海の近くに住みたい
公開日時: 不明
10時頃まで爆睡。目が覚めてもしばらく動けない。大工仕事で相当疲労したらしい。俺が一番働いてないんだけどな。胸の肉と肩の結合部辺りが強烈に筋肉痛。上腕の裏側も筋肉痛。脚も痛い。祖母は俺が起きる前に参院選の投票に行つたらしい。
叔父と祖母と3人で海へ。何か俺だけ重装備。防水プロテクタを装着したデジカメと水中眼鏡を持ち、貝を入れる網の袋と、祖母がクシと呼んでゐる鉤爪状の金属棒も持つ。水着と長袖のシャツを着て、肌が露出してゐる部分には当然日焼け止めを塗る。さらに底が分厚いフェルトの釣り用の足袋を履き、薄手だが頑丈な作業用の手袋を着ける。干潮は12時半らしい。10時半頃に海へ行つた。
結構沖の方まで歩いて行ける。波が打ち寄せるところまでは行かずにもつと手前で貝を拾ふらしい。だが、貝があまりゐない。昔は採り尽くせないほど視界いつぱいにゐたのに。今日は何故かゐない。貝はあるんだが、触ると猛烈な勢ひで走り去る。ヤドカリばかり。少しづつ沖の方へ。今日は風があるからか、波が異様に強い。こんなに波が強いのは祖母にも想定外だつたやうだ。
取り敢へず、俺は潜つて写真を撮つてみた。やたらとクサビが多い。アホみたいにゐる。これでは釣りしてもクサビしか釣れなくて当然だらう。それにしても凄い集まつて来る。クシで叩けるほど近くに大量にゐる。デカいクサビに鉤爪がモロにヒットして首が曲がつてしまつたが、どこかへ行つてしまつた。人がゐても近づいて来ることに違和感を感じてゐたが、しばらくしてその原因に気付いた。採つた貝を網の袋に入れてゐた。貝が割れて身だけになつてしまつたやつもいくつか入つてゐた。ハラワタが垂れ流しになつてゐる状態。自ら魚を呼んでゐたらしい。網を視界の正面にかざすと、網の外から猛烈にクサビがアタックしてゐるのが見えた。
アナゴが取れると祖母がよく言つてゐた。最初はあの甘いタレの付いたウナギみたいな寿司のアレかと思つてゐた。でもどうやら話の流れからして貝の一種らしいと気付いたのが2日か3日ぐらゐ前。岩の穴の中にゐるやうだ。どんな貝なのかは分からない。種子島でミナと呼ばれる巻貝しか俺は知らない。ミナはイシダタミといふ種類の貝だと思ふ。それとは違ふ種類で一回り大きいアカミナといふ貝もゐる。祖母はそれが狙ひらしい。貝の蓋が厚くて硬いツメミナといふのもゐるやうだ。とにかく小さい巻貝は全てミナの仲間らしい。ミナといふのは貝の種類の名前ではなく小さい貝といふ意味なのかもしれない。
叔父が呼ぶので行つてみた。これがアナゴだと言ふので見てみたが、岩の一部にしか見えない。岩に開いた小さい穴の中に何か付いてゐるやうにも見えるが岩の起伏にも見える。細かい海草みたいなのが付着してゐるので境目も分からない。クシでテコみたいにグイッとやつてみた。取れた。確かに貝だつた。しかもナガラメに似た貝。といふか、ナガラメの小さいやつに見えた。でもナガラメではないらしい。しかしこんなの見つけるのは大変だぞ。眼鏡も無いし。どうやつて見つければ良いんだ。大体どういふ場所にゐるのかは分かつたんだが見つけられる自信はない。
俺が探した後の場所で叔父が続々とアナゴを発見する。山人でしかも目がまともに見えない俺では難しい。波が荒いので何度も岩に叩き付けられたりする。水面より上に出てる岩の穴で探すよりも、水中の穴を探す方が俺には向いてるらしいと気付いた。水中眼鏡だと何故か地上で見るよりもハッキリ見える。しかし見つけても取るのが難しい。剥がせない。隙間に入れてクシを回すやうに取るんだが、そんな隙間など無い。先の尖つた部分を無理矢理捻じ込んでテコの原理でやる。さうすると貝が割れてハラワタが飛び出る。でも身は岩にこびり付いたまま。それを無理矢理剥がして網に入れる。汚い。これが魚を呼び寄せる。俺の近くはいつも魚だらけ。アナゴは外側から、殻、ハラワタ、身といふ構造になつてゐて、身と岩の間にクシを入れて捻らないと上手く取れない。でも俺がやるとハラワタの隙間に入るらしく、高確率で貝を破壊してダメにしてしまふ。難しい。
