海の近くに住みたい
公開日時: 不明
指宿から種子島へも高速船は出てゐる。だが、8時半といふ厳しい時間だ。1日1本のみ。朝早く起きて凄い勢ひで朝飯を食つて宿を発たなければ間に合はない。それでは折角の温泉も堪能できないし、そもそも鹿児島と種子島の往復の切符を買つてゐるので鹿児島から帰らねばならん。どうせなら水族館でも行かうと最初から決めてゐた。だから朝はゆつくりするのだ。とは言つても飯の前に温泉に入らねばならん。早起きは必須だ。起きれないやうな気がしてゐたが奇跡的に起きれた。といふか、俺以外の3人が既に起きて話してゐたのでその声で目が覚めた。急いで風呂へ行かねばならん。まづは岩盤浴だ。祖母は部屋で留守番するらしい。親と叔母は大浴場へ。まだ朝早く、客も少ないから受付には人がゐなかつた。電話で呼べと書いてあつたので呼んだ。また部屋番号と名前を書いて中へ入る。入り方の説明を受けて岩盤浴へ。砂むしの時と同じ専用浴衣を着て中に入る。熱い石の床にバスタオルを敷いて寝転ぶだけ。うつ伏せで5分、仰向けで10分、これで1セット。1セット終るごとに一度出て外にある冷たいミネラルウォーターを飲まねばならんらしい。飲んだらまた入つて同じことを3回繰り返す。すげえ汗が出る。普通のサウナだと水蒸気が体について濡れたのか汗をかいたのか正確に分からない感じがあるが、これは確実に自分の汗だと分かる。3セットやつてから奥の大浴場へ。今回は砂むしの時みたいに無駄に粘つたりはしない。岩盤浴など指宿でなくてもどこでも入れるし、時間の余裕が無い。温泉に入つたり普通のサウナにも入つたりしつつ、最後は泡風呂で泳いでフィニッシュ。
急いで部屋へ戻り、着替へて飯を食ひに7階へ。朝飯はバイキング。色々あつたが、和食系で大量に食ふ。栄養バランスを素人なりに必死に考へつつ、値段の高さうな物は必ず食ふ感じで。味噌汁は赤と白があつた。祖母だけ白味噌。残りの3人は赤。俺の母親も叔母も種子島出身だから祖母と同じく白を食つても良からうと思ふんだが、やはり東海地方にある程度住むと赤の良さが分かるやうになるらしい。ここの白味噌は祖母がいつも食つてる味噌と違ふからダメなんぢやないかと思つたが、これは美味いらしい。赤は何だか微妙だつた。だしの味がよく出てゐるが、何か違ふ。東海地方で食ふ赤だしとは何かが違ふ。昨日の晩飯の赤だしも何かが違つてゐた。まあこれはこれで美味いんだけどな。祖母はやはりあまり食欲が無いやうだ。自分が食へると思つて持つて来た量に到達する以前に食欲が消滅したやうな感じ。やはり抗癌剤の点滴の影響かもしれない。
飯を食ひ終り、部屋に戻つて荷物をまとめる。あつと言ふ間の指宿旅行。あとは鹿児島で水族館を見て帰るだけ。忘れ物は無いか確認して部屋を出る。フロントで親が精算するのを横で見てゐた。しつかり砂むしや岩盤浴が加算されてゐた。親は良いところだつたからまた来るつもりのやうだ。パンフレットを貰つてゐた。俺も近くにあつたかごしま水族館と知覧の特攻平和会館のパンフレットを貰つた。ここで貰つた水族館のパンフレットに入場割引券が付いてゐたことを種子島に帰つてから気付いて絶叫することになる。土産を買ふ祖母と叔母を待つてゐたら、猛烈にウンコがしたくなつてきた。旅館でウンコを屠る。奥の便所で異常な量のウンコを捨てた。最近あまり食欲が無くて食つてなかつたはずだが、昨日の晩のが出て来るはずはない。一昨日の晩飯と昨日の朝飯と昼の生姜焼き定食が一度に出たんだらうか。昨晩と朝に無理矢理食つたから押し出されたんだらう。
