつ。あまり腹が減つてなくて完食できないといふ醜態を晒した。でも手を付けずに持つて帰る人が多かつた。食はずに持つて帰る習慣なのかもしれない。薄められた焼酎でも相当酔つた。葬儀中にお供へしてゐた焼酎を一口づつ回し飲みするといふよく分からない儀式もやりつつ、無事に葬儀を終へた。一番下の叔母の旦那さんは仕事があるので葬儀場から空港へ直行するらしい。タクシーを呼んでゐた。慌しいな。俺達はバスで牧川へ帰る。

お骨を祭壇に置き、ひとまづ終了。みんな続々と着替へ始める。告別式にも間に合はなかつた従妹が来た。1ヶ月半ぶりか。もう会ふことは無いだらうなと思つてゐた人達と次から次へと再会する。ずつと種子島にゐた俺は負担がほとんど無いが何度も種子島に来る人は金銭的にも相当大変だらう。

午前に始まつた葬儀だが、家に帰つて来たのは夕方。結構大変なんだな。夜は親しい人や親戚で酒を飲んで過ごす。叔父の子供達も騒ぐ。まだ○×で遊んでゐる。すげえ精神力だな。来たばかりのバイクの叔母の娘は前に来た時と同じく凄い勢ひでビールを飲んでゐた。すげえな。俺は酒弱いからあの勢ひで飲むことはできない。無理矢理あの勢ひで飲んだら急性アルコール中毒で死ぬか吐くだらう。20歳であれだけ飲むなんて将来が怖いな。でも大量に飲んでも酔はないといふわけではない。かなり激しく酔つてゐて見てる方も不安になる。真つ直ぐ歩けずフラついてコケさうになつたりしてゐる。危ないなと思つて見たら何故か満面の笑みだつたりして少し怖い。全然飲めない叔父も従妹に勧められると飲む。しかし叔父も弱いのですぐに酔ふ。弟にもビールを勧めてゐた。俺はビール飲めないので勧められない。1人で焼酎を舐め回す。みんな酔つ払つて賑やかだ。悪酔ひして人に絡んだりする人がゐないので良い。俺は自分がどれぐらゐ飲んだら危ないか知つてゐるし、酔つても極端に判断力が鈍ることは無いから自分である程度調整しながら飲める。だが従妹は違ふやうで、ビール瓶4本ぐらゐを凄い短時間で飲み干してをかしくなつてゐた。思はずオッサンみたいだなと言つてしまつた。弟にビールを飲ませてしばらくしてから叔母の膝に埋まるやうにして震へてゐた。何かのキッカケで泣いてしまつたのかと思つたが、笑つてゐたらしい。飲み過ぎだな。危ないから外では飲まない方が良いのではないかと思ふ。

焼酎を飲んで腸が爛れたカナブンカナブンが家に迷ひ込んで来た。焼酎をテーブルに少し垂らし、そこにカナブンをブチ込んでみた。虫でも酔ふのかな?と実験してみた。酔つたらどういふ動きをするんだらう。それとも死ぬのかな?期待に胸を膨らませながら見てゐたら何とウンコを漏らしやがつた。ケツから黒い汁をダラダラと出す。相当刺激が強かつたらしい。叔父の奥さんが自分の息子みたいだと言ふ。小5の従弟はやることが俺に似てゐて将来が楽しみだ。虫にやたらと興味を示すし、好奇心旺盛で俺と同じやうな発想で虫を弄る。前に来た時もスズメバチの巣から幼虫を取り出して日干ししたりしてゐた。俺みたいな大人になる気がする。さう言つてみたら叔父が絶対にさせん!と言つてゐた。まあさうだらう。俺を見て自分の子供を俺みたいな大人になつて欲しいと思ふ人がゐたら頭がをかしいし親失格だ。叔父は傍から見てて厳し過ぎるのではないかといふぐらゐ厳しく子供を躾けてゐる。もし俺が叔父の子供だつたら毎日毎日怒鳴られつぱなしだらうと思ふ。しかしどんなに厳しくしても元からの人間性は変はるものではないと思ふ。俺は親の育て方が悪くてかうなつたのではないと思つてゐる。従弟の将来が楽しみだ。

ギターを弾いてみた。ACアダプタを使へば鳴らせるが、コンセントから遠いし面倒なのでアンプ無しだ。電池も使へるが、だいぶ前に切れてしまつてゐる。10秒ぐらゐなら鳴るが、すぐに鳴らなくなつてしまふ。時々音を出したりしながらギターを弾く。将来有望な叔父の息子に弾かせてみた。ドレミファソラシドだけ教へて遊ばせた。興味を持つたらしく、いつまでも弾いてゐた。時々密かにスイッチを入れてディストーションサウンドにして脅かしたりする。これがキッカケでヘビメタに目覚めたりしたら面白いな。ますます俺みたいになる。子供の頃から始めればギターも相当上手くなるだらう。どうせやるならジャズとかクラシックの方が良いと思ふ。

人数が多過ぎて風呂が大変だ。1人づつ入るから恐ろしく時間が掛かる。俺は最後の方に入つたと思ふ。寝る場所も早い者勝ちといふ感じなので俺は寝る場所が無い。一体何人ゐるんだらう。凄い人数だな。弟は来たばかりなのに明日帰るらしい。そろそろ満月で良い潮時なので海に入つてナガラメでも捕つて帰れば良いのにと言つたが仕事があるから帰るらしい。

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公開日時不明
本文文字数6130文字 (タグ込み)
URLhttps://orca.xii.jp/br/diary/diary.cgi?id=dogoo;date=20070925
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