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犬土偶日記

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2007年09月17日

犬土偶旅行記 77日目 あっぽ〜らんど、天女ヶ倉、鉄浜海岸、カシミア号漂着地

公開日時: 不明

今日も早く起こされて朝飯を食ふことになるのかと思つてゐたが、起こされなかつた。起きなかつただけかもしれない。10時頃に起きた。今日は雨のはずだつたが、天気予報を見たら曇になつてゐた。外を見ると晴れてゐるやうな曇つてゐるやうな中途半端な感じでいつ雨が降るか分からない状態。でも今日は出掛けようと思つた。あっぽ〜らんどをじつくりと歩いてみる。

午前中に親の携帯に電話が掛かつて来た。知らない人からのやうだつたが出てゐた。そしたら何とあの猫を連れ帰つた叔母からだつた。どうやら昨日携帯電話を買つたらしい。種子島系の親戚は変はり者が多く、俺と叔父とその叔母が携帯電話を持たずにこれまで過ごしてゐた。俺と叔父は親に強引に勧められたといふか持たされたみたいな感じになつてゐた。叔母も叔父と同じやうに祖母がかういふ状況になつたために持つ決断をしたやうだ。これで携帯電話を持たない人間が絶滅した。

親と叔父は今日も病院へ。俺は昼からあっぽ〜らんどへ。その前に電話が掛かつて来た。出るのが億劫だが出ないわけにもいくまい。重要な電話かもしれん。出てみたら保険の勧誘だつた。激しく要らん。ゆつくり話すな。速く喋れ。旦那さんですか?と聞かれたので孫ですと答へた。何故か少し笑はれた。ちなみに年は?と聞かれた。俺も保険に入れといふことか。30と答へたら10代かと思つたなどとわけの分からんことを言ふ。30代の孫がゐる老人の家だといふ下調べもせずに掛けて来たのか?それとも10代を勧誘しようとしたのか?声が若かつたから10代だと思つたんだと。声ぢやないだらう?喋り方がまともな大人ぢやなかつたから若いと思つたんだらう?まあどうでも良い。適当に断つて切つた。祖母は必要以上に保険に入つてゐるからこれ以上は無駄。それに既に入院してるから新たに保険に入ることもできんだらう。

戸締りをして家を出たのが13時半。原付に乗るのは1週間ぶりぐらゐだらうか。またエンジンが掛からなくなつてゐた。10分ほどキックして苦労してエンジンを掛けた。しかしエンジンが掛かつても動かない。アクセルを噴かすと止まりさうになる。ゆつくり回しても走り始めるまでには至らない。エンジン掛けるのに10分、走り始めるまでに5分。これは目的地に辿り着いて駐車したら二度と動かんといふ悲劇に遭ふかもしれない。よきのでキーを失つた日もそのパターンだつた。猛烈に不安だが負けるわけにはいかない。悲劇に遭遇しても歯を食ひ縛るだけだ。いつも通り国道58号を真つ直ぐ北上。何度通つただらうか。よきの海水浴場に人が集まつてゐた。台風は通り過ぎたが、まだ風はある。即ち波がある。サーファーが大量に集まつて来て海鳥のやうに波間に浮かんでゐた。サーフィンなんてやつたことないけど面白いんだらうか。このためだけに種子島に移住して来る人も多いらしい。このために来てる若者は良い波の日には必ず仕事を休むらしい。

西之表港の奥の方から山の中へ向かつて北上。あっぽ〜らんどまで一直線。結構遠いな。家からだと30kmはあるやうな気がする。ダムに辿り着き、公園内を見る。前に来た時は全く人がゐなかつたが、今日は少しゐた。まづは一番手前の広場から行かうかと思つたが、何となく先に奥の方へ行きたくなつた。原付のエンジンは切らずに自販機でアクエリアスのペットボトルを買ひ、奥の方へ。途中で道が湖沿ひに行く方と山へ入る方に分かれてゐる。山へ行くと運動場や屋根付きの施設や遊具場やらがあるらしい。まづそちらへ行つてみた。鹿小屋といふ立て札が出てゐたので奥を見てみたら芝生の広場の奥に広い檻があつて鹿がたくさんゐた。近づいて撮影。屋久島にゐた鹿とは明らかに違ふ種類だつた。体がデカいし何となく凶暴さうだ。屋久島の鹿はあまり動かないが、種子島の鹿はよく動く。しかもうるさく喚き散らす。一番デカいオスの鹿が近づいて来て金網に角を擦り付けて威嚇してきた。怖いな。檻が無かつたら殺されてゐただらう。地面が泥になつてゐて、そこで寝転がつて遊ぶのか、全身泥まみれで気持ち悪い。下手に刺激してウンコまみれの泥を飛ばされたら困るので適当に撤退。鹿の解説が書かれた看板は色褪せて読みにくい。種子島の鹿は馬毛鹿といふ種類らしい。岐阜にゐる日本鹿とも違ふんだな。不安だつた原付のエンジンはすぐに掛かつた。どうやら今日は大丈夫らしい。