旅館を出てタクシーに乗り込む。祖母がここら辺は畑が無いがどうやつて生活してるんだらうとか言つてゐた。農業のことしか考へない。畑ばかりが気になるらしい。電車に乗つてる時も台風が来たのに稲が倒れてないとか、おおぎ(サトウキビ)が無いとか、色々言つてゐた。タクシーの運転手が開聞の方には畑があるとか言つて、祖母と農業の話をし始めた。鹿児島はサツマイモとかオクラとかを作つてゐるらしい。種子島はサトウキビが多いがサツマイモも作つてゐる。種子島ではサツマイモのことをカライモと言ふが、鹿児島では普通にサツマイモと言ふらしい。鹿児島と種子島は同じ言葉を喋つてゐると思つてゐたが、どうやら違ふらしい。祖母はタクシーの運転手と話す時はぎこちなく標準語に近い感じで話してゐた。といふことは鹿児島の人には種子島弁は通じないといふことだ。種子島弁は特殊なのかもしれない。種子島の人は金持ちでせうと運転手が言ふ。タクシーの運転手の親戚か何かに銀行で働いてゐた人がゐるらしく、その人が種子島の人間は金持ちばかりだと言つてゐたらしい。マジでか。うちは恐ろしく貧乏だぞ。サトウキビ3tで6万円とかそんな安い金しか貰へない。1年かけて凄い量を作るのに全然儲からない。島のどこを見ても金を持つてさうな感じはしないのだが、持つてる人は密かに大金を持つてゐるのかもしれない。畑を貸してゐる大地主は金持ちなんだらうか。金持つてるなら土地も安いし豪邸でも建てれば良いのに全然そんな豪邸も見当たらない。運転手は本当に俺達が金持ちに見えたんだらうか。デカい温泉旅館に遊びに来てたから金持ちだと思つたんだらうか。祖母は自分が貧乏だと主張しながらも案外金持ちに見えるのが貧乏で、貧乏さうなのが金を持つてたりすると言ふ。自分が金持ちに見えるのが確定してゐるかのやうな自信満々な態度に叔母が爆笑してゐた。
指宿駅から鹿児島へ行く電車を待つ。さらば指宿。俺は近いうちにまた来るけども。黄色い電車に乗り込み鹿児島へ。快速電車だつたので1時間ぐらゐで着く。土砂崩れの地域が異様に怖い。そこら中アホみたいに崩れた跡がある。何とか無事にそのエリアは乗り切つた。祖母が窓の外に見える畑の話ばかりする。畑があまり無い地域では口数が少ない。元は畑だつたが、使はれてなくて荒れ放題の土地を見ると勿体無いみたいなことを言つたりする。持ち主は入院してるのかとか、そんなことばかり言つてゐる。農業のことばかり考へてゐる。相当農業が好きらしい。種子島でも広大な畑をやつてるしな。サトウキビはある程度金になるが、それ以外は一切売らないので全て趣味だ。自給自足の域を大きく超えて過剰に作り過ぎて人に配つても余りまくるほどだ。野菜も売ればかなり金になると思ふんだが、売る気は無いやうだ。サトウキビよりも野菜の方が金になる気がする。サトウキビも生活のためといふよりは半分趣味みたいなものだらうと思ふ。本当にうちの祖母は畑仕事が好きだ。面白くて仕方が無いらしい。人の畑の手伝ひもするし、その時に作り方に口出ししたりもするやうだ。畑マニアだな。
鹿児島中央駅に着き、颯爽とタクシーに乗り込んで水族館へ。かごしま水族館は確かジンベエザメがゐたはず。すげえ楽しみ。いつも名古屋港水族館ばかり行つてゐるので違ふ水族館に行くのが楽しみだ。名古屋港は巨大なイルカプールとウミガメの繁殖が有名だらうと思ふ。鹿児島はサメか。入り口のところでタクシーを降りて入場券を買ひ、ロッカーに荷物をブチ込んで中へ入る。すげえ軽くなつた。ノートPCを持ち歩くのは結構キツいな。着替へとか旅館からパクッてきた以下略とか色々入つてたし。丁度「いるかの時間」といふのが始まる時間だつたので、ラッコはスルーして奥のイルカプールへ。狭くて小さいプールだつた。名古屋港のイルカプールはやはり巨大なんだな。普通のジャンプとか割とよく見るパフォーマンスばかりで物足りない。狭いから危ないのかもしれない。イルカはテレビに映つた映像も認識できるらしい。といふことで、イルカがクルクル回る合図をモニターに映して見せて回るかどうかといふ実験をやつてゐた。