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犬土偶日記

海の近くに住みたい

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2007年07月15日

犬土偶旅行記 13日目 空飛ぶ猫

公開日時: 不明

台風4号は既にかなり北上してゐたはずなのに、朝になつてもまだまだ風が激しい。どうなつてゐるんだらう。どうやら可児の方へは行かなかつたやうで、ボロい家も倒れずに済んだだらう。まだ波が高く、海では遊べさうにない。夕方になれば大丈夫かもしれない。台風と一緒に梅雨前線も北へ去つてくれると良いのだが。

台風の影響で哲郎のウンコが乱れてゐるとか何とか、激しくどうでも良いニュースがテレビのスピーカーから流れて来るのを軽く聞き流しながらギターを弾いたりして過ごす。午前中に畑にスイカを取りに行つた。祖母か叔母か親が朝のうちにスイカを取つて畑に置いてきたらしい。それを俺が取りに行く。朝に蔓から切つた時にそのまま持つて来れば良かつたのに。小さめのスイカが3個増えた。中ぐらゐのスイカもいつの間にか増えてゐた。下の畑に小さいスイカがある。上の畑にはデカいのが大量にあるらしい。上の畑には行つたことがない。祖母がスイカにかけた網をずつと気にしてゐた。台風で飛ばされてないか気になつて仕方が無いらしい。網が無くなるとカラスにスイカを食はれてしまふらしい。1個や2個ぐらゐカラスにプレゼントしてやれば良からうと思ふよ。ここのカラスは朝早いとか賢いとか言つて昨日からソワソワしてゐた。うちのばあさんは畑のことばかり考へてゐる。

猫が完全に俺を恐れてゐる。昨日までは捕まへようと思へば捕まへられたんだが、今ではもう絶対に捕獲できない距離を完全に保つてゐる。目を合はせずに近づくといふ手段ももうダメ。半径3m以内には絶対に近づかない。急激に飛びかかつても捕まへることができない距離を保ち続けてゐる。離れたところから音を出すだけで逃げる。そんなに俺が怖いか。宇宙も猫も俺を恐れ過ぎてゐる。

玄関の外に猫が寝てゐた。玄関のドアが開いてゐたので、音を立てずに玄関に下り、ドアの裏側から突然回転するやうに外に出て猫に飛びついた。捕まへられるかと思つてゐたが、猫の方が速かつた。寝転んでゐたくせに、どうやつたのか知らんが恐ろしい勢ひで跳び上がつて宙に浮き、着地と同時に遥か彼方に逃げ去つてゐた。急に襲ひ掛かつて来た俺に猫もビビッただらうが、急に激しく跳び上がつた猫に俺がビビッた。

今日も誰か客が来た。客にスイカを出してゐた。これで俺が食ふスイカも減つたなと思つて少し安堵してゐたのだが、客が食ひ切れなかつた分を食ふことになつた。土産に1個あげてたので確実にスイカは減つた。それでも食ひ切れない量が残つてゐる。スイカが好きな人には天国だらうが、別にそんなに好きでもない人間には結構つらい。嫌いではないんだけどな。8月8日か9日に弟が来ることになつてゐる。弟はスイカが好きでアホみたいに食ふ。それまでの辛抱だ。

西之表のサムズに買ひ物へ。ボウリングのピンのモニュメントがある店。何故ボウリングなんだらうと不思議だつたので親に聞いてみた。昔はボウリング場だつたらしい。初めて通り掛かつた時にボウリング場の廃墟だと思つたのは強ち間違ひではなかつたんだな。といふかそのままだな。釣具を少し買つた。前回の釣りで失つたルアーの補充と、魚が釣れた時にフックを外したりするためのプライヤー。食へる魚が釣れた時にその場でシメるためのナイフも買はうと思つたが、どうせ釣れないのでやめておいた。

台風が去つて完全に晴れた。まだ海は荒れ気味で、泳いだりすることはできない。でも釣りはできる。多少荒れてゐた方が釣りには良い。潮汐がどうなつてゐるのか全然知らないんだが、何となく潮が満ちて来てゐるやうな気がしたので釣りに行つてみることにした。潮が満ちて来る時や、引いて行く時が釣りには良い。完全に満ちて潮が止まつた時は釣れない。引き切つた時もダメ。潮が動いてゐる時が良い。すぐ下の海で何度かルアーを投げてみたんだが、全く釣れる気がしない。魚がゐる気がしない。やはり少しづつ潮が満ちて来てゐて、あと2時間もすれば満潮といふ感じだつたんだが、どうにも釣れる気がしない。といふか、この近辺は浅過ぎる。岩場があつて良い感じに見えるんだが、全く釣れる気がしない。エサで雑魚を釣ることはできるんだが、大物をルアーで狙ふのは難しいかもしれない。