馬毛鹿1 馬毛鹿2 馬毛鹿3 馬毛鹿4

ポルトガル船ハリボテさらに奥に行くと、屋根の付いた施設の奥に鉄砲まつりの時に軽トラに被せてゐたポルトガル船のハリボテが保管されてゐた。もつと奥に行くとゴーカート場があつた。種子島はゴーカートが好きだな。宇宙ヶ丘公園にもあつた。その先には何も無ささうなので一旦引き返すことにした。ダム沿ひの道をずつと奥に行くと水車小屋がある。そこがダム湖の東端のやうだ。あっぽ〜らんどの案内板もある。ダムの周りに歩道が整備されてゐるのでそこを1周することにした。一体何kmあるんだらうか。ダム湖全てを回るのではなく。ダム湖の東半分を回る感じだ。ダム湖の真ん中ら辺を縦断する浮き橋があつて公園と繋がつてゐる。歩道に入る場所は何箇所かあるが、どこから入らうか迷ふ。原付を停める場所は少ない。ダムの堰のところの駐車場に停めて時計回りに歩くことにした。

ダム 駐車場 ボート乗り場
北側から見るハイビスカス橋1 北側から見るハイビスカス橋2 北側から見るさくら橋1
北側から見るさくら橋2 ダム湖 東からの風景1 展望東屋

まづはボート乗り場がある。アヒルボートだ。お前らは白鳥だと確信してゐるやうだが、写真を見ればアヒルなのが分かるだらう。諦めてアヒルだと認めろ。猛烈に乗りたいが勇気が出ない。歩道沿ひに乗り場の小屋があるのでそこを通らざるを得ない。小屋の中にゐた爺さんがチラリとこちらを見た。スルーしてしまつた。そのまま歩き続ける。それにしても地面がやたらと滑る。小さくて丸い小石を固めて作つた道なんだが、濡れて腐つた落ち葉の残骸が絶妙に染み込んでゐて、まるで氷の上を歩くやうな感じだ。そこら中に蜘蛛の巣が張つてるのも鬱陶しい。まあ蜘蛛の巣は可児の鳩吹山で慣れてるから良い。用心すべきは蜂だ。今の繁殖期はこちらが何もしなくても勝手に襲ひ掛かつて来る。苦しめて殺したい。絶滅させたい。蚊と蜂は絶滅させるべきだ。死ね。

歩道を歩き、水車小屋の近くまで行くと蓮や蒲の茂つた場所に出た。そこで何か小動物が猛烈な勢ひで走つて水の中に飛び込んで消えた。鳥なのか鼠なのかよく分からん。湖を覗いたらデカい真鯉がゐた。激しく釣りまくりたい。でも釣り禁止といふ看板がそこら中に立つてゐる。この湖にはどんな魚がゐるんだらうか。鯉がゐることは確認した。鮒もゐるのかもしれない。何となくブラックバスがゐさうな気配もヒシヒシと感じてゐる。静かに水際に近づいて探してみるが、ストラクチャー周りにそれらしい魚影は発見できない。