合図をやりたい人はゐますか?と司会の人に言はれ、素晴らしい勢ひで手を上げて絶叫した子供が選ばれた。腕を回す合図を教へられて係の人にやらされてゐたが、威勢良く立候補したくせに全然まともにやらうとしない。結局係の人が子供の腕を持つて回してゐた。それをカメラで撮りながらステージ上のモニターに映してイルカに見せる。なかなか回らない。係の人が子供の腕を持つて回してゐるのが普段と違ふからだらうか。しばらくして漸く回り始めた。イルカに合図を送つた子供にはステッカーか何かあげてゐた。俺も欲しい。しかし30歳にもなつて大勢の前で晒し者になりながら満面の笑みでイルカに合図を送つてゐたら頭がをかしいと思はれるだらう。
いるかの時間が終り、まづはイルカプールの地下へ。地下への階段の入り口付近にイルカプールの端があつて、近くでイルカが猛烈にジャンプしまくつてゐた。至近距離でイルカのジャンプを見てゐたらアホみたいに水を被つてしまつた。地下は水中のイルカの様子が見える普通の水族館の形式。ただ、水が激しく濁つてゐて綺麗ではない。写真も何枚か撮つたが、全然ダメ。俺以外の3人はベンチに座つて休憩しながらイルカを見てゐた。少ししてから次へ。あまり時間は無い。13時50分ぐらゐに船が出るらしい。ぐらゐといふのが猛烈に怪しい。確かさうだつたはずとか、ずいぶん頼りないことを言ふ。それはスルーして17時の最終で帰れば良いと思つた。2時間で水族館を堪能できるはずがない。1人だつたら最低でも5時間は使ふ。まあ祖母の病気もあるし、普段種子島に引き篭つててこんな遠くに来るだけでも疲れてゐるだらうから早めに帰つた方が良いかもしれない。
イルカプールの近くにあるラッコを見る。ラッコは初めて見た。動きが速いな。滑らかに素早くいつまでも泳ぎ続けてゐる。速過ぎて撮影困難。場所を決めてラッコが来るのを待つとそこには来なくなる。しばらく粘つたが、子供達が大勢集まつて来て鬱陶しいので諦めた。まだ夏休みでもないのに何でこんなに人がゐるんだらう。
階段を昇つて暗い巨大プールへ。ジンベエザメを生で初めて見た。さすがにデカいな。エイとか変なサメの仲間も一緒に泳いでゐた。マグロとかカツオもゐた。名古屋港水族館と同じく暗いので全然上手く撮れない。ISO1600にしても被写体ブレを起こす。これはどうにもならん。フラッシュを使へば多少は良くなるかもしれんが、残念ながらフラッシュは禁止なのだ。みんな俺とは違つて長時間同じ魚を眺めたりしないのでどんどん進んで行く。じつくり撮影する暇も無い。デジカメの設定を弄つたりする余裕も無い。満足いく写真は撮れなかつたが、適当に30枚ほど載せてみる。
順路に沿つて奥へ奥へ進む。初めて見る魚も多い。祖母は食べる対象として魚を見てゐるやうだ。以前種子島の家の裏のみかんの木に山鳥が来た時、叔父や叔母は鑑賞の対象として見てゐたんだが、祖母だけが鳥の食べ方について語り始めた。祖母が子供の頃は相当貧しかつたらしい。普通に鳥とか捕まへて食べてゐたとか。だから動物も魚も食べ物として見る。さすがに犬や猫は食べないけどな。豚肉が好きだが、安いからといふ理由。牛とか他の肉が嫌いなわけではない。鹿は美味いが、山羊の方が美味いとも言つてゐた。祖母の話はなかなか面白い。まあ確かにマグロとかカツオとかイワシとかイカとかは美味さうだけどな。あれは見る魚ではない。食べる魚だ。水槽を見ながら魚同士で食つたり食はれたりしないのが不思議だと言つてゐた。日本人が犬や猫を食はないやうに、エサにならない魚同士を同じ水槽に入れてゐるからだらう。それか実は影で食つてゐるのかもしれない。仲が良いんだなと祖母が呟いてゐたのが面白かつた。サンゴの海の巨大な魚やウツボや熱帯魚みたいな派手な魚を見ながら奥へ進む。