叔父がナガラメがゐると言ふ。巨大な石の下の奥にゐるらしい。水中眼鏡をつけて潜つて見てみたが、そんなの全然見えない。もつとさらに奥らしい。ウニが邪魔で取れないので俺がクシでウニをどかす。そして叔父が2匹取つた。デカい。だがやはりアナゴと区別が付かない。同じ貝で大きさが違ふだけのやうな気がする。ナガラメを取ることは禁止されてゐるが、まあ少しなら良いだらう。祖母も1匹取つたらしい。ゾウリエビも2匹取つてゐた。そんなのもゐるのか。空港に結構な値段で売つてゐた。叔父も祖母も潜らずに手探りだけでよく見つけるよな。あんなウニだらけのところに手を入れて探る気にはなれんし、目で見ないと俺には分からんよ。取る前からアナゴだとかナガラメだとか感触で分かるのが凄い。
家に帰つてから貝を撮影。じつくり見比べてもアナゴとナガラメの区別が付かない。大きさが違ふだけのやうな気がする。祖母に聞いたら違ふ種類だと言ふ。アナゴは身が厚いらしい。さう言はれればさういふ気もするが、あまり違はない気もする。殻の形や模様も同じに見える。ナガラメを取りまくつて漁協の人に見つかつて怒られたらデカいアナゴだと思つたと言へば良いんぢやないか?
空港等で50g2000円で売つてるナガラメの味噌漬けはアナゴではないかと思へて来た。今日取れたアナゴはほぼ全て味噌漬けのナガラメよりデカい。観光客向けの土産にアナゴを入れても誰も気付かないのではないか。
1時間半ぐらゐ海にゐたと思つてゐたが、帰つたら14時過ぎてゐた。どうやら3時間半ほど海で遊んでたらしい。これは明日もすげえ疲労だらうな。遊びながらどんどん体が鍛へられていく。遅めの昼飯を食つてから茹でた貝を食ふ。アナゴやナガラメはまだ食はない。巻貝系のやつばかり。針でくり抜いて食べる。面倒だが結構美味い。夏に種子島に来たらミナを食はねばダメだ。
夕方遅くに海に行つてみた。昼に貝を拾つた場所は壮絶に水没してゐた。岩の上に座つて西の空をボーッと眺めた。島の西側なので、19時過ぎまでゐれば海の果てに太陽が沈んで行くのが見える。でも何時間も海を眺める気は無いので帰宅。岩場を歩くのは心身ともに疲れる。岩と言つても2階建ての家ぐらゐの大きさの岩もあるので、登るだけでも大変だし、コケて落ちたりすると死ぬ可能性もある。
晩飯は今日取つた貝やエビを贅沢に使つた料理。ナガラメの刺身と、アナゴを砂糖醤油で煮たやつ、そしてゾウリエビの味噌汁。味噌汁は当然のごとく白。まあエビやカニを具にする時は赤は合はんから白でも良いが、エビやカニの場合は合はせ味噌が良い。ゾウリエビは薄つぺらい体だが、身はギッシリ詰まつてゐる。見た目はグロいエビだが、味はなかなか良い。
飯を食つた後は焼酎を飲む。焼酎があることを完全に忘れてゐたので久しぶりだ。まづは種子島の芋焼酎を全部飲むつもりだつたが、奄美の黒糖焼酎も飲み始めた。黒糖焼酎の方がクセが無くて飲みやすい。黒糖焼酎を2種類飲んでみたが、同じ原料で作られてゐても味はずいぶん違ふ。どういふ仕組みなんだらうか。
参院選の投票結果を見ながら今日海で撮つた画像を弄る。水中撮影は何故か全体的に白つぽく写るやうだ。防水プロテクタを付けたまま外を撮ると普段と同じなので水中の光の屈折とか水中の不純物に光が反射するとかいふ関係なんだらうと思ふ。それを見やすくなるやうに弄つたりする。波に揉まれながらの撮影なので上手く写つてる写真が少ない。視力も悪いのでその場の確認も当てにならん。なかなか難しい。選挙はまだ完全に結果は出てゐないが、どうやら自民党惨敗らしい。良いことだ。だが民主も良いとは思はん。
公開日時 | 不明 |
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