水生植物1 水生植物 解説 水生植物2
水車小屋 あっぽ〜らんど案内板 鯉

いくつか橋が架かつてゐる。最初のさくら橋は怖かつた。歩く場所は角材を並べたやうな造りになつてゐるが、その木が柔らかいのだ。腐食してゐる感じではないが、猛烈にしなる。揺れる。軋む。さくら橋を渡つてダム湖や風景を撮影しながらも蜂には細心の注意を払ふ。1つ目のより大きくて頑丈な造りのハイビスカス橋を渡り、急激に山を登る感じの道になつた。斜面に無理に道を作つたからさういふ道になるんだらうが、それがまた程好い刺激になる。良い運動になる。休憩所みたいなのも所々にあるがこの程度の遊歩道で休む必要は無い。さらに進み、入り江でつひにブラックバスを発見した。山人だから海水魚は見ても全く分からんが淡水魚はクッキリ分かる。高校入試前日にもまだ寒い時期なのに夕方に山奥の池に釣りに行つたぐらゐ中学高校時代は釣り好きだつた。それにしても、どうやつて種子島にブラックバスを持ち込んだんだらう。飛行機で生きた魚は難しいだらう。船だらうか。荷物に稚魚を紛れ込ませて持ち込んでわざわざこんな山奥に放流しに来たんだらうか。釣り禁止のダム湖に釣り以外何の役にも立たない害魚を放流しても意味が無いだらうに。こんな良質なダム湖があれば釣りをしないわけにはいかないが釣り禁止の公園なので無理。釣りOKの場所も作れば良いのに。まあ釣りをするなら海へ行く方が手軽か。わざわざ山奥に淡水魚を釣りに来るのも面倒だし釣れても食へんしな。海水魚の方が引きも強いし面白いだらう。でも淡水魚も釣つてみたい。このダムから流れて行く西京川にもブラックバスはゐるはずだ。河口近くの流れの緩やかな場所で狙つてみたい。河口近くならシーバスもゐるかもしれない。でも遠いし時間も無い。

ダム湖 東からの風景2 ダム湖 東からの風景3 さくら橋1 さくら橋2
遊歩道 対岸から見るボート乗り場 ハイビスカス橋1 ハイビスカス橋2
ハイビスカス橋3 ハイビスカス橋4 後ろを振り返つてハイビスカス橋を見る 急激な上り坂
山の上からハイビスカス橋を見る"" 水生植物浮島 下り坂 ひまわり橋
ひまわり橋とたんぽぽ橋 ひまわり橋の上 南から公園方面1 南から公園方面2

ダムに浮かぶ橋を渡りながら公園方面を写したりする。なかなか楽しい場所だ。種子島にも色んな場所があるんだな。湖の真ん中に噴水がある。これはどこかで金を払ふと操作できるらしい。それを誰かが丁度動かしてゐたので撮影したりした。見る場所によつては虹が見える。ブラックバスも何匹か見かけた。どれも15〜20cm程度の小物だが、デカいのもゐるだらう。ブルーギルはどうやらゐないらしい。ゐるなら必ず魚影があるだらうと思へる場所で見かけなかつた。

噴水1 噴水2 噴水でできた虹

湖の真ん中を縦断する浮橋で人と擦れ違つた。橋は最初にペットボトルのアクエリアスを買つた公園の奥に続いてゐる。公園の奥にはポルトガル船を模した遊具がある。橋を渡り切り、公園内をウロウロしながら写真を撮つたりダム湖を眺めたりする。船の上に上がつてみたりしながら1人であっぽ〜らんどを堪能。公園には小さい池みたいなプールみたいなのがあり、滑り台でプールに突入するやうになつてゐる。奥の方にはわかさ公園にあつたのよりも長い滑り台がある。一寸したアスレチックのやうな感じになつてゐて子供なら相当楽しめるだらうと思ふ。10代に間違はれる俺も存分に楽しんだよ。

くじら橋から後ろを振り返る くじら橋からダム湖の西を見る ダム湖の北へ到達 公園の裏から見上げる
裏から見上げる中央展望所 公園の上から見る親水デッキ だむだむ号 流水滑り台
だむだむ号の上からステージと展望所を見る だむだむ号からダム湖を見る だむだむ号から広場を見下ろす 逆光気味のだむだむ号
中央展望所 中央展望所から見るだむだむ号 中央展望所から見るダム湖東側 中央展望所から見るダム湖南側
中央展望所から見るダム湖西側 中央展望所から見る公園1 中央展望所から見る公園2 中央展望所から見る公園3

丘の上の建物にも上つてダム湖や公園を眺めたりする。噴水を操作する場所はどんなに探しても見つからなかつた。看板はいくつかあつたんだけどな。100円硬貨を入れて操作するらしい。矢印に従つて進んでみたり看板付近を探し回つたりしたがどこにあるのか分からない。でも少し前に誰かが操作してゐたのでどこかにあるはずだ。まあ良い。歯を食ひ縛りながら諦めよう。アヒルボートに乗らなかつた時点で俺の負けだ。

さて、一通りあっぽ〜らんどを堪能したので帰ることにした。しかし来た道を戻るのはあまりにもつまらない。どこからでも帰れるんだが、どの道を行かうか少し考へた。水車小屋の奥へ行くか、それとも鹿小屋の奥へ行くか。少し迷つてから鹿を選んだ。鹿小屋の奥の道を進むと、「いこいの森」といふ看板が出てゐた。十字路で適当に右(南)を選んで進んでみた。どこへ出るのかと思つたら水車小屋に出た。死ね。仕方がないのでそちらから帰ることにした。

西之表方面へは行かない。西之表に出ると走り慣れた国道58号を通つて帰ることになる。逆方向へ。島の東側へ出てみようと思つた。島の北半分は高い山になつてゐるので一度島の東側に出ると簡単には西側へ出られなくなる。だが適当に南下すればどこからか山に入つて西側へ抜けることもできるだらう。あまり時間は無いが取り敢へず東海岸を目指すことにした。しばらく行くと、天女ヶ倉公園といふ立て札を発見。忘れてゐた。西之表には高い山から東海岸を望める絶景ポイントがあつたのだ。迷はず天女ヶ倉へ寄り道。しかしあっぽ〜らんど方面からの道は相当険しい。反対側から天女ヶ倉へ来る道は普通なんだが、北側から来ると恐ろしい道だ。立て札の矢印の先を見るだけでキツさうなのが分かる。軽自動車でも擦れ違へないほど細い道だ。原付だから余裕だけどな。それにしても相変はらず交通量が少ない。こんな奥深い山で原付が壊れたら携帯電話も通じないし死確定だぞ。

しばらく走つて山の上の方に行くと、一寸した展望台みたいなのがある天女ヶ倉公園に出た。太平洋に面した東の海が見える。恐ろしく高い。まるで飛行機から見てゐる景色だ。駐車場から少し上に行くと、休憩小屋があつて東の海が良く見える展望台になつてゐる。そこからさらに少し上に行くと短く刈り込まれた草地がある。ガードレールも手摺りも無い断崖になつてゐる。怖くて近寄れんが、俺の限界まで際に寄つて下を覗き込んだ。木が生えてゐてどうなつてゐるか分からないが普通に走り幅跳びでどこにも引つ掛からずに山の下まで行けさうな気がする。手摺りが無いから恐怖で実際より高く感じるのかもしれない。写真を見ると鳩吹山ぐらゐの感じだ。これでも十分怖い。台風は去つたがまだ強風が吹き荒れてゐる。崖の際で突風に煽られたら恐怖でハラワタがモワモワする。風が強いので波も相当高さうに見える。サラシで沖まで真つ白になつてる場所も見える。元々東海岸は太平洋に面してゐて波が高い。牧川の穏やかな海とは比べ物にならない。釣りをするなら東側が良い。

天女ヶ倉公園 展望台からの景色1 天女ヶ倉公園展望台 展望台からの景色2
東海岸 展望台 手摺りの無い展望台 崖に近づいてみる
これ以上は近づけん 崖の際から見下ろす 奥の山の上にも展望台が見える 山の上の展望台
山の上の展望台からの景色1 山の上の展望台からの景色2 山の上の展望台からの景色3 山の上の展望台からの景色4

崖の方ではなく、駐車場の反対側の山の上にも展望台がある。宇宙ヶ丘公園にもあつたやうなショボい鉄の台だが、高い場所にあるのでもつと良い風景に見えるだらうと思つた。だが実際は大して変はらない。島民なのか島外の観光客なのか知らんが、天女ヶ倉には結構人が来るやうだ。俺がゐる間だけでも7人ぐらゐ来てゐた。

来た道を引き返すやうなことはせず、安納方面へ下りて行く。山の下には県道75号線が走つてゐた。県道75号線をずつと南に行くと犬城を通つて野間に出て熊野方面から回り込んで宝満神社や前之浜の近くを通つて門倉岬の前を通り、島間港まで行く。どこかで山に入つて西側へ抜けないと、犬城海岸のそばからゴルフ場の脇を抜けて男淵女淵の滝のところから帰ることになる。一度通つた道はできれば避けたい。といふか、距離がかなりあるので日が暮れる可能性がある。南へ行かず北上して伊関港を通つてメヒルギ自生群落を見て島の北端の喜志鹿崎を通つて浦田海水浴場方面から西之表に帰るといふ道もあるが、そちらの方はもつと距離がありさうだ。

東海岸1 東海岸2 東海岸3 東海岸4

東海岸は波が荒い。台風の影響もあるんだらうが、絶対に泳ぐ気にならないほど激しい。岩に当たつて砕けた波の飛沫が空気中を舞つて霧のやうになつてゐる。原付のミラーがすぐにベトついた霧状の海水で濡れてしまふし、眼鏡も曇る。服や腕も薄いコーラを浴びたやうな不快感。風が強いんだが湿度が高いといふか液体の水が混じつてゐるのでどんなに風を浴びても乾かない。時々寄り道して小さい漁港を眺めたりする。最近全く釣りをしてゐない。

しばらく行くと鉄浜海岸(カネハマカイガン)といふ標識が見えた。ここは良い波が来るのでサーファーにとつては素晴らしく良い場所らしい。この近くに武田鉄矢の別荘があるらしい。俺はサーファーではないが行つてみることにした。山を抜けて海岸へ出ると別荘地みたいな感じになつてゐた。個人の家なのか宿泊施設なのかは知らん。海は砂浜かと思つてゐたが砂利の海岸だつた。波は荒い。しかしサーファーは1人もゐない。よきの海水浴場には多かつたのに。小石だらけの浜よりも砂浜の方が良いのかもしれない。よく分からんけど。武田鉄矢の別荘は発見できなかつた。どこにあるんだ?

鉄浜海岸1 鉄浜海岸にある建物 鉄浜海岸2 鉄浜海岸 別荘地帯?

県道に戻つて南下。しばらく行くとカシミア橋といふのがあつた。これのことかな?種子島で一番高い橋からどこかの校長が飛び下り自殺したとか何とかずいぶん前に祖母が話してゐた。駐車場から海を見下ろすと門倉岬の崖に雰囲気が似てゐる。ただの橋に見物のための駐車場があるのが種子島つぽくて良い。そんなデカい橋でもないのにな。明治時代にこの近辺にアメリカのカシミア号が漂着して島民が船員を助けたらしい。南種子のドラムエルタン号と同じやうな感じか。そのカシミア号の名前を取つてこの橋にカシミア橋といふ名前をつけたらしい。海側は高いフェンスがあるから良いが、反対側の手摺りは低く、海からの強風もあるので恐ろしく怖い。車に注意しながら腰を低くして慎重に近づき、俺の限界付近から橋の下を撮影してみた。下にはどうやつて行くのか知らんが車が停まつてゐた。

カシミア橋駐車場から東の海を見下ろす カシミア橋解説の石碑 カシミア橋工事の看板 駐車場から橋を見ると種子島では珍し過ぎる風速が表示されるハイテクマシーンがある
橋のフェンス越しに海を見る 橋の南側から北を見る フェンスの無い西側から下を見下ろす 橋から西側の景色

橋を渡つてさらに南下すると、カシミア号漂着跡地とか何とかいふ標識が出てゐた。矢印の方向を見ると森の中へ続いてゐる。その先には海があるんだが、恐らくいつも通り険しい道だらう。でも当然行く。奥へ行つてみるとそこには漁港があつた。使はれてる漁港なんだらうか。人がゐないし波が激しいし夕方の東側なので暗い。堤防からでも余裕でヒラスズキを狙へさうな雰囲気だ。ここからカシミア号の船員を救助したのか。漁港内に米国人漂着地跡といふ石碑があつた。でもそれだけ。

米国人漂着地跡県道をさらに進む。県道と言つても太い道ではない。この辺りは険しい山なので細い道を上つたり下りたりしながらグネグネと曲がつた道を進む。時々海が見える。先ほどのカシミア号の漁港も見える。俺が帰る時に車が1台漁港に向かつて走つて行つたが、その車が漁港に停まつてゐるのも見える。釣り人だらうか。

県道75号線から米国人漂着地跡を見下ろすずいぶん長く東海岸を走つた。そろそろ犬城の辺りまで来てゐるのではないかと思つた。もうすぐ日が暮れさうだ。いつになつたら帰れるんだらう。黙々と走り続け、つひに犬城海岸の入り口に到達。盆の頃に見に来た馬立の岩屋があるところだ。あの時は犬城より北には行かなかつた。北へ行くと今日見た場所へ行くんだな。だいぶ種子島を回つた。とにかく今日は急いで帰らねばならん。もう今にも日が暮れさうだ。犬城海岸は華麗にスルー。ゴルフ場の脇を通り抜けて真つ直ぐ進む。そのまま標識に従つて中種市街地に向かふと増田を通つて野間まで出てしまふ。そんな遠回りをする余裕は無い。途中から視界がほとんど無いサトウキビ畑に突入して男淵女淵の滝の前から納官の辺りに抜ける。それでも犬城から20kmはある。この原付はリミッターのせゐで50km/hしか出ないから20kmでも30分近く掛かる。丁度日が沈む頃に家に着くだらう。

サトウキビ畑の中を猛然と突き進む。サトウキビだけでなく時々サツマイモの畑がある。サツマイモ畑で意外な物を見た。巨大な動物が畑から飛び出して来た。小型の馬ぐらゐの大きさはあつた。野生の鹿だ。つひに種子島の野生鹿を生で見た。デカい。あっぽ〜らんどの檻にゐた鹿より二回りはデカい。畑から走り出て道路を横切つて隣の畑に入つてそのまま走り去つた。もうすぐ沈みさうな太陽の光を薄つすら浴びてウンコ色に輝いてゐた。デジカメをポケットから出す間も無かつた。農業をやる人間にとつては鹿は憎むべき存在だらうが、山人でも滅多に鹿など見れないから感動する。

少しでも近道しようと北の方へ向かふ山道に突入したりするが結局はいつもの道に出てしまふ。逆に遠回りしただけに終つた。早く帰らせろ。意外と遠いんだな。苦労して島の西側に出て帰宅。長かつた。叔父と親はまだ病院から帰つてなかつた。異様に疲れた。13時半から18時半まで5時間もの旅。あっぽ〜らんどだけのつもりだつたんだけどな。

久しぶりにギターを弾かうとして異変に気付いた。ネックの裏のウレタン塗装は長年弾き続ける間に一部剥がれてしまつてゐる。そこに何とカビが生えてゐたのだ。こんなのは初めてだ。最近雨が多かつたとはいへ、いくら何でもこれはないだらう。ギターに異変が起こるといふのは不吉だ。俺にとつてはテリーマンの靴の紐みたいなもんだ。父方の祖母が亡くなつた時にギターの弦が強烈な赤錆を噴いた。弦は普通薄黒く錆びる。見て分かるほどに赤錆を出すことなど無い。何かの偶然だらうが、父方の祖母が亡くなつた時にさういふ異変が起きた。今度は母方の祖母に何かあつたのではないか。だから親や叔父が帰つて来ないのではないか。不安になつてきた。

俺が帰つて来て30分ほどで親と叔父が帰つて来た。どうやら祖母が晩飯を食ふのを見届けてから帰つて来たらしい。祖母はまた高熱を出すやうになつてゐる。昼は大丈夫なんだが、夜中から早朝にかけて38度とか39度とか出るらしい。何故こんなに高熱が続くんだらう。肺炎のせゐだけではないやうな気もするんだが医者ではないから分からない。

今日は敬老会といふのがあつた。敬老の日に老人を祝ふ会が集落ごとに行はれるやうだ。祖母は元気になつたら参加すると前に言つてゐたが、肺炎になつて入院してしまひ、参加できなかつた。それにしても老人しかゐない地域で敬老会とは凄いな。若い老人が年を取つた老人を祝ふ。祖母が60代の人を若い人と言つてゐるのを何度か聞いたことがある。凄いところだ。

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