長い階段を昇るとそこは3階ではなく4階。迷路みたいな造りになつてゐる。順路に従つて行くとここからは3階に行けないらしい。溶岩トンネルを抜け、鹿児島の海を堪能。名古屋港水族館にもゐるタカアシガニとか鰯の群れとかイカとか色々。
4階の途中にあるエスカレーターを上がると5階の展望台。鯨の骨の標本が飾つてある。外は空気が澄んでゐれば桜島がハッキリと見えるんだらう。残念ながら靄がかかつてゐて綺麗に見えない。そこの自販機で紫芋アイスを買つた。まあ味は普通。想像した通り。可も無く不可も無く。祖母はバニラアイスを食つてゐたが、まづは蓋の裏に付いたアイスを必死に削りながら食ふ。さすが俺の祖母。しばらく休憩してから次へ。
4階に下り、残りの半分を見る。海草がメインの展示。その先のエスカレーターを下りると3階に出る。ここにはシアタールームといふのがあつて、何か映画をやつてゐる。サメに関する物のやうだ。船の時間が迫つてゐるので残念ながらこれはスルーするしかない。奥のサメ展みたいなのをじつくり見た。市場で買つてきたサメが寿司屋のカウンターにあるやうな横長のガラスの冷蔵庫に保存されてゐた。開けて触つても良いらしい。鮫肌体験。頭から尾の方へ撫でるとツルツルしてゐるが、逆方向だとヤスリみたいな感触。
サメ展とは逆の方へ行くとオオウナギが展示されてゐる。池田湖にゐるやつだな。逆さまになつて全く動かない。まるで死んでゐるやうだ。死んでるのか?と祖母が話してたら近くにゐた知らない人が話し掛けて来た。死んでないと教へてくれた。クラゲを撮影して次へ。
2階へ下りるとカフェテリアがある。満席といふ札が掛けられてゐた。この場所には何も展示されてゐない。エスカレーターを下りて1階へ。アマゾンに住む世界最大の淡水魚ピラルクーがゐた。親が名古屋港水族館にもゐると言つたのであれはオーストラリアの肺魚だと訂正しておいた。まあ雰囲気は似てるけどな。
ピラルクーの場所を抜けてマングローブの水槽を軽くスルーし、出口へ。恐ろしい速度で適当に一通り見ただけ。イルカショーを含めても2時間程度しか見てゐない。立ち止まつてじつくり見ようとしてもみんな先へ先へ歩いて行つてしまふ。水族館マニアには絶望的に物足りない。だが13時50分の船に乗るのならば仕方が無い。
水族館を出る前に土産物屋で買ひ物。本に挟む栞と、イルカの置物とシャチ(メス)の置物を買つた。小さいやつだけどな。何故ジンベエザメを買はないのかと小一時間問ひ詰めたい。
鹿児島港までは歩いて行ける距離なので歩く。暑い。高速船乗り場へ行き、船の時間を調べる。・・・12時、16時、17時。次の船まで3時間あるよ。3階のシアタールームも見ておけば良かつたぢやないか。水族館をもつとじつくり全部堪能したかつた。これはかなりキツい。呆然と待つしかない。窓の外には錦江湾を挟んで桜島が見える。だが霞んでてハッキリとは見えない。晴れてても見えないんだな。冬なら空気が澄んでて良く見えるかもしれない。
船が出るまで3時間もあるので、白水館で撮つた写真を弄ることにした。犬土偶日記に載せる写真を適当に選び、解像度を下げたり圧縮率を上げたり色々とWeb用に最適化する。そのままUPすると1枚1.5MBぐらゐになるから大変なのだ。あまり載せる枚数を増やすとタグ打ちとかアップロードとか色々大変なので少なめにしておく。8枚UPすることにしいて画像処理をし、AIR-EDGEでネット接続してみた。繋がらないかもしれないと思つたんだが、さすがにこんなデカい港ではPHSも通じるらしい。画像をUPしてから自分のサイトの掲示板に書き込んだりメールを受信してみたり、色々と久しぶりにネットをやつた。種子島にゐる時も叔父のPCからネット接続するんだが、あまりにも速度が遅く犬土偶日記更新にも苦労するしイライラするのでほとんど触らない。AIR-EDGEでも速いわけではないんだが。しかし大変だな。白水館の写真でも結構苦労してるといふことは、水族館の写真は恐ろしいことになるぞ。犬土偶日記の更新が滞つたら間違ひなく水族館の写真のせゐ。水族館の写真をUPするのは種子島に帰つてからだからな。