そこで釣るのは諦めて小学校の方(南の浜津脇方面)へ歩いて良さげな場所を探した。どこも似たやうなものだ。雄龍雌龍の岩の辺りは良ささうに思へるんだが、あそこまで歩くのはキツい。家と岩の中間地点辺りの岩場で少しやつてみた。そこもやはり浅い。しばらくやつてみたがアタリは無い。潮が少しづつ満ちて来て不安になつた。岸から結構離れた岩の上から釣つてたんだが、そこまで行く道が明らかに満潮時に水没する色だつた。あまり釣りに集中すると帰れなくなる。もう少しだけと思つてルアーを投げた。死んだ。また痛恨の根がかり。1008円を失つた。浅いし岩が多い。海草も多い。ここら辺一帯は深いところが無いからダメかもしれない。島の東側まで遠征する必要があるかもしれない。でもまづは近場から攻めて行く。次は岩場ではなく浜津脇港や牧川港で狙つてみよう。ルアー釣りに拘らずにたまにはエサ釣りやサビキ釣りもやらう。梅雨や台風で半月無駄にしてしまつたから帰る予定も半月遅くなるだらう。冬までに最低限こなさねばならない予定を消化できるだらうか。まだ何もやつてゐない気がする。取り敢へず、今日はルアーを失つたところで歯を食ひ縛つて帰宅。

帰つて来るのが早いと祖母に言はれた。まだ潮が満ちてないので釣りはこれからだと。祖母は農業なのに海のことも結構詳しい。27日からの潮だとか言つてゐた。27日といふのは旧暦の27日のことで、一昨日ぐらゐのことだ。だが、俺にはよく意味が分かつてゐない。27日からの潮とは何?言葉が分からんので大変だ。何か知らんがここから数日間、色々と良いらしい。釣りとか貝拾ひとか海水浴とか、海系はここが狙ひ目なんだらうか。だが台風直撃で台無しになつた。明日は海水浴にでも行かうか。たぶん貸切状態のよきの海水浴場で泳ぎ回るか。それとも近場の磯で潜つて防水プロテクタ装備のデジカメで熱帯魚みたいなのを撮影でもするか。あと数日で小中高が夏休みに入つて観光客が激増する。海水浴場へ行くなら今のうちか。

飯前に可児にゐる父親から電話が掛かつて来た。まさか台風4号で家が倒壊したのか?と一瞬焦つたが、逸れて可児は被害が無いはず。何かと思つたら種子島は台風にやられてゐないかとか、さういふことだつた。電波状況が非常に悪く、何度も通話が途切れたりする。話が終らないうちに完全に切れてしまつた。液晶画面を見たら圏外になつてゐた。全く同じ場所でも通じたり圏外になつたりする。どういふ仕組みなんだらう。携帯で電話する時は外に出ないとダメかもしれない。通話が途中で途切れたがそのまま。こちらからは掛けないし向うからももう掛かつて来なかつた。圏外になつて通じないのかもしれない。まあ大した内容でもなささうだつたので良いだらう。

晩飯にナガラメが出てきた。アワビみたいな貝で、異様に高い貝。漁協が稚貝を放流してゐるのですぐ下の海でも取れるやうだが、勝手に取つたらダメらしい。それでも俺は必ず取る。でも祖母の話を聞くと、素人では見つけるのも難しいやうだ。石をどかして穴の中に手を入れて岩の裏にゐるのを取るとか何とか。あまり言葉が分からないので正確に伝はつてないんだが、どうもそこら辺の岩に普通に張り付いてゐるやうな物ではないらしい。取り敢へず、高級な貝なのでアホみたいに食つた。甘い醤油で煮た料理だつたが、俺は塩焼きが好き。さう言へば、今朝はトビウオを食つた。やはり種子島に来たらナガラメとトビウオだらう。これを食はないと種子島に来た気がしない。

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