ウロウロしながら船を待つ。外に出て桜島を撮つてみたりもするが、やはり霞んでて綺麗に撮れない。売店を覗いてみたりして時間を潰す。何と祖母の知り合ひがゐたらしく、祖母はずつとその人と話し込んでゐた。待合室のテレビでニュースをやってゐた。九州南部が今日で梅雨明けらしい。こんなに遅いのか。7月3日に種子島に来たのは壮絶なフライングだつたな。3時間待つて漸く乗船。高速船ロケットの2階の前の方。左側の窓側。桜島や佐多岬が見える側。1時間半で着くが、暇だつたので犬土偶日記を書くことにした。しかし、それが拙かつた。急激に気分が悪くなつてきた。前にあるテレビで相撲の名古屋場所を中継してゐたのでそれを凝視しながら気を紛らはせようとしたが無理。これはもう寝るしかない。寝ようと思つて寝られるものでもなからうが、疲れが溜まつてゐるから余裕だらうと思ふ。無事に眠れて何とか吐かずに西之表へ到着。車で家まで直行。すげえ疲れた。
晩飯にナガラメが出た。料理の準備をしてゐたのが親だつたので砂糖醤油で煮込むことは無いだらうと思つたが、念のため塩焼きにしてくれと頼んでおいた。激烈に美味い。やはりこれだ。ナガラメは塩焼きに限る。味噌焼きでも良いが、やはり塩焼きだ。さう言へば白水館の晩飯でアワビが出たが、アワビもナガラメも似たやうな物だな。アワビの方が圧倒的に高級品だが、少し柔らかいだけで味もほとんど同じ感じだ。まあ貧乏人の舌なんか果てしなく当てにならんけどな。それにしても疲れた。全身に疲労感がけたたましく響き渡る。どこにも力が入らん。体力が無いくせに相当歩き回つたからな。電車に揺られるだけでも疲労する。船でも相当疲れただらう。温泉に入り過ぎたのも却つて良くないかもしれない。
急に決まつて急に行くことになつた予定外の旅行だつたが、かなり良かつた。色々と楽しかつた。犬土偶日記にも書けないやうなことも色々とあり、なかなか思ひ出深い旅行になつた。祖母と旅行するのはこれが最初で最後だらう。また機会があれば指宿温泉に行きたいものだ。池田湖、開聞、長崎鼻を回る時にどう考へてもまた指宿で泊まらないといけない気がするんだが、どうなるんだらう。
夜に猫のトラを捕まへた。追ひ詰めて苦労して捕まへた。トラは口笛を吹くと猛烈に怯える。口笛よりも俺に怯えてゐる。俺が動くと怯える。腋のところを両手で持ち、対面しながら口笛を吹く。シャー!といふ音を立てながら口を開けて威嚇したりしてゐた。追ひ詰めるとよくやる威嚇だが、弱い猫の威嚇などダニの糞ほども怖くない。完全にガシッと掴んで逃げられないやうにしながら怯えさせる。アーッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャ!!無意味に猫を怯えさせて遊ぶ。シャキーン!・・・食らつてしまつた。爪を出して攻撃された。届かない距離を保つてゐたつもりだつたが、意外と猫のリーチは長かつた。右の上唇を切られた。逃げられてしまつた。猫毒は危険なので急いで台所で洗ひ流す。血がドバドバ出る。何で俺がこんな目に・・・。
公開日時 | 不明 |
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URL | https://orca.xii.jp/br/diary/diary.cgi?id=dogoo;date=20070718 